第22回定期総会・公害の被害救済に関する決議

(決議)

われわれは、公害の予防と排除並びに被害者救済に関する宣言・決議をくりかえしおこなってきた。


しかるに、公害は、依然として拡大しかつ深刻の度を深めている。


われわれは、右宣言・決議の趣旨をさらに推進するため、政府に対し、公害をすべてその発生源において規制し、企業責任をより明確化し、公害の被害救済については因果関係の推定、無過失責任制度の採用、複合公害への対策などを早期に実現するよう強く要望する。


右決議する。


昭和46年5月29日
第22回定期総会


理由

われわれは、人命尊重の基本的態度を確立するために、昭和42年度及び昨年度の総会で公害防止を宣言し、かつ昨年度の人権大会においても5項目に亘る提言を行い、公害の絶滅にむけて努力をつくしてきた。


しかるに、第64回国会において、公害対策基本法の目的から「経済の発展との調和」が削除せられたのみで、われわれの提言は充分その実現をみるに至らなかったことは誠に遺憾である。


いまや公害による禍害は地域から広域へと拡大し、かつその度合をますます強めている。


よってわれわれは、前記の宣言・決議の趣旨を徹底させるとともに、これをさらに前進させる必要がある。即ち、公害をその発生源において規制し、予防・排除するためには、企業の責任を明確化するとともに、責任の態様も故意・過失の段階から無過失責任にまで拡大させるべきである。


さらに累積物質による公害が多発している現状に鑑み、複合公害による責任制度を確立しなければならない。また、公害行政については、地域住民の積極的参加による公害防止と対策を推進させるため、地方公共団体への権限の大幅委譲を行うべきである。


昭和46年5月29日
日本弁護士連合会