日弁連が取り組む重要課題
あなたのまちに弁護士を〜過疎偏在対策〜
1 日弁連は、弁護士過疎・偏在問題に取り組んでいます
日弁連は、全国203の地方裁判所支部の管轄区域のうち、弁護士が全くいないか、一人しかいない地域を「弁護士ゼロワン地域」と呼んでいます。こうした地域においては、市民が弁護士に相談できないために、泣き寝入りを強いられている、という問題が指摘されてきました。
日弁連は、こうした問題を解決するため、1996年の定期総会において「弁護士過疎地域における法律相談体制の確立に関する宣言」(名古屋宣言)を採択し、すべての地方裁判所支部の管轄区域に法律相談センターを設置することを決めました。
また、1999年の定期総会において、弁護士過疎・偏在対策の活動資金に充てるため、全弁護士から特別会費を徴収して「ひまわり基金」を設置しました。そして、2000年の定期総会において「司法サービスの全国地域への展開に関する決議」を採択し、公設事務所と法律相談センターの設置に取り組むことを決めました。
2006年には、日本司法支援センター(法テラス)が設立されましたが、日弁連は、ここでも、常勤スタッフ弁護士を確保、養成及び支援する役割を担ってきました。加えて、2007年の臨時総会においては「弁護士偏在解消のための経済的支援」を採択し、弁護士偏在地域において独立開業する弁護士を支援するとともに、そうした弁護士を養成する拠点事務所の設置に取り組むことを決めました。
- 「弁護士過疎地域における法律相談体制の確立に関する宣言」(名古屋宣言)
- 司法サービスの全国地域への展開に関する行動決議
日弁連による弁護士過疎・偏在対策(フローチャート)(PDF形式・101kB)
弁護士偏在解消のための経済的支援(フローチャート)(PDF形式・54kB)
2 弁護士ゼロ地域の解消に向けて
こうした弁護士過疎・偏在対策によって、弁護士ゼロワン地域は急速に解消され、1993年当時50か所存在した「弁護士ゼロ地域」は、2008年6月に一旦完全に解消されました。その後、2009年1月にワン地域の弁護士が移転したため、再び「弁護士ゼロ地域」が生じました。すべての地方裁判所支部に弁護士が常駐する体制を確立し、日弁連が目指している「いつでも、どこでも、だれでも良質の司法サービスが受けられる社会」の実現は、引き続き大きな課題となっています。
なお、2009年2月現在、弁護士会が設置している法律相談センターは311か所(うち、ひまわり基金が援助している法律相談センターは144か所)、ひまわり基金の支援を受けて設立された公設事務所(ひまわり基金法律事務所)は延べ93か所、ひまわり基金の支援を受けて定着した弁護士は23人、法テラスが設立した司法過疎対応地域事務所は21か所となっています。
ゼロワンマップ(1993年当時)(PDF形式・477kB)
ゼロワンマップ(2009年11月現在)(PDF形式・315kB)
ゼロワン推移(グラフ)(PDF形式・241kB)- ゼロワン地域「弁護士過疎・偏在って何?」
- 各地の公設事務所を紹介します
3 日弁連は、引き続き、弁護士過疎・偏在問題に取り組みます
2009年2月現在、弁護士ゼロ地域は1か所、弁護士ワン地域は14か所残っています。また、弁護士が2人以上いても人口や事件数に比べて弁護士が不足している地域もあります。地方裁判所支部の管轄が地域の実情に合致してない地域もあり、独立簡裁の管轄区域にも弁護士の定着を進める必要があるでしょう。市民の立場に立った、実質的な弁護士過疎・偏在地域の解消こそが引き続き求められています。
しかし、そのためには、裁判所・検察庁の支部を充実させることが必要不可欠です。地方裁判所支部のうち、40以上は裁判官が常駐していない非常駐支部であり、開廷日がきわめて限られています。近年、執行事件、刑事合議事件の本庁集約化や検察審査会の統廃合など、地方の裁判所・検察庁はますます縮小する傾向にあります。裁判所・検察庁の充実なくして、真の司法過疎の解消はあり得ないというべきでしょう。
日弁連は、今後も引き続き、「いつでも、どこでも、だれでも良質の司法サービスが受けられる社会」の実現を目指して、実質的な弁護士過疎・偏在地域の解消に全力をあげて取り組むとともに、裁判所・検察庁に対し、裁判所・検察庁の充実を求めていく所存です。