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知って得する!法律活用術

ここがポイント!初めてのインターネット通販

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はじめに

みなさん、こんにちは!ひまわり中小企業センターです。私たちは、中小企業のみなさまにとって、弁護士がより身近で頼りがいのある存在となれるよう日本弁護士連合会が設置したセンターで、みなさま向けの相談窓口(ひまわりほっとダイヤル)等を運営しています。

起業家応援マガジンVol.79から「知って得する!法律活用術」として、6回にわたり、創業者が、事業を立ち上げて軌道に乗せるまでのストーリーをもとに、それぞれの場面で直面する、数々の法律問題やその解決方法について、それぞれの分野で専門的な知識をもつ弁護士が解説しています。

第4回目は、「ここがポイント!初めてのインターネット通販」と題し、「ココだけは知っておきたい」インターネット通信販売の法的ポイントについてお伝えします。

創業ストーリー(公子さんの奮闘)

公子さんは、有名レストランで経験を積み、ついに安全・安心・ヘルシーな食事と国産ワイン、ケーキを提供する洋風カフェ・レストランをオープンさせました。 ホームページで積極的に情報発信し、口コミなどを通じてお客様も増えてきたので従業員も雇用しました。そんな中、遠方のお客様から、遠く離れた自宅でも公子さんのレストランで提供されているワインやお菓子が食べたい!という要望が寄せられるようになりました。

たしかに、遠方のお客様にもお店で出すワインやレストランで作ったお菓子などを、もっと身近に食べてもらいたいなぁ。

そうだ!ホームページを通じて販売すればいいんだ。さっそくホームページでお気に入りの商品を販売しよう。

公子さん、ちょっと待って!!
通信販売を行うには、様々なルールがあるので、しっかり守らないといけませんよ

特定商取引法に基づく表示義務

インターネットによる通信販売には、特定商取引に関する法律(特定商取引法)が適用されます。そして、特定商取引法では、商品を販売する事業者に次の事項を表示することが義務付けられています。(なお、以下では全ての事項を列記しているわけではないのでご注意下さい。)

1)商品もしくは権利の販売価格または役務の対価(販売価格に商品の送料が含まれない場合には、販売価格および商品の送料)
2)商品もしくは権利の代金または役務の対価の支払の時期および方法 3)商品の引渡時期もしくは権利の移転時期または役務の提供時期 4)商品もしくは指定権利の売買契約の申込みの撤回または売買契約の解除に関する 事項 5)販売業者等の氏名または名称、住所および電話番号           等々

このほか、返品を受け付けないことを明示しない場合には、消費者(購入者)は、商品到着後8日以内であれば申込をキャンセルし、または契約を解除して、商品を返品することで返金を求めることができます。

ワインやお菓子といった食品の販売を検討している公子さんは、販売した商品について返品を受けないようにすることも考えていますが、その場合は返品を受けないことを明示する必要があります。

なお、公子さんのように食品を販売する場合、保健所の営業許可を取得することや食品表示法に基づき食品の名称やアレルゲン、保存の方法、消費期限、原材料、添加物などの食品表示基準を守らなければいけません。また、ワインなどの酒類販売に際しては、酒類販売業免許の取得が必要となりますので、この点にも注意が必要です

利用規約を整備してトラブルを防止しましょう

インターネット通販をスムーズに運営するためには、上に挙げた特定商取引法に基づく表示のみでは足りず、より積極的に、契約当事者間のルールとして「利用規約」を定め、購入者に同意してもらうことが重要です。

利用規約なんて作るのは面倒だし、どうせ読まれないし、と思われるかもしれません。しかし、インターネット通販では通常は契約書を取り交わしませんので、利用規約がない場合には、民法などの法律のみが適用されることになります。ルールが不明確だと一度トラブルになった場合に、法律が定めていない事項や民法などをそのまま適用すると思わぬ結果となってしまう可能性もありますし、紛争が長引くなどの不利益が生じかねません。利用規約には、一般的に、各用語の定義や、料金、支払方法、禁止事項、知的財産権の帰属、サービスの停止中断、サービス内容の変更終了、免責、個人情報の取扱い、準拠法・管轄などを記載します。

プライバシーポリシー(個人情報保護方針)を定めましょう

通信販売に際しては、必然的に購入者の個人情報を扱うことになりますので、プライバシーポリシーを定めて、これを公表することが重要です。

プライバシーポリシーでは、取得する個人情報、利用目的、第三者提供の条件・方法、個人情報の本人開示などを規定することが考えられます。

なお、従来は取り扱う個人情報が5,000件を超えない小規模取扱事業者は、個人情報保護法の適用となる「個人情報取扱事業者」に該当しませんでしたが、改正個人情報保護法の全面施行日である平成29年5月30日以降は、そのような例外規定はなくなります。そのため、個人情報を取り扱う全ての事業者は個人情報保護法の適用を受けますので、注意が必要です 。

知って得する豆知識 「免責条項」って?
利用規約を定めるにあたって、損害賠償責任を負わない範囲を明確にしたり、責任を負う金額の上限を定め、利用者に同意してもらうことによって、事業者のリスクを軽減することが可能となります。これは契約自由の原則が適用されるためです。
しかし、例えば「いかなる理由があっても一切責任を負わない」などという条項は、消費者(購入者)の利益を一方的に害する不当な条項として、消費者契約法により無効とされています。
契約当事者双方にとって公平なルールを定めることが、結果としてトラブルを防止して、円滑な事業運営につながることになります。

さいごに

公子さんは、「ひまわりほっとダイヤル」などの相談窓口を利用し、弁護士に相談しながら特定商取引法に基づく表示を行い、ネット通販の利用規約やプライバシーポリシーを定めて、無事に販売を開始することができました。ネット通販は、なかなか店舗に来ることができない全国のお客様に商品を届けることができ、売上を一層伸ばすことができました。

今回は、「ココだけは知っておきたい」初めてのインターネット通販の法的ポイントをお伝えしましたが、みなさんが知って得する法律活用術は、まだまだたくさんあります。

全国の弁護士会では、弁護士が面談で相談をお受けする窓口「ひまわりほっとダイヤル」を開設しています。今回のホームページ作成一般に関するご相談はもちろん、経営に関する悩みは何でも相談してください。

インターネット通販事業も多くのファンに支えられて順調に進みはじめ、事業規模も拡大してきた公子さん。更に事業を大きくするため、法人化などの事業形態を考えはじめたようです。 次回は、法人化における法的ポイントについてご説明します!お楽しみに。

【執筆者について】
日本弁護士連合会 ひまわり中小企業センター

当センターは、中小企業のみなさまにとって、弁護士がより身近で頼りがいのある存在となれるよう日本弁護士連合会が設置したセンターで、みなさま向けの相談窓口等を運営しています。各回の執筆は以下の弁護士が担当いたします。
第1回 平田 えり(福岡県弁護士会) 起業家応援マガジンVOL.79(1月25日配信)
第2回 横田  亮(岡山弁護士会)  起業家応援マガジンVOL.80(2月22日配信)
第3回 杉浦 智彦(神奈川県弁護士会)起業家応援マガジンVOL.81(3月22日配信)
第4回 大宅 達郎(東京弁護士会) 起業家応援マガジンVOL.82(4月26日配信)
第5回 久野  実(愛知県弁護士会)  起業家応援マガジンVOL.83(5月24日配信)
第6回 樽本  哲(第一東京弁護士会)

第3回 ここがポイント!初めてのアルバイト採用「知って得する!」法律活用術 トップ第5回 ここがポイント!法人化の際に取り得る選択肢(会社の形態)

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