臨時総会・「新会館建設準備金積立のための特別会費徴収の件」の廃止に関する決議

平成6年3月3日
日本弁護士連合会会館講堂
臨時総会


(決議)

「新会館建設準備金積立のための特別会費徴収の件」の廃止に関する決議の件
「新会館建設準備金積立のための特別会費徴収の件」の廃止に関する決議

第1条

「新会館建設準備金積立のための特別会費徴収の件」(平成2年3月2日臨時総会決議)及び「新会館建設準備金積立のための特別会費を準会員(沖縄の外国人弁護士をのぞく。)より徴収する件」(平成元年10月18日理事会議決)を、平成6年3月31日をもって廃止する。


第2条

平成6年3月31日までに発生した特別会費については、なお従前の例により、徴収する。


提案理由 (第1号議案乃至第4号議案)

第一 はじめに

1. 新会館の建設は、平成4年9月末日に着工して以来順調に進捗しており、平成7年6月末日には竣工の予定である。日弁連の新会館の建設に要する建設資金総額は、45億8,306万円であり、このうち平成3年12月10日に大蔵省より特定・指定寄付の免税措置を受けた額は、15億4,658万円で会員1人当り12万円相当である。さらに、現在までに、昭和57年12月11日の理事会において「新会館建設準備金」の設置を承認し、同58年3月12日総会において同準備金積立てのための特別会費徴収を承認した。これに基づいて昭和58年4月より同月1日現在の弁護士である会員及び準会員(沖縄の外国人弁護士を除く。以下同じ。)並びにその後入会した会員及び準会員を対象に月額1,500円、通算7ヶ年を徴収期間とする特別会費の徴収が開始され、次いで、昭和62年1月24日総会決議に基づき、同額の特別会費が外国特別会員からも徴収される(入会した月から通算7か年)こととなった。


その後、建設費の上昇、金利動向に鑑み、平成2年3月2日の総会決議を経て、同年4月1日より、特別会費の月額を3,000円、徴収期間を通算11ヶ年(昭和58年4月末日現在の会員、外国特別会員及び準会員は同月から、その後入会した会員、特別会員及び準会員については入会した月から通算11ヶ年)とする旨の変更がなされ、今日まで徴収がなされているが、昭和58年4月1日から徴収が開始された会員については、平成6年3月末日をもって徴収期間が満了することとなっている。


2. ところが、新会館が完成すると第二記載のとおり移転関係費など初年度経費、地代を含む維持管理、一定時期の大規模修繕等の費用を賄うため、莫大な資金が必要になるが、これをその都度必要に応じて特定の一時期に徴収するのではなく、会館関連運営費を毎月の会費収入の方法により総合的かつ継続的に一定の資金を積立てておくことが、会の健全財政を考える立場から合理的であり、相当であると考える。


この新しい会費を設定するうえで、(1)毎月の徴収額をいくらにするか、(2)徴収方法は特別会費とするか、一般会費とするか、(3)徴収された会費の管理については一般会計とするか、特別会計を設けて処理するのか、(4)さらには、徴収開始後11年を経過しない会員に対する会館建設準備金特別会費の取り扱いをどのようにするかなどが問題となる。


第二 新会館の竣工後に会館に関連して要する費用の概算と負担額

1. 維持・管理費用として考えられるもの

(注)については、東京三会との平成2年7月11日付確認書による暫定割合27.62%)


(1) 什器備品等(一時) 225,194,281円
(2) 移転費用(一時) 10,845,900円
(3) 損害保険料(注) 2,425,174円
(4) ビル・メンテナンス(注) 107,730,429円
(5) エスカレーター・ランニングコスト(注) 552,400円
(6) 修繕費・更新費・消耗品費(注) 20,383,560円
(7) 地代(注) 25,808,901円

2. 竣工後10年、20年目に大修繕費として予想されるもの
(1) 10年目(平成17年) 746,112,400円
(2) 20年目(平成27年) 2,208,089,400円

3. その他、(1)登録免許税、(2)不動産取得税、(3)固定資産税(いずれも未確定)などの費用負担も考えられる。


4. 以上の諸費用に地下鉄との連絡通路の設置、追加工事費、レストランの内装工事費等を含んだ費用についてはいずれも概算であるが、別紙1~3によれば、会員、準会員、外国特別会員より月額2,000円を徴収することにより賄えることとなっている。


第三 会館の維持管理費等の諸費用をまかなうため、会員1人当たり月額2千円を徴収する方法とその時期

1. 特別会費として負担を求めることとする場合
  1. 特別会費に関する要件を定めた会則95条の3第1項の規定上、特別会費をもって日常的なランニングコストをまかなうことは、「特別の必要・目的」の該当性に疑義がある。
  2. また、同項の規定から、特別会費の負担を半永久的に求めることは「特定の期間」に該当するか否かも問題である。

2. 以上の理由により、月額2,000円を徴収する方法は、地代を含む会館の維持管理という半永久的なものが多くの金額を占めていることから、これを一般会費の方法で継続的かつ永続的に徴収することが、より適切である。


3. 徴収の実施時期

新会館が完成するのは、平成7年6月末日の予定であり、その維持管理を必要とする時期も新会館の竣工後である。しかし、維持・管理費等の積算は、あくまで概算であるから不測の場合を考慮するとき、大方の会員が現行の新会館建設準備金積立て特別会費(会員1人月額3,000円)の徴収期間を満了し、負担が軽減することとなる「平成6年4月1日から」とするのが相当である。


第四 会館の維持管理費として徴収した会費の会計処理

1. 一般的な場合

建物を日常的に維持管理するために必要とされる諸費用は、一般会計の中の一般管理費の項目に計上され、処理するのが会計処理上の通例のようである。


2. 新会館の場合
  1. 予測される新会館の維持管理費は、毎年相当に多額となり、もしこれを一般会計に組み込んだ場合、維持管理費が一般会計の中で占める割合が非常に大きくなる。
  2. また、維持管理費の予測数値が不確定なことから、一般会計全体が不安定となり、ひいては一般会計を圧迫する。
  3. 各年毎の適切な維持管理および適宜の小・中規模の修繕ならびに10年目、20年目の大規模修繕との間には、相互の関連性がある。
  4. 新会館は、日弁連と東京三会が共同使用することから、共用部分の維持管理費を支出する必要がある。
  5. 一般会計と特別会計の区別は、会計原則の点からも峻別されているものではなく、団体の意思によって決定すればよいことから、会員からみて判り易さという点を考慮すれば、新会館に関する収入と支出を大規模修繕、地代および日常的な維持管理費まで含め、一括して「会館特別会計」として処理することが望ましい。
  6. なお、この場合特別会計の財源となる収入や支出については、これを他に流用することなく厳格に処理すべきこと及び会則上において共済資金に関する事項が会規をもって定める(会則95条の2)こととの均衡上からも、「会館特別会計規程」をもうけて行うのが相当である。

第五 一般会費として徴収した会費の特別会計への組入れと「会館建設資金特別会計」の残金処理

1. 一般会費として徴収した会費の特別会計への組入れ
  1. 新会館の維持管理費に充てるため会則95条を改正し、一般会費を会員1人当たり月額2,000円増額した額は、前記会計処理における合理的な理由からこれを新しい「会館特別会計」に組入れるべきである。
  2. その場合、本提案は会則95条の2第2項を追加して組み入れを行うこととしたものである。

2. 「会館建設資金特別会計」の扱いと残金処理(建設代金支払い後の処理)
  1. 現行の「会館建設資金特別会計」は、新会館の建設資金を賄うための特別会計であるから、新会館の建築残代金を支払えば、その目的を達したこととなる。
  2. したがって、建築費の残代金支払いを完了した後、この「会館建設資金特別会計」は廃止することとし、その残金は、可能な限り新会館の将来の大規模修繕などの準備金として確保するため、新しい「会館特別会計」に組入れるのが相当である。

第六 現行の「新会館建設準備金積立のための特別会費徴収」の件に関する取り扱い(第4号議案関係)

1. 現行制度
  1. 現行の特別会費は、会則95条の3第1項に基づいて「新会館建設資金の準備金積立」という限定した目的のもとに総会の特別決議により徴収が決定されたものである。
  2. その額と徴収期間は、会員、準会員、外国特別会員に対し(1)1人当たり月額3,000円、(2)徴収期間11年としたもので、大方の会員(約1万1千名)は、平成6年3月末日分をもって納付期間が満了する。

2. 今後の取り扱い
  1. 問題点
    1. この問題は、現行の特別会費徴収を大方の会員が納付を満了する平成6年3月末日分をもって打ち切ることとすれば、将来の新入会員および納入途中の主として若手会員から特別会費を徴収しないこととなり、世代間に不公平を生じるのではないか、ということである。
    2. しかし、会館建設における「世代間の公平」は、短期的な期間で公平か否かをはかるべきものではない。50年、60年という大きな時間の幅ではかられるべきである。
    3. 現在の日弁連会館は、我々の大先輩たちが資金を負担し、現在の会員の多くは、建設資金を負担しないままこれを利用し、現在に至っている。
    4. 今後入会する新入会員は、40年、50年後の大規模な修繕や改築費を負担することとなる。
    5. 新入会員に対し、特別会費の支払いを終了した時点から一般会費の増額分を徴収することとすれば、その差額は月額1,000円であり、かつその員数も少ないことから、不公平感も希薄なものといえる。
    6. また、新入会員に対し、特別会費の支払いと一般会費の増額分を同時に徴収することとすれば、本人の責めによらない事由によって多額な負担を強いることとなるばかりでなく、規定上も極めて困難である。
    7. 会館が竣工した後、「新会館建設準備金積立のための特別会費」を未来永劫に徴収することは、目的を変更したとしても理論的に無理がある。
  2. 以上のような理由から、現行の「新会館建設準備金積立のための特別会費徴収の件(平成2年3月2日臨時総会決議)」および「新会館建設準備金積立のための特別会費を準会員より徴収する件(平成元年10月18日理事会議決)」は、大方の会員が特別会費の納入を終了する平成6年3月末日をもって廃止するのが相当である。

別紙

(単位:円)


特別会費 その他収入 *継続会費* 建設代金支払 維持管理費 年度末残高
H4 - - ¥1,000 - - 4,269,248,704
H5 486,828,000 0 0 683,235,804 0 4,195,026,127
H6 0 0 173,304,000 1,347,226,126 0 3,111,737,121
H7 0 0 176,844,000 1,790,469,538 371,366,830 1,160,547,096
H8 0 0 180,984,000 458,300,000 180,435,533 723,879,430
H9 0 0 185,124,000 0 187,652,954 742,990,990
H10 0 0 189,264,000 0 195,159,072 759,208,796
H11 0 0 193,404,000 0 202,965,435 772,136,782
H12 0 0 197,544,000 0 211,084,052 781,354,632
H13 0 0 201,684,000 0 219,527,414 786,416,555
H14 0 0 205,824,000 0 228,308,511 786,850,005
H15 0 0 209,964,000 0 237,440,851 782,154,349
H16 0 0 214,104,000 0 246,938,485 771,799,460
H17 0 0 218,244,000 746,112,400 256,816,024 -13,271,513
H18 0 0 222,384,000 0 267,088,665 -59,715,463
H19 0 0 226,524,000 0 277,772,212 -114,292,585
H20 0 0 230,664,000 0 288,883,100 -177,687,036
H21 0 0 234,804,000 0 300,438,424 -250,621,104
H22 0 0 238,944,000 0 312,455,961 -333,857,057
H23 0 0 243,084,000 0 324,954,199 -428,199,074
H24 0 0 247,224,000 0 337,952,367 -534,495,264
H25 0 0 251,364,000 0 351,470,462 -653,639,778
H26 0 0 255,504,000 0 365,529,280 -786,575,010
H27 0 0 259,644,000 2,208,089,400 380,150,451 -3,208,625,987
H28 0 0 263,784,000 0 395,356,469 -3,440,404,410
H29 0 0 267,924,000 0 411,170,728 -3,691,160,672
H30 0 0 272,064,000 0 427,617,557 -3,962,115,656