死刑廃止を考える[Q8]

国際社会から日本は何を求められているのでしょうか
  -日本の死刑に厳しい非難

国連の規約人権委員会は、日本の人権状況に関する第5回審査の総括所見(2008年10月28日付)において、世論調査の結果に関わりなく、死刑廃止を前向きに検討し、死刑廃止が望ましいことを国民に伝えるよう政府に求めました。その他、死刑制度に関しては、死刑執行の事前告知の欠如など非人道的処遇の廃止のほか、再審等による執行停止、必要的上訴を含む抜本的な制度改革も勧告されています。


いずれの勧告についても、日本政府は検討する姿勢さえ見せていませんが、まずは国際社会の声に真摯に耳を傾けることから始める必要があるといえるでしょう。


また、欧州地域の47か国により組織される欧州評議会も、オブザーバー国である日本に対して死刑廃止を求めています。欧州評議会人権理事会が2001年10月に発行したパンフレット「Death is not justice(死は正義ではない)」では、「The death penalty and democracy(死刑と民主主義)」と題する項目の中で、例えば以下のように述べています。


死刑はしばしば他の社会問題と切り離された別の問題として議論され、独立して評価される。これは誤解を招くものだ。死刑を廃止するか維持するかの選択は、私たちが住みたいと願う社会の種類とその社会を支えている価値の選択でもある。死刑の廃止は人権・民主主義・法の支配の理念によって特徴づけられる一まとまりの価値の一部である。


死刑を支持する国は、殺人や他の残忍な方法が社会の諸問題を解決するのに容認される手段であるというメッセージを送っている。そうした国は、冷血で計画的な殺人を正義として正当化する。そうすることによって、社会における人間的かつ市民的な関係と、そこに住む全ての人々の尊厳を傷つけている。明らかに、暴力は暴力を生むのである。


死刑の存廃については様々な論点がありますが、このパンフレットのQ&Aは、実際に死刑を廃止した国の視点で疑問に答えており、日本の死刑制度を考える上でも示唆に富んだ内容となっています。