日弁連新聞 第385号

未決拘禁の立法作業大詰め
理事会、4項目の行動提起を採択

有識者会議は2月2日に提言を提出予定

2005年12月6日にスタートした「未決拘禁者の処遇等に関する有識者会議」は、5回の会議を経て2月2日、提言を提出する予定である。同会議は、外部交通については、休日・夜間の接見、電話・ファックスを利用した外部交通を提言している。代用監獄の廃止については、委員の多数は現状を肯定し、漸減の提案すら少数意見にとどまった。日弁連は、刑事訴訟法学者からのヒアリングや海外調査など、更に時間をかけた審議を求める申入れをしたが、実現していない。


3月上旬までに法案提出か

有識者会議の提言を受けて、被逮捕者、被勾留者の処遇に関するいわゆる未決拘禁立法が用意される。
法案は、法務省・警察庁の共同所管で、3月上旬までに閣議決定の上、国会に提出される見込みである。法案の形式は、未既決分離か、先行の受刑者処遇法と合体したものとなるか未定であるが、後者が有力視される。警察独自の立法は回避される見込みである。
しかし、先に見たとおり、最大の問題である代用監獄の廃止の方向づけは厳しいものがあり、留置場での懲罰の禁止も予断を許さない。留置場の視察制度、不服申立は導入される見通しであるが、どの程度のものになるか定かではない。


全国の会員に学習会、市民集会などの行動を呼びかけ

日弁連理事会は、1月19日、「未決拘禁制度改革に向けての行動提起」を決定した。代用監獄の漸減や身体拘束制度の見直しなど七項目の要求事項を掲げ、代用監獄と未決拘禁制度の問題点について、(1)会内学習会、(2)市民集会等を開いて広く理解を求め、(3)学者・文化人への働きかけ、(4)国会要請などの行動を、全国の弁護士会と会員に呼びかけている。


(刑事拘禁制度改革実現本部 本部長代行 西嶋勝彦)


3/3 臨時総会開催
開示証拠の複製等の交付等に関する規程(案)についても総会議案とすることが決定

1月19日の理事会において、開示証拠の複製等の交付等に関する規程(案)が承認された。これで3月3日開催予定の臨時総会の議案が確定した。4議案は、いずれも弁護士業務に関わる重要規程を整備するものである。(→こちらに「Q&A」を掲載)


「裁判所の処置請求に対する取扱規程」(案)

昨年11月に施行された改正刑訴法により、法律に根拠をもつ処置請求が制度化された。そこで、裁判所から処置請求を受けた場合の弁護士会及び日弁連の会内手続を整備するもの。処置請求の対象となった当該弁護人の弁護権の擁護と適正手続の保障を図り、また処置請求への対処の適正・公平を担保する。


「開示証拠の複製等の交付等に関する規程」(案)

改正刑訴法により導入された新しい証拠開示制度を十分に機能させ、被告人の防御権及び弁護人の弁護権の保障を十全なものとし、同時に弁護士に対する信頼を確保するもの。開示証拠の複製等を被告人に交付等する場合と、被告人以外の者に交付等する場合に分け、会員が遵守すべき注意義務の内容を明確化する。


「法律事務所等の名称等に関する規程」(案)、「外国法事務弁護士事務所の名称に関する規程」(案)

今後、弁護士の多様化が進むことが予想される中で、事務所名称についての誤認・混同や、品位を損なう名称を防止するための基準を明らかにするもの。基本的には現状を大きく変えない範囲で、最小限の規制にとどめている。


2月17日「共謀罪とゲートキーパー立法に反対する市民集会」に多数の参加を!

共謀罪新設とゲートキーパー立法に反対する運動の一環として、2月17日午後六時より弁護士会館クレオにおいて、「テロ対策と市民の権利」をテーマに、斎藤貴男氏(ジャーナリスト)、森達也氏(映画監督)ら有識者や国会議員を招いての市民集会を開催する。


共謀罪については、先の特別国会で継続審議となった法案が今年の通常国会で採択される危険が高まっており、ゲートキーパー問題については、政府が昨年11月17日に金融情報機関(FIU)を金融庁から警察庁に移管すること、2007年の通常国会に法案提出することなどを決定している。


日弁連は、これらの動きに対し、市民の権利保護を軸とした反対運動を展開する方針であり、本集会をきっかけに十分な国民的議論につなげるべく、多数の会員及び市民の参加を呼びかけている。


サテライト研修「模擬労働審判」実施(1月13日)
4月の制度開始に向け実務運用を実演

会場が見守るなか、模擬労働審判の寸劇が進められた

本年4月1日からの労働審判制度施行に先立ち、サテライト研修「模擬労働審判」が行われた。


参加者には、労働審判手続申立書、答弁書、甲号証及び乙号証が配付され、その題材に従って、東京地方裁判所民事第36部(労働部)部総括の難波孝一判事を審判官役、逢見直人氏(連合副事務局長)、稲庭正信氏(東京経営者協会理事)を審判員役とする労働審判の寸劇が進められた。


労働審判委員会による期日前評議の場面では、審判員から審判官に対し、自身の経験に照らして率直な意見が述べられていた。


第1回期日の場面では、審判官と申立人、相手方双方の代理人との間で争点整理がなされた後、早速当事者らに対する審尋があり、さらに調停の試みがなされた。


第2回期日の場面では、関係者の審尋に続いて、双方代理人から審尋結果を踏まえた最後の主張が即座に口頭でなされた後、踏み込んだ調停が行われた。


第3回期日の場面では、調停が成立せず、口頭で労働審判の告知がなされた。


口頭主義の原則にのっとり、第1回から第3回の期日がテンポ良く進む様子が寸劇によってわかりやすく紹介されており、参加者が同制度のイメージを抱くのに大変有益であった。


寸劇終了後、菅野和夫教授(明治大学法科大学院)をコーディネーターとして、難波判事、鵜飼良昭会員(横浜)、石嵜信憲会員(第一東京)による講評がなされた。


鵜飼、石嵜両会員は、労使の代理人の立場から、どのような事件が労働審判制度に相応しいかについて、それぞれの見解を紹介した。難波判事は「労働審判制度では、なるべく調停での決着をつけたい。対象としては、3回で審理が終了し、調停が可能な事案が望ましい」と述べていた。


ひまわり

入局して1年が経った。日弁連がいかに重要な活動をしているかを知らされる日々であった。活動の中心は委員会であり、現在その数は、資格審査会等の法定委員会、人権擁護委員会等の常置委員会、経理委員会等の特別委員会、その他ワーキンググループを合わせて125にのぼる▼これほどの委員会があるのも、日弁連がカバーする領域が広く、多種多様な分野の問題に対応する必要があるからであり、こうした委員会制度が、他の士業団体とは大きく異なる日弁連の特色である▼今後も委員会が政府の施策や国会の立法などに影響を与える活動をすることが期待されるが、活動が活発化するにつれ、活動方法につき検討を要する課題も生じてきているのではなかろうか▼例として、会員に対するアンケート調査が挙げられよう。委員会活動の活発化に伴いアンケート調査が多用されることが考えられるが、各委員会間での調整が図られないと、同じような調査が行われ、経費や会員負担の増大につながりかねない▼国では総務省統計局が、国民負担軽減を図る見地から各省庁の調査を事前に審査し、不必要な項目、他の調査と重複した項目を排除すべく調整している。日弁連でも、こうした調整を検討すべき時期に差しかかっているのではないか。(K・T)


処置請求・開示証拠Q&A 

臨時総会の議題(その1)
裁判所の処置請求に対する取扱規程(案)

Q1 なぜ、今、裁判所の処置請求に対する取扱規程案を提案するのか?


A1 従前から存在した訴訟遅延行為に関する処置請求(刑事訴訟規則第303条第2項)に加え、改正刑事訴訟法によって、法律に根拠をもつ処置請求が制度化されました。これにより、処置請求の対象となった当該弁護人の弁護権擁護と適正手続保障の観点から、また裁判所の処置請求への対処結果の適正・公平を担保するため、弁護士会及び日弁連の会内手続をあらかじめ整備する必要が生まれました。


また、弁護士会によっては処置請求に対処する手続が整備されない場合が生じたり、会内手続の基本的な部分についてまで弁護士会毎に規定内容が異なる状態が生じた場合、調査の公正さや、対処結果の適正・公平などに疑念が生じるおそれもあります。そのため、裁判所の処置請求に対する会内手続の基本的な部分については、弁護士会及び日弁連が一体となって統一的な規定を置く必要があると考え、本規程案を提案しました。


Q2 弁護士会と日弁連はどのような場合に処置請求に対処するのか?


A2 処置請求には、弁護士会に対するものと日弁連に対するものがあり、本規程案では、それぞれ次のように取り扱うことと定めました。


  1. 弁護士会に処置請求があった場合
    弁護士会に処置請求があったときは、弁護士会が自ら処置請求に対処することを原則とする(第2条第1項)。但し、弁護士会において「日弁連が処置請求に対処することが相当と判断したとき」は、弁護士会から日弁連に事案を送付し、日弁連が処置請求に対処する(第2条第2項、第6条第3項)。
    また、弁護士会は、日弁連から事案の送付を受けたとき、処置請求に対処する(第2条第3項、第6条第1項)。
  2. 日弁連に処置請求があった場合
    日弁連に処置請求があったときは、日弁連から弁護士会に事案を送付し、弁護士会が処置請求に対処することを原則とする(第6条第1項)。日弁連が自ら処置請求に対処することができる場合は、(1)当該弁護士が複数であり、かつ、弁護士会が複数にわたるとき、(2)その他連合会が処置請求に対処することを相当と認めたときであり(同第2項)、そのいずれの場合もあらかじめ弁護士会の意見を聴かなければならない(同第2項後段)。
    また、日弁連は、弁護士会から事案の送付を受けたとき、処置請求に対処する(第6条第3項、第2条第2項)。

Q3 結論を出す前提としてどのような調査をするのか?


A3 弁護士会が処置請求に対処する際の調査機関は一律ではありません。弁護士会の実情に応じて、常議員会、役員又はいずれかの委員会を選択し(第3条第1項)、弁護士会の規則等でこれを定めます(第10条第1項)。


また、日弁連に関しては、新たな特別委員会として「処置請求に関する調査委員会」を設置することを検討しています(第7条第1項)。


調査方法としては、(1)当該弁護士、関係人、裁判所、検察官その他の者に対して陳述、説明若しくは資料の提出を求めること、(2)公判調書その他の関係書類を検討するなどが典型例ですが、その他適宜の方法により調査することができると定めています(第3条第6号、第7条第4号)。


Q4 調査結果に基づきどのような結論が出るのか?


A4 処置することを相当と認める場合には、助言又は勧告と、懲戒手続に付すことの二種類の処置を定めました(第4条第1項)。この処置は、いずれか一方を行う場合の他、助言又は勧告し、かつ同時に懲戒手続に付す場合も可能としました。ちなみに、「助言又は勧告」は、弁護士法第31条第1項、同第45条第2項、会則第3条に定める指導監督権限に基づくものです。また、このような処置をする場合には、適正手続の保障の観点から、当該弁護士に意見陳述の機会を与えなければならないと定めました(第4条第2項、第8条第2項)。


次に、事案の調査の結果、処置しないことを相当と認めるときは、その旨の決定をします(第4条第3項、第8条第3項)。処置請求を受けた弁護士会又は日弁連は、法令上の懲戒処分等の処置をとることを義務付けられるわけではないからです。


なお、事案を調査した結果、裁判所の訴訟指揮や検察官の訴追活動等に問題があると判断された事案では、裁判所に対して結果を通知する際、裁判所の訴訟指揮等についての意見や検察官の訴訟活動に関する意見等を付すことができることとしました(第5条第2項、第9条第2項)。


Q5 結論を出すまでの期間を「原則として3か月以内」とするのは適当か?


A5 処置請求は現に係続中の裁判についてなされるものであること、被告人の「迅速な裁判を受ける権利」は憲法上の要請であることを考えると、処置請求に対しては迅速に対処し、早急に結論を出す必要があります。そこで、結論を出すことに困難があるケースについては例外的な取扱いが許容されることを前提に、結論を出すまでの原則的期間を「3か月以内」と定めました(第4条第4項、第8条第4項)。


臨時総会の議題(その2)
開示証拠の複製等の交付等に関する規程(案)

Q1 なぜ、今、開示証拠の複製等の交付等に関する規程を制定するのか?


A1 新しい証拠開示制度の導入に伴う証拠開示の拡大は、その複製等の流用によって第三者の名誉やプライバシーを侵害したり、罪証隠滅や証人威迫を誘引するなどの弊害を発生させる可能性を内在しています。このような弊害の発生が現実のものとなり、それを理由として、開示範囲が限定的に運用される事態を招いてはなりません。


また、秘密又はプライバシー等の情報が流出する危険性は、「保管又は廃棄」の場面よりも、事件記録の「利用」「使用」に関する場面の方がより高いことは明らかです。したがって、後者についても、弁護士に求められる注意義務の内容をできる限り具体的に示すことが求められます。改正刑事訴訟法が施行された今、事件記録の「保管又は廃棄」に関してのみ行為規範を定める弁護士職務基本規程第18条を補完・補充する趣旨で、弁護士の行為規範を明確化する必要性が高くなったと言うべきです。


そこで、新しい証拠開示制度を十分に機能させ、被告人の防御権及び弁護人の弁護権の保障を十全なものとし、同時に弁護士に対する信頼を確保することに資するものとするため、本規程案を提案しました(第1条)。


Q2 被告人に対して開示証拠の複製等を交付等することは制約されるのか?


A2 被告人が、開示証拠の複製等の交付等を受けて、刑訴法326条の同意を行うか否かなどの証拠意見の検討や、検察官申請証人に対する反対尋問の準備などを行うことは、防御のために必要な行為です。そこで、弁護人が、審理準備のために、開示証拠の複製等を被告人に交付等できることを当然の前提とした上で、本規程案は、被告人に対して複製等を交付等する場合に弁護人に求められる「行為規範」を定めました(第3条)。


Q3 被告人に対して複製等を交付等する際に求められる注意の内容は何か?


A3 第3条(被告人への交付等)の内容は、大別すると、(1)適正な管理の指示、流出防止の配慮、(2)被告人の正当な利益擁護のための助言の二つに整理することができます。


  1. 適正な管理の指示、流出防止の配慮(第1項)
    複製等に含まれる秘密及びプライバシーに関する情報が被告人から審理準備と関係なく流出する事態が生じないようにするため、被告人に複製等を交付等する際に、弁護人に対し、複製等に含まれる秘密及びプライバシーに関する情報の取扱いに注意することを促がすことを求めるものです。
  2. 被告人の正当な利益擁護のための助言(第2項)
    被告人が刑訴法281条の4第1項の規定に反する行為を意図的に行い、それによって被告人が新たな刑事責任を負うことを防ぐことは、弁護人の責務に含まれると考えます。そこで、複製等の目的外使用を禁止する刑訴法の規定やその罰則の内容を被告人に説明することを弁護人に求めました。

Q4 被告人以外の者に対して複製等を交付等する際に求められる注意の内容は何か?


A4 証人予定者についての尋問準備、検察官請求鑑定書の信用性の吟味を研究者に依頼すること、目撃者を探すために駅頭でビラを配布すること等は、防御のために必要な行為です。そこで、弁護人が、審理準備のために、開示証拠の複製等を被告人以外の者へ交付等できる場合があることを当然の前提とした上で、被告人以外の者に対して複製等を交付等する場合に弁護人に求められる「行為規範」を定めました。


第4条(被告人以外の者に対する交付等)の内容は、大別すると、(1)必要な範囲を超えて情報が伝えられないよう交付等の方法を工夫すること等、(2)使用目的が終了した後の対応に関する指示等の二つに整理することができます。


  1. 交付等の方法に関する工夫等(第1項)
    被告人以外の者に複製等を交付等する段階で、秘密又はプライバシーに関する情報のうち使用目的に必要ではない部分を墨で消すなどして削除したり、あるいは交付等の相手方に対して秘密又はプライバシーに関する情報を第三者に伝えないように注意を与えること等を求めるものです。
  2. 使用目的が終了した後の対応に関する指示等(第2項)
    例えば、被害者のプライバシー等を侵害する可能性のある複製等については、複製等を交付等する時点において、使用を終えた後は返還・廃棄ないし削除等をするように指示等をすることが必要です。また、目撃者を探すために実況見分調書の添付図面をインターネット上に掲載する場合では、目的を達したと認めた後は速やかにインターネット上での掲載を終了させるべく、複製等を交付等する時点において必要な指示等をすることが求められます。

Q5 本規程の定める「行為規範」に従って行動したが、秘密又はプライバシーを侵害する状況が発生した場合、その責任はどうなるのか?


A5 本規程は、弁護士に「結果責任」を負わせるものではありません。弁護人が本規程の定める「行為規範」に沿った対応をした場合、仮に被告人が刑事訴訟法281条の4に違反する行為などを行ったり、複製等に含まれる秘密又はプライバシーに関する情報が被告人以外の者から使用の目的を超えて流出する事態が発生したとしても、当該弁護士に責任があるとはされません。


事務所名称Q&A
臨時総会の議題(その3)

Q1 今回の規程制定の意義はどこにありますか。


A1 現在、弁護士法人については「弁護士法人の名称に関する規程」がありますが、弁護士の事務所については、会則18条1項2号において「弁護士の事務所」が弁護士名簿の記載事項とされているものの、名称に関する規定はありません。弁護士法20条1項は「弁護士の事務所は、法律事務所と称する」と定めていますが、同規定は、弁護士が事務所名称を付する場合に必ず「法律事務所」の文字を使用することまで義務付けているものではないと解されてきました。そのため、弁護士の事務所名称中には現に「法律事務所」の文字を使用していない例が見受けられます。


しかしながら、弁護士法74条は弁護士又は弁護士法人でない者が「弁護士」「弁護士法人」「法律事務所」等を称することを禁じています。これは、一般人が弁護士、弁護士法人でない者を弁護士又は弁護士法人と誤信する等して不測の損害を被ることを防止するためです。こうした同条の趣旨を全うするためには、弁護士、弁護士法人は、事務所名称中に必ず「法律事務所」の文字を使用することによって、一般人がかかる誤信等をしないようにする必要があると考えられます。


また、弁護士大増員時代を迎え、今後弁護士の思考や価値観等の多様化が一段と進むことが予想され、これに伴って、事務所名称にもさまざまなものが現れ、他の法律事務所と誤認、混同を生じたり、時には品位を欠く等の不適切な事務所名称が現れるようになることも懸念されます。このような状況の下で、事務所名称について一定のルールを設け、弁護士にアクセスしようとする市民に法律事務所の誤認、混同を生じることがないようにしたり、その他不適切な名称を防止、排除するための措置等を講じておくことが求められると考えられます。これが今回の規程制定の趣旨です。


Q2 規程案では、どのような規制が予定されているのですか。


A2 主な点は次のとおりです。
(1)事務所名称を付するか否かは任意です。(2)事務所名称を付するときは日弁連に届け出なければならないものとします(10条1項)。(3)事務所名称中には「法律事務所」の文字を用いなければならないものとします(3条)。なお、「法律事務所」の文字の分断使用については、既に広く実例があるので、一律の禁止規定は置かず、行き過ぎたものについて品位を損なうか否かによって規制することとしました。(4)事務所名称に使用できる文字は、日本文字、ローマ字、アラビヤ数字等に限定します(第4条)。(5)所属弁護士会の地域内にある他の弁護士、弁護士法人の事務所名称、法人名称と同一の名称を事務所名称とすることはできないものとします。ただし、自己もしくは共同事務所の他の弁護士(当該共同事務所の弁護士であった者で死亡等により登録を取り消されたもの等も含む)の氏又は氏名のみを用いるような場合等は、例外とします。(6)不正の目的をもって他の弁護士、弁護士法人等と誤認されるおそれのある事務所名称を付してはならないものとします(7条)。(7)共同事務所の弁護士は、同一の事務所名称を付さなければならないものとします(9条)。(8)品位を損なう名称を付してはならないものとします(8条)。


Q3 私はもともと、特段、事務所名は付けずに業務を行ってきましたが、勤務弁護士が入所した際、その弁護士は、私の名前を付した事務所名称を日弁連に届け出ています。規程制定後はどのようになりますか。


A3 事務所名称を届け出ていただく必要があります。
規程案9条は「共同事務所の他の弁護士が事務所名称を付しているときは、当該事務所名称と同一の事務所名称を自己の事務所名称として付さなければならない」と規定しています。まず、設例の場合は、規程案での「共同事務所」に該当します(2条4号)。そして、「共同事務所」では、他の弁護士と同一の事務所名称を付さなければならず(9条)、事務所名称を付したときは日弁連に届け出なければなりません(10条1項)。


Q4 日弁連に届け出ている通称を用いた事務所名称を使おうとしたところ、同じ弁護士会の地域内に同じ名称の法律事務所が存在することが判りました。「同一名称」として使用できないことになりませんか。


A4 使用できます。
規程案5条にいう「自己の氏又は氏名」には、婚姻後も婚姻前の氏をそのまま用いている場合などのように、登録氏又は登録氏名以外の呼称で通称として会員名簿に登載されているものも含まれます。したがって、日弁連に届け出ている通称の氏又は氏名を付した事務所名称であれば、同一であっても使用できます。


Q5 現在氏名の後に「弁護士事務所」と付けた事務所名称を使用しているのですが、事務所名称を直ちに変更しなければならないのですか。


A5 2006年12月31日までに変更すれば足ります。
規程の施行日は2006年6月1日を予定していますが、3条(「法律事務所」の文字使用)に関しては、適用を猶予し、2006年12月31日まで適用されないことを予定しています。同日までに限ってですが、現在の事務所名称を使用することができることになります。


TAKE OFF! 司法支援センター《14》
地方事務所や職員の選定・確保に向けて

2006年度予算の政府案の確定を受けて、正にようやく、各地の地方事務所の姿がぼんやりと見えるようになりました。地方準備会委員長の任期も、あとわずかとなり、地方事務所「所長予定者」へと表現方法が変わってきています。


昨年末には、地方事務所の具体的設置場所の選定作業と地方事務所一般職員採用手続に関し、法務省準備室から地方準備会委員長宛に、極めて詳細な指示がなされております。例えば、地方事務所の具体的なレイアウトの検討・作成についても、ある程度全国統一の利用環境や執務環境を整える必要があるとして、各地方事務所のレイアウト案の作成や内装工事の仕様書作成に至るまでの作業は、所要の手続に従い専門業者一社に委託する方向とのことです。職員についても、裁判所などからの出向を要望するなら速やかに連絡するようにとのことでした。


香川地方準備会では、弁護士会館内での地方事務所開設を諦め、候補物件として、不動産仲介業者から合計21物件の紹介を受け、弁護士会ワーキンググループなどでの検討に着手し、3物件に絞り込んで、市民が利用しやすい場所を確保すべく、更に調査検討中です。


一般職員採用に関しては、法務省準備室から示されたモデル案を参考に、具体的人選に入っておりますが、各地と同様、所長予定者としては、弁護士会との重い綱引き作業が進行中です。自主事業の行方とともに、当番弁護士など弁護士会の事業を、司法支援センターの本来業務との間で、どの様な形態で連携していくかを定める必要があります。連携形態が定まらないと、事務職員の雇用形態、とりわけ弁護士会事務職員と司法支援センター事務職員との兼務の必要性が明らかになりません。


地方事務所としては、とにかく離陸して、本年10月からは、総合法律支援法が目指すところの「司法をより身近で利用しやすく」するために、順調に飛行を続けなければなりません。


いずれにしても、順調に離陸するまでにこれからもいくつかのハードルがあろうかと考えられますが、地方事務所所長予定者である各地の地方準備会の委員長に対し、引き続き、絶大なるご協力をお願い致します。


(日本司法支援センター推進本部委員/日本司法支援センター香川地方準備会委員長 川東祥次)


シンポジウム「差別禁止法の制定に向けて」開催 (1月14日・弁護士会館)
障がいのある人に対する配慮義務はどうあるべきか

障害者基本法だけでは司法的救済は不十分
「プロジェクト・ブレーメン」(県民自身による計画実行)を説明する堂本知事

日弁連は2001年の人権擁護大会で「障害のある人に対する差別を禁止する法律の制定を求める宣言」を採択している。その後、人権擁護委員会で調査研究が進められ、昨年12月「障がいを理由とする差別を禁止する法律」(差別禁止法)人権擁護委員会第1次試案が発表された。竹下義樹会員(京都)は基調講演において、「障害者基本法には裁判規範となる具体的権利が定められていないので、同法だけでは司法的救済は不十分。合理的配慮義務違反を明確に『差別』と規定する差別禁止法の制定が必要だ」と述べた。


千葉県の取組み  ― 当事者の声を形にして

千葉県では障害者差別禁止条例の要綱がまとまり、条例制定に向けて最終的な段階に入っている。堂本暁子同県知事は、「本条例は当事者自らが声を上げ自主的にタウンミーティングを重ねるなど、県民活動のうねりを背景にボトムアップ方式で形になったもの。このようなプロセスを経た『生きた条例』が、心の障壁をも取り除いてくれることを期待している」と語った。


差別禁止法の制定は世の中の意識を変える

長門利明氏(内閣府参事官・障害者施策担当)は「障害者基本法の活用で足りる場面も多い」と述べたが、会場からは「基本法では金銭的な事後救済しか望めない。主張できる具体的権利が欲しい」との意見が出された。その他、障がい者の雇用促進は企業の社会的貢献ではなく責務である、手話を含めた教育の重要性、差別禁止法の制定は世の中の意識を変える国の理念の問題だ、などの意見が発表された。


国会議員も含め約250名が参加した今回のシンポジウムや差別禁止法試案発表がきっかけとなり、法制定に向けての議論が高まることが期待される。


新弁護士会北から南から〔第48回〕 函館弁護士会(2)

前回に引き続き、函館弁護士会編をお送りします。今回は、若手を中心に、函館で活躍する会員を紹介します。


(広報室嘱託 五三智仁)


50期代若手会員の急増
小笠原会長を囲んで。もはや函館で若手は珍しくない

函館弁護士会の会員数は1998年まで22名だったが、99年以降、現在までに50期代の会員が8名入会した。その先鞭をつけたのが、今年度副会長の植松直会員(51期)である。


実は、43期の和根崎直樹会員が入会した後、植松会員が入会するまでの間、函館弁護士会には44期以降の会員が入会することがなかった。植松会員は、何と8年ぶりの「期待の新人」だったわけである。


その後、弁護士会において期待に違わぬ活躍を続ける植松会員であるが、市民団体「戦争をしないための選択・9条を考える道南の会」に所属して、平和をテーマにした音楽イベントを主催するなど、その活躍の場は弁護士会にとどまらない。ジョン・レノンを崇拝する同会員の事務所の1階には、立派な音楽スタジオが設けられているとのこと。拝見できなくて残念であった。


若手会員にお勧め(?)函館弁護士会

弁護士会館を訪問した当日、吉田貴行会員(55期)、平井克宗会員、平井喜一会員(ともに57期)にもお目にかかることができた。


吉田会員は、2年間の勤務弁護士を経て、2004年10月より市内に事務所を構えている。同会員は、年間40件以上も国選弁護をこなしているという。


平井喜一会員は後出の嶋田会員の事務所に所属しているが、平井克宗会員は1年間の勤務弁護士をした後、早くも昨年10月に独立して事務所を構えている。「独立する際には、弁護士会が色々と面倒を見てくれるし、国選弁護や法律相談をこなしていけば、仕事に困ることはない」と話してくれた。独立開業の指向が強い若手会員には、函館弁護士会はお勧めのようである。


道南圏初の女性会員
男性ばかりの弁護士会に風穴を開けた辻中会員

函館弁護士会には、2003年まで女性会員が入会したことがなかった。その歴史を打ち破り、2004年5月に入会したのが辻中佳奈子会員(54期)である。


奈良県出身で神戸修習だった辻中会員は、2001年10月大阪弁護士会に登録し、その後2年半、弁護士数12名の事務所に所属し、企業法務を中心に執務した。同期で函館弁護士会所属の野末勝宏会員との結婚を機に、登録替えをしたという。


「函館では市民を対象とするあらゆる事件を手掛けなければならない。離婚やDVなど、事件や相談の内容によっては特に女性弁護士が求められることがあるので、大変忙しくしている」と話してくれた。なにしろ、道南圏初の女性弁護士であり、市民の期待も大きいことであろう。益々のご活躍を祈念するところである。


司法支援センターの設置

さて、ここまで50期代の若手会員を紹介したが、弁護士会館ではベテラン会員にもお会いすることができた。


平井喜一会員のボスである嶋田敬昌会員(31期)は、日本司法支援センター函館地方準備会の委員長。前号で触れたとおり、函館弁護士会に50期代の若手会員が増えたとはいえ、法律事務所は函館市内に集中しており、弁護士過疎の地域が多数存在する。委員長としての嶋田会員の活躍には、大きな期待が寄せられる。


嶋田会員は「司法支援センターを八雲町と江差町に設置されるよう検討を進めている。2009年には、被疑者国選制度に対応するべく、スタッフ弁護士を函館に常駐させたい」と想いを語ってくれた。道南地方の市民のため、日夜奮闘努力している嶋田会員であった。


5時間で32件の相談!

函館弁護士会では、法律扶助協会函館支部と共同で巡回法律相談を行っている。会員が各担当日に、弁護士過疎地域である管内の各町の公民館等に赴き、無料相談に応じるというものである。


通常、午前10時から午後3時までの5時間のうちに五件前後の法律相談があるのが普通。時には相談者がいないこともある。そんな中、何と1日に32件もの相談を受けた会員がいるというので、ご紹介いただいた。38期の山本啓二会員である。


突然のお願いにもかかわらず、山本会員は(なぜか)野球のボールを片手に快く取材に応じてくれた。


問題の日は、真夏日が続いていた昨年8月5日、場所は八雲町の公民館であった。


このビラがすべての始まりだった

函館市内から弁護士がやって来るということで気合いを入れた町役場が、「巡回法律相談のお知らせ」というビラを用意し、さらに防災無線や宣伝カーを使って広報した。その結果、32名もの相談者が集まったというのである。


「境界問題や、相続問題など、色々な相談があったが、とにかく次から次へと相談に応じて、各相談者には満足してもらえたと思う」と事も無げに話す山本会員。ここにもスーパー弁護士がいた。