会長からのご挨拶(2016年7月1日)

 

会長からのご挨拶

中本和洋会長

会長に就任して、3か月が経過しました。

 

4月から行ってきた、最高裁判所、法務省、政党、マスコミ、経済団体、労働団体等の挨拶回りも5月上旬に終わりました。また、正副会長就任披露宴や各弁護士会での会合等への出席などの忙しいスケジュールも、5月27日の旭川での日弁連定期総会をもって終わりました。

 

この間、4月14日には、熊本地震が発生し、日弁連は直ちに熊本地震災害対策本部を立ち上げ、熊本県弁護士会と協力して電話相談や現地での法律相談に取り組んでいます。私も5月2日、熊本に行き、現地の被害状況を調査すると共に、熊本県知事や熊本市長に面会し、法律相談場所の提供や被災者への広報等について意見交換を行いました。さらに、5月27日に成立した、改正総合法律支援法により、大規模災害被災者への無料法律相談制度が設けられました。熊本地震の被災者に対する法的支援を実施するため、大規模災害被災者に対する無料法律相談制度に関する部分については、他の部分に先行して7月1日に施行されます。

 

この他、刑事訴訟法等の一部改正法も成立しました。日弁連は、長年にわたり、刑事司法改革を訴え、全件での取調べの可視化(全過程の録画)の実現に取り組んできました。今回の改正は、録音・録画の義務付けの対象を、裁判員裁判対象事件および検察独自捜査事件について逮捕または勾留されている被疑者の取調べに限定しているものの、対象事件については全過程の録音・録画を原則としています。また、被疑者国選弁護制度の勾留全件への拡大、証拠リストの交付等の証拠開示の拡大、裁量保釈の判断に当たっての考慮事情の明確化等、複数の重要な制度改正が実現したものであり、全体として刑事司法改革が確実に一歩前進するものと評価しています。

 

また、児童福祉法等の一部を改正する法律も成立しました。これは、児童虐待について発生予防から自立支援までの対策につき、児童相談所の体制を強化する等の必要な措置を講ずるというものです。具体的には、本年10月から、各地の児童相談所に、弁護士を配置することまたはこれに準ずる措置を行うということが定められています。日弁連は、理事会や関連委員会で改正法について説明し、弁護士の配置の実現に向けて協力を求めていくつもりです。会員の皆さまにおかれましても、ご理解、ご協力をお願いいたします。

 

最後に、司法修習生の経済的支援の実現については、5月24日付け自民党政務調査会・司法制度調査会の中間提言に「司法修習過程における経済的支援を拡充・強化」が、6月2日に閣議決定された政府の骨太方針の中には、「司法修習生に対する経済的支援を含む法曹人材確保の拡充・強化」が盛り込まれました。経済的支援の実現に向けて大きな前進があったものと理解しており、日弁連は引き続き弁護士会や関係団体と連携しながら実現に向けて取り組みを進めてまいります。

 

 

2016年(平成28年)7月1日
日本弁護士連合会会長 中本 和洋(なかもと かずひろ)