会長からのご挨拶(2016年10月1日)

 

会長からのご挨拶

中本和洋会長

会長就任後、半年が過ぎました。

 

7月1日に東北、7月22日に北海道、9月9日に関東、9月23日に九州の各弁護士会連合会定期大会が開催されました。大会では、日弁連執行部と各弁護士会連合会会員との意見交換会が開催され、法曹人口や給費制等の法曹養成、可視化、被疑者国選弁護制度の拡充、司法取引等の刑事訴訟法改正、弁護士過疎等について充実した意見交換がなされました。

 

10月6日からは、福井市において人権擁護大会が開催されます。今大会では、「憲法の恒久平和主義を堅持し、立憲主義・民主主義を回復するための宣言案」、「あるべき主権者教育の推進を求める宣言案―民主的な社会を担う資質を育むために―」、「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言案」が審議される予定です。福井市での開催は初めてであり、ぜひとも、多くの会員に参加していただき、充実したシンポジウムや討論が行われることを祈念しています。

 

また、日弁連では、従来から、弁護士の不祥事対策を実施していますが、これらの施策に加えて、今般、預り金の管理制度の強化(不祥事防止策)と、依頼者保護給付金(仮称)制度の創設(不祥事発生後の対応策)について、併せて検討を行っています。弁護士の不祥事は、一旦、状況が落ち着いたかに見えましたが、昨年あたりから、再び成年後見人の横領事件等の報道が増え、弁護士全体に対する社会的信頼が揺さぶられかねない事態とも言えます。

 

日弁連は、不祥事防止策として、2013年に預り金等の取扱いに関する規程を制定し、会員に対し預り金口座の開設を義務付けています。

 

今回はさらに、開設した預り金口座について、所属弁護士会に届け出ることを義務付け、弁護士会は、会員に対して、一定回数以上の預り金に関する苦情等があった場合には、預り金口座の保管状況全般について報告を求めたり、調査することができる等、規制を強化することを検討しています。

 

また、預り金の横領等の被害者に対し、裁量的に、見舞金を支給する依頼者保護給付金(仮称)の創設を検討しています。現在検討している案は、個人の被害者を対象として、加害弁護士が被害弁償する資力が十分でない場合、会長が支給基準や事案の性質等を勘案して、支給の申請をした被害者に給付金を支給するか否か、そして支給するとした場合には、1人につき500万円を上限として、具体的な支給額を決定するというものです。各弁護士会の意見や理事会での審議の結果をみて、今後、導入の是非を検討します。

 

9月6日には、平成28年司法試験最終合格発表があり、1583人の合格が発表されました。日弁連は、現実の法的需要や新人弁護士に対するOJT等の実務的な訓練に対応する必要性から、急激な法曹人口の増員ペースを緩和すべく、司法試験合格者については、まずは早期に年間1500人とすることを提言しています。本年の合格者数は、昨年から267人減少し、法曹人口の増員ペースが一定程度緩和されたと言えるものであり、この流れに沿って早期に1500人にすることが期待されます。

 

給費(修習手当)の創設に向けての取り組みについては、日弁連司法修習費用給費制存続緊急対策本部や各弁護士会、ビギナーズネット(司法修習生の給費制復活のための若手ネットワーク)の活動により、400人を超える国会議員から賛同メッセージをいただきました。政府のいわゆる「骨太の方針」や、「未来への投資を実現する経済対策」の中にも、「司法修習生に対する経済的支援を含む法曹人材確保の充実・強化」という文言が入りました。いよいよ、修習手当の創設に向けて、具体的な検討をすべき段階に至っています。これから、裁判所法の改正や予算獲得に向けての更なる取り組みが必要となりますが、日弁連は実現に向けて各方面に全力で働きかけていきます。皆さまの引き続きのご支援、ご協力をお願いいたします。

 

 

2016年(平成28年)10月1日
日本弁護士連合会会長 中本 和洋(なかもと かずひろ)