懲戒制度

懲戒制度の概要

弁護士および弁護士法人(以下「弁護士等」といいます。)は、弁護士法や所属弁護士会・日弁連の会則に違反したり、所属弁護士会の秩序・信用を害したり、その他職務の内外を問わず「品位を失うべき非行」があったときに、懲戒を受けます(弁護士法56条)。懲戒は、基本的にその弁護士等の所属弁護士会が、懲戒委員会の議決に基づいて行います。


弁護士に対する懲戒の種類は、次の4つです(同法57条1項)。


  1. 戒告(弁護士に反省を求め、戒める処分です)
  2. 2年以内の業務停止(弁護士業務を行うことを禁止する処分です)
  3. 退会命令(弁護士たる身分を失い、弁護士としての活動はできなくなりますが、弁護士となる資格は失いません)
  4. 除名(弁護士たる身分を失い、弁護士としての活動ができなくなるだけでなく、3年間は弁護士となる資格も失います)

 

弁護士法人に対する懲戒の種類は、弁護士に対する懲戒とほぼ同じですが、若干の違いがあります。詳細は、弁護士法57条2項以下をご参照ください。


なお、弁護士法人に対する懲戒は、法人自身に対する懲戒ですので、懲戒の効力は法人を構成する社員である弁護士や使用人である弁護士に直接及ぶものではありません。


弁護士会への懲戒請求の手続

弁護士等に対する懲戒の請求は、事件の依頼者や相手方などの関係者に限らず誰でもでき、その弁護士等の所属弁護士会に請求します(同法58条)。


※所属弁護士会は、→弁護士情報検索で調べることができます。


懲戒の請求があると、弁護士会は綱紀委員会に事案の調査をさせ、綱紀委員会は前述の懲戒委員会に事案の審査を求めることが相当かどうかについて議決をします。なお、弁護士会自らの判断で綱紀委員会に調査をさせることもできます(同法58条)。


なお、懲戒の事由があったときから3年を経過したときは、懲戒の手続を開始することができないことになっていますので、ご注意ください(同法63条)。


弁護士会は、綱紀委員会の調査の結果、懲戒委員会に事案の審査を求めないことを相当とする旨の議決がなされれば、その弁護士等を懲戒しない旨の決定をし、弁護士会での手続としては一応終了します。(※不服があるときは →日弁連への異議申出の手続へ)


綱紀委員会の調査の結果、懲戒委員会に事案の審査を求めることを相当と認める旨の議決がなされれば、弁護士会は、懲戒委員会に事案の審査を求めます。


懲戒委員会は、その弁護士等を懲戒することが相当かどうかについて審査をします。審査の結果、懲戒相当と認められれば、処分の内容を明示して、その旨の議決をし、弁護士会がその弁護士等を懲戒します。(※処分が不当に軽いと思うときは →日弁連への異議申出の手続へ)


懲戒不相当と議決されれば、弁護士会は、その弁護士等を懲戒しない旨の決定をします(同法58条)。(※不服があるときは →日弁連への異議申出の手続へ)


日弁連への異議申出の手続

※ 最初から日弁連に懲戒の請求をすることはできません。まず、その弁護士等の所属弁護士会に請求してください。 →弁護士会への懲戒請求の手続


懲戒の請求をした方は、弁護士会が懲戒しない旨の決定をしたときや、相当の期間内に懲戒の手続を終えないとき、懲戒の処分が不当に軽いと思うときは、日弁連に異議を申し出ることができます(同法64条)。


異議の申出の方法については、以下をご参照ください。


異議の申出があると、


  • 弁護士会の懲戒委員会の審査に付されていない事案(綱紀委員会の議決に基づいて懲戒しない旨の決定をした事案など)については、日弁連の綱紀委員会で異議の審査を行います。 →aへ
  • 弁護士会の懲戒委員会の審査に付された事案については、日弁連の懲戒委員会で異議の審査を行います。 →bへ

a.

日弁連は、日弁連綱紀委員会が異議の申出に理由がある旨の議決をしたときは、事案を弁護士会(の懲戒委員会)に送付したり、速やかに懲戒の手続を進めるよう命じたりします。


日弁連綱紀委員会が異議の申出に理由がない旨の議決をしたときは、日弁連は、異議の申出を棄却する決定をします。また、異議の申出が不適法である旨の議決をしたときは、却下する決定をします(同法64条の2)。


異議の申出をした方は、日弁連が綱紀委員会の議決に基づいて異議の申出を却下または棄却する決定をした場合(ただし、「相当の期間内に懲戒の手続を終えないこと」を理由とする異議の申出を除きます。)で、不服があるときは、日弁連に綱紀審査会による綱紀審査を行うことを申し出ることができます(同法64の3.1項)。


綱紀審査の申出の方法については、→綱紀審査の申出の方法について をご参照ください。


日弁連は、綱紀審査会が綱紀審査の申出に理由がある旨の議決をしたときは、事案を弁護士会(の懲戒委員会)に送付します。


綱紀審査会が綱紀審査の申出に理由がない旨の議決をしたときは、日弁連は、綱紀審査の申出を棄却する決定をします。また、綱紀審査の申出が不適法である旨の議決をしたときは、却下する決定をします(同法64条の3.2項)。


b.

日弁連は、日弁連懲戒委員会が異議の申出に理由がある旨の議決をしたときは、その弁護士等を懲戒したり、速やかに懲戒の手続を進めるよう命じたり、懲戒の処分を変更したりします。


日弁連懲戒委員会が異議の申出に理由がない旨の議決をしたときは、日弁連は、異議の申出を棄却する決定をします。また、異議の申出が不適法である旨の議決をしたときは、却下する決定をします(同法64条の4)。


異議の申出についての日弁連懲戒委員会の議決に対しては、これ以上、不服申立の途はありません。


懲戒委員会等の構成

弁護士会・日弁連の綱紀委員会および懲戒委員会は、弁護士、裁判官、検察官および学識経験者で構成されており、綱紀審査会は、学識経験者(弁護士、裁判官、検察官の現職および経験者を除く。)で構成されています。


  • 懲戒委員会
  • 綱紀委員会
  • 綱紀審査会

その他

日弁連は、弁護士会・日弁連が弁護士等を懲戒したときは、官報および機関雑誌である 『自由と正義』で公告しており、懲戒の理由の要旨も掲載しています。

 

懲戒処分に関する統計についてはこちらをご参照ください。

 

→統計ページ



また、弁護士等に対して現に法律事務を依頼し、又は依頼しようとする方は、一定の条件の下、その弁護士等の懲戒処分歴の開示を求めることができます。


詳細は、懲戒処分歴の開示に関する規程をご参照ください。 icon_pdf.gif 懲戒処分歴の開示に関する規程(PDF形式17KB)



なお、日弁連では、1998(平成10)年4月から、全会員に対して定期的に倫理研修を受けることを義務づけています。