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中小企業のための ほっと通信

円滑化法終了後の事業再生〈後編〉

弁護士 高井 章光

■プロフィール
高井 章光
日弁連中小企業法律支援センター 事務局次長(第二東京弁護士会 所属)

 企業によっては、円滑化法の適用によって、かえってリストラの実施が遅れてしまった企業も少なくないと思われます。アベノミクスも多くの中小企業には直接的な影響は生じず、または少なくとも半年以上先のこととなっており、現状は苦しい経営状況に変わりはないようです。
 したがって、中小企業の多くは、①過大な金融負債の最終的な処理の問題のほか、②営業利益を確保できるだけの経営基盤の構築が問題となっていると考えられます。

従来型の事業再生手法

 従来の事業再生では、主に民事再生手続が利用されていました。破綻危機状態の比較的初期段階において、企業自らが再建努力を行って事業の再建策を講じ、過大な金融負債等をカットすることで、早期に再生できたからです。他方、円滑化法終了後の中小企業は、長引く不況で経営基盤自体が相当痛んでおり、または破綻危機状態が長期化して破綻状態が進んでしまっているように思われます。経営基盤が脆弱な状態で民事再生手続を申し立てても、取引先から厳しい取引条件を突きつけられるだけで、立ち行かなくなってしまう危険があります。

円滑化法終了後の事業再生手法

 円滑化法終了後の中小企業が民事再生手続を利用する場合は、スポンサーによる支援か、少なくとも有力取引先等と事業提携を締結して事業上の支援を受けるなど、債権カットを受けるだけではなく、別途何らかの経営基盤を強化することが重要になります。こうした意味では、今まで企業買収などに縁がなかった中小企業に対して積極的に投資や事業支援をしていく、良い機会が生じているとも言えます。
 他方、スポンサー支援等を得る機会がない中小企業は、事業毀損をなるべく避けるため、私的再生手続を活用する事業再生手法が有効だと思います。私的再生手続では、取引債権者を巻き込まず、金融機関のみを相手とする点で事業活動への影響が少なくて済み、手続費用も法的再生手続より通常は低額となる点で利用しやすいことが大きな理由です。
 私的再生手続では、まず中小企業再生支援協議会の利用が考えられます。従前はリスケジュールが中心でしたが、今後は、債権カットや事業を第二会社に譲渡する方法(第二会社方式)を積極的に進めることが必要となると考えられます。
 また、今後は特定調停手続の活用も期待されます。これまで特定調停は企業の再建にはあまり活用されて来ませんでしたが、通常の調停手続と同じように、裁判所において、金融機関との協議によって再建策を決めていく簡便な手法であることから、円滑化法後の再生手法としての活用が期待されています。
 円滑化法終了後の事業再生には、金融負債処理のノウハウとともに、事業の再構築策が重要となります。事業を再構築するだけで、金融負債はリスケジュールして問題を先送りにしても事業再生は成功しませんし、金融負債処理のみを行っても営業利益を確保できず結局は破綻してしまう危険が生じます。当該企業の経営課題をしっかり認識した上で、最適な再生手法を選択していくことが重要となります。

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出典:帝国データバンクの情報誌『日刊 帝国ニュース』

参考ページ>  借入金返済・資金繰り  企業再生・清算

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