第21回定期総会・別件逮捕に関する決議

(第二決議)

いわゆる別件逮捕は、憲法および刑事訴訟法が保障する令状主義を潜脱するものであり、被疑者の自白を強要しようとする違法な行為である。よって当局は、捜査官に対して、これを禁ずるなど適切なる措置を講ずることを要望する。


右決議する。


昭和45年5月30日
第21回定期総会


理由

被疑者、被告人の諸権利は憲法および刑事関係諸法により保護され、ことに身体的拘束は令状によることを原則としている。しかるに捜査官は、この司法抑制の制度を潜脱して、いわゆる別件逮捕による捜査をしばしば行なっている。しかもその違法性を知りながら、その弊をあらためる努力を怠っている。別件逮捕に証拠資料を収集し難い重大事件について、令状なくして逮捕勾留の実を挙げ、被疑者に不利益な自白を強要する点に、虚偽自白発生の危険性をはらむばかりでなく、令状主義の原則を否定して、被疑者の基本的権利を侵害する捜査方法である。われわれ弁護士は、この別件逮捕により無実のものが身体の拘束をうけ処罰されることをさけるため、十分な弁護活動を展開するが、当局は捜査官に対し捜査の便宜にとらわれることなく、別件逮捕を厳禁するため行政指導を強化し、刑事訴訟法の一部改正をするなど適切なる措置を講ずべきである。


昭和45年5月30日
日本弁護士連合会