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中小企業のための ほっと通信

事業再生におけるタックス・マネジメント〈2〉

弁護士 後藤 登

■プロフィール
後藤 登
日弁連中小企業法律支援センター 委員(第二東京弁護士会 所属)

3.粉飾決算を行っていた場合

 再生債務者によっては、粉飾決算によって決算の黒字化や赤字の縮減を装っていることもあるかもしれません。その場合、欠損金額も本来あるべき金額よりも過小となっていますので、青色欠損金利用の前提として、欠損金額をあるべき金額に復元することが必要となります。
 粉飾の内容と発生時期を把握し、粉飾事項についての修正経理を行ったうえで、当該事業年度の確定申告書を税務署に提出し、更正の請求又は更正の申出を行う必要があります。更正が認められれば、欠損金として損金算入が可能となります。

4.青色欠損金が不足する場合

 債務免除益の額に対し青色欠損金の額が不足する場合、債務者が含み損をかかえる資産を保有しているのであれば、評価損を計上し、なんとか債務免除益課税の発生を回避したいところです。しかしながら法人税法において、評価損の計上は、原則、認められていません。
そこで、当該資産が事業再生を進める上で不要であるなら、当該資産を売却し、含み損を売却損として実現することが考えられます。
 これに対し、含み損はあっても事業再生上必要な資産である場合には、セール・アンド・リースバック取引を検討することになります。これにより、含み損を売却損として実現させる一方で、当該資産をリース契約により使用継続することが可能となります。
 また、債権者から債務免除を一度に受けるのではなく、再生計画中、数回に分けて債務免除を受けることで、再生計画期間中に発生する損金とマッチングさせることも考えられます。

5.再生手法の選択に当たっての考慮

 DES(債務の資本化)の場合、債権の時価相当額が資本金等の額となりますので、債権の時価相当額がその額面価額を下回るときは、差額は債務消滅差益として益金の額に算入されることになります。このため、直接債権放棄を受けた時の債務免除益と同様に、債務消滅差益課税対策が必要になります。
 これに対し、DDS(劣後債務化)の場合であれば、債権の同一性は維持されていますので、債務免除益や債務消滅差益は発生せず、原則、課税関係は生じません。したがって、債務免除益等に充当する欠損金が不足する状況にある場合、税負担回避の観点からは、DDSの方が好ましいということになります。

 以上は、事業再生におけるタックス・マネジメントの例ですが、タックス・マネジメントが事業再生のための原資の確保や手法選択に影響し、事業再生を成功に導く上で極めて重要であることをご理解下さい。

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参考ページ> 企業再生・清算

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