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トップページ > 2015年3月5日 「特定調停スキーム利用の手引き」改訂、 活用を推進

2015年3月5日 インタビュー記事『「特定調停スキーム利用の手引き」の改訂、活用を促進』が掲載されました

帝国データバンクの情報誌『日刊 帝国ニュース』(2015年2月20日号)に、2014年12月に行われた「特定調停スキーム利用の手引き」の改訂に関する、インタビュー記事が掲載されました。
 今回の改訂ポイントについて、分かりやすくご紹介していますので、是非ご覧ください。

※出典:帝国データバンクの情報誌『日刊 帝国ニュース』 2015年2月20日号

「特定調停スキーム利用の手引き」改訂、活用を推進

日本弁護士連合会
日弁連中小企業法律支援センター・事務局長高井章光弁護士インタビュー

 特定調停手続の活用に向け、2013年12月に「金融円滑化法終了への対応策としての特定調停スキーム利用の手引き」が公表されたが、2014年12月にさらにその手引きが改訂された。同時に「経営者保証に関するガイドラインに基づく保証債務整理の手法としての特定調停スキーム利用の手引き」を策定・発表した日本弁護士連合会。今回の改訂で特定調停の利用推進が見込まれるなか、日弁連 中小企業法律支援センター・事務局長の高井章光弁護士に話を聞いた。
(聞き手/東京支社情報部 情報編集課長 丸山 昌吾)

―特定調停スキームについての概要と、今回の改訂ポイント、目的をお聞かせください

 30万~40万社といわれる金融円滑化法を利用した中小企業のうち、特に事業再生が必要な事業者は5万~6万社ほどと見込まれています。大手企業であれば事業再生ADRなど、規模によって複数の私的再生手法が用意されるとともに、地域経済活性化支援機構や中小企業再生支援協議会などの事業再生支援機関が設置され、事業再生が必要な企業を支援する制度の整備が進められてきました。その一方で、地域経済活性化支援機構は年商20億円超、中小企業再生支援協議会は年商3億~20億円の企業が中心など、いずれも一定程度以上の規模の企業が対象で、年商3億円以下の企業のケアをする適切な担い手が存在しない現実もありました。
 そこで、中小・小規模事業者の債務免除に関する税務上の処理や、金融機関や保証協会への債権放棄の要請を円滑に進め、抜本的な再生支援スキームを組める制度として着目したのが特定調停手続です。以前から運用されてはいましたが、使い勝手を良くして活用を推進するため、中小企業庁、最高裁判所と日本弁護士連合会が連携、協議して検討を重ねました。

―特定調停の利点はどんなところにありますか

 まず、申立て費用が比較的低廉な点があげられます。東京簡易裁判所の場合は、印紙代と切手代の数万円程度で申請できます。また、金融機関などの関係者以外には非公開で手続が進められる点でもメリットが大きい制度だといえます。さらに、金融機関などの当事者が告知を受けた日から2週間以内に異議を申し立てなければ調停が成立したものとみなされる、いわゆる民事調停法17条決定の活用が可能となり、反対を受けない限りは金融機関の積極的賛成のための稟議を待つ必要がなく、スピード感をもって手続が進められます。
 ただ、特定調停は民事再生法と同時の2000年に施行されたものの、これまではあまり企業の債務整理の手法として注目されてはきませんでした。今回の手引策定においては前述のように関係各機関と協議を行い、使い勝手の面での見直しを進めましたので、事業収益力があるものの重い債務を抱えた中小規模の企業や、リスケ対応のみではなく抜本的に再生手続の必要性のある企業等の債務の圧縮方法として広く利用が見込まれると思います。

―特定調停の新スキーム策定と同時に、経営者保証ガイドラインも策定されましたね

 会社は破産や民事再生で清算・再生手続をとる一方で、経営者が負っている保証債務は経営者保証ガイドラインに基づく手続で処理といったケースが増えてきています。法的手続きをとる場合、会社は倒産・再生手続をとることが前提となりますが、特定調停であれば会社の倒産をも避けることができますので、経営者保証ガイドラインの利用と併せ、会社・個人ともに再生のチャンスが広がると思います。会社・個人(保証人)の両方で手続ができることで、経営者にとって早期の事業再生の決断ができる後押しになります。裁判所による手続なので、安心感もあります。

―具体的な特定調停の進め方は

 弁護士に相談していただいた上で、債務をカットする前提で、事業が黒字化するか否かを見極める事業計画を公認会計士や税理士と協議し、進めて行きます。そのために、日本公認会計士協会や日本税理士会連合会などとも情報を共有して、スムーズな手続ができるよう連携していきたいと考えています。
特定調停を申し立てる前段階として、まずは事業計画を立て、事業継続の判断をしっかり立てることが円滑にこのスキームを活用できる鍵になると思います。具体的には、財務・事業に関するデューデリジェンスを自ら実施して経営改善計画案を策定し、金融機関と調整して同意の見込みを得る程度にまで協議する必要があります。その時点で経営改善計画が立てられない、または金融機関から同意を得る見込みがまったくないなどと、再生に向けた道筋が立たなければ、他の私的整理手続や法的再生手続の検討に移ることになるでしょう。
 特定調停手続申立て前において、金融機関と十分に調整して経営改善計画案を策定することになりますので、調停の申立て後、2、3回の調停期日で終結することになります。調停期間としては3~4カ月で終了できるイメージです。

―債権放棄がなされた場合、債権者・債務者にとっての税務上の扱いはどうなるのでしょうか

 今回の特定調停スキームに基づき債権放棄が行われた場合について、国税庁から、その放棄額全額を損金算入できるとの回答を得ています。金融機関にとっては課税所得が減少し、法人税の負担額が抑えられることになります。一方、債務者にとっては、債権放棄を受けると債務免除益が計上され、法人税上の益金として課税所得の計算に組み込まれますが、それに見合ういわゆる期限切れ欠損金の計上が可能となりますので、課税所得を抑えて税負担を回避することができます。
 こうした税務上の扱いなど、金融機関の債務カットのハードルを下げ、経営者の債務整理や再建手続への決断を促す効果も見込まれます。今後、特定調停を活用した企業の再生を進めることで、日弁連としても円滑な経済活動を支援したいと考えています。

―今回の改訂ポイントが良く分かりました。
本日はありがとうございました。


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