日弁連新聞
2006年 5月1日 第388号

4/26『共謀罪に反対する大集会』に500名以上が参加
共謀罪をめぐる国会情勢緊迫

与党修正案では法案の問題点は解消されない

有志議員が一致して共謀罪に反対を表明した4月21日、衆議院法務委員会は、共謀罪導入のための法律案について審議入りし、いくつかの点で原案に限定を加えた与党修正案が提案された。これに対し、日弁連は、「団体」がどこまで限定されているか明らかでなく、法案の問題点は全く解消されていないとする「→共謀罪与党修正案についての会長声明」を発表した。法案の衆議院通過は避け難い情勢であるが、日弁連は、あくまで法案の通過阻止と、その抜本的見直しを求め運動を継続・強化していく。

野党三党が一致して与党案に反対の立場を表明

与党側は、4月28日にも委員会採決するとの強行方針で審議に臨み、これに反対する野党側が審議拒否するなど情勢が緊迫するなか、日弁連は26日、弁護士会館において「共謀罪に反対する大集会」と題する大規模市民集会を主催した。参加した500名以上の市民を前に、菅直人議員(民主党)、福島みずほ議員(社民党)、仁比聡平議員(共産党)ほか、野党三党の議員8名が一堂に会し、与党案に断固反対するとの方針を表明した。

調書の取り方次第で誰でも処罰対象に

続いて、朴哲鉉監督、寺澤有氏プロデュースによる「共謀罪、その後」と題する短編映画が上映された。ある雑誌編集社において首相の名誉を毀損する内容のイラスト掲載を相談したところ、スタッフの一人が捜査機関に密告し、編集者・イラストレーターが共謀罪で逮捕されるとのストーリーが展開した。出演者の「調書の取り方次第で誰でも首謀者になり得るんだ」とのセリフがこの法案の恐ろしさを物語っていた。

一人一人が法案の危険性を周囲に訴えかけて

寺中誠氏(アムネスティ・インターナショナル事務局長)と星川淳氏(グリンピース・ジャパン事務局長)は、「共謀罪により、多くの市民団体が監視・弾圧の対象とされる可能性がある」と法案の危険性を強調した。国際的な指揮者である外山雄三氏が「今からでも遅くない。一人一人が法案の危険性を周囲に訴えかけて欲しい」と語るなど、多数の市民・団体が法案への反対意見を表明し、これに賛同する観衆の拍手で会場は熱気にあふれた。

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取調べの可視化実現本部を設置
裁判員制度導入時までの実現を目指す

これまで取調べの可視化実現委員会を中心に取り組んできた取調べの可視化(録画・録音)について、3年後に迫った裁判員制度の導入時までに可視化を実現するため、同委員会を発展的に改組した「取調べの可視化実現本部」(本部長は日弁連会長)を設置することが4月14日の理事会で承認された。本部長代行には田中敏夫会員(東京)が選任された。

裁判員制度実施の際に可視化が導入されていなければ、裁判員となった多くの市民が自白の任意性に関する争いに延々と付き合わされることになり、ひいては裁判員制度そのものが機能しなくなることが危惧される。しかしながら、捜査機関は可視化に強く反対しており、制度導入の見通しは立っていない。

これに対し、判例時報1913・1914号に掲載された吉丸眞氏(元札幌高裁長官)の論文で、「被疑者の取調べに録音・録画制度を導入すべき」との立場が明確に示されている。同氏の経歴・論文内容からして、大変大きな意義が見出される。また、国会でも、最近の刑事関係法案可決の際の附帯決議で可視化の検討が求められている。

以上の情勢を踏まえ、実現本部は、可視化実現に向けた具体的取り組み方針を早急に取りまとめ、全国の弁護士会と連携して活動を進めていく。

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上限金利引き下げ実現本部活動概要が決まる
グレーゾーン撤廃のための署名活動など

今秋の臨時国会に向け金融庁内で検討されている金利規制及び貸金業制度の見直しについては、6月に意見書の取りまとめが予定されている。

日弁連の上限金利引き下げ実現本部は、本部長代行に宇都宮健児会員(東京)が選任され、4月15日の理事会で今後の具体的な活動概要が承認された。いよいよグレーゾーン撤廃等に向けた強力な取り組みが進められる。

実現本部は、政党・国会議員に対する継続的な要請活動を進める一方、地方議会からも高金利引き下げの声が上がるよう意見書採択などに向けた活動を各弁護士会と協力して行う。さらに世論喚起のため、マスコミとの懇談会はもとより、各地における市民集会の開催、労働団体・消費者団体などと連携した上限金利引き下げのための100万人を目標とする署名活動などを実施する。

上記方針を公表するため4月18日に実施した記者会見では、テレビ・新聞・雑誌など30社を超える記者がつめかけ、今後の日弁連の動きについて質問が相次いだ。高金利問題が社会の注目を集めるなか、法改正に向けた弁護士・弁護士会の取り組みへの期待は確実に高まりつつある。

  • ・5月1日…署名活動開始
  • ・5月26日…日弁連定期総会(決議案提案)
  • ・6月15日…上限金利引き下げシンポジウム (東京・イイノホール)
  • ・6〜7月…金融庁意見書取りまとめ  地方議会の意見書採択へ
  • ・7〜9月…各地でのシンポジウム開催
  • ・10月6日…日弁連人権擁護大会(決議案提案)
  • ・10〜11月…署名集約、臨時国会への働きかけ

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ひまわり

日弁連広報課は、中高生対象の社会科見学受け入れも行っている。弁護士の仕事をテーマにしたビデオを上映した後、協力弁護士や広報室嘱託が生徒からの質問に答える。昨年度は、実に1700名もの来館を受けた▼生徒からは「なぜ悪いことをした犯罪者を弁護するのか」といった質問がある。弁護士の根幹に関わる問題であり、冤罪事件の例を挙げたり、無罪推定、適正手続について噛み砕いて説明したりするよう努めている。生徒の眼差しは真剣であり、手抜きはできない▼担当職員の発案で、この社会科見学の春休み特別企画として裁判傍聴会を実施したところ、短い募集期間にかかわらず、中高生ほか10名の応募があった。広報室嘱託が引率して刑事裁判を傍聴した後、裁判内容の解説をした。初めて裁判を傍聴した生徒たちは、緊張した面持ちながら、メモをとって熱心に耳を傾けていた▼一昔前に比べて、弁護士や裁判に興味を持つ若者は確実に増えているようだ。広報担当者として、裁判員制度の担い手となる若者が弁護士や司法に興味を抱いてくれることを大変心強く思う一方で、一弁護士としては、自分たちが常に市民、特に将来ある若者の目に晒されていることを肝に銘じなければならない、と感じている今日この頃である。(T・I)

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未決拘禁法案衆議院で可決

未決拘禁法案は3月に国会に提出され、法務委員会で連日審議が行われた。刑事拘禁制度改革実現本部は、代用監獄の漸減の趣旨を修正案又は附則に盛り込むよう精力的に活動を続け、4月11日には、国会議員への一斉要請活動を行った。

4月14日、本法案は附帯決議付きで原案どおり衆議院法務委員会で可決された(18日本会議可決)。附帯決議は代用監獄に関して、「昭和55年に法制審議会から『関係当局は、将来、できる限り被勾留者の収容の必要に応じることができるよう、刑事施設の増設及び収容能力の増強に努めて、被勾留者を刑事留置場に収容する例を漸次少なくすること』との答申がなされたが、現在、刑事収容施設の過剰拘禁問題の解決が、当時に比しても、喫緊の課題となっており、その実現に向けて、関係当局は更なる努力を怠らないこと」、「取調べを含む捜査の在り方について検討するとともに、代用刑事施設制度の在り方についても、刑事手続全体との関連の中で検討すべきこと」とし、未決拘禁者の防御権を尊重する条項など全部で14項目となっている。

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新たな国選弁護制度のための諸規則制定作業について 

2006年10月から始まる新たな国選弁護制度に関して、刑事訴訟法規則の改正、司法支援センターの業務方法書、法律事務取扱規程、契約約款等(いわゆる諸規則)の制定作業が急ピッチで進められている。

刑事訴訟規則関連
  1. 被疑者国選弁護制度に関する事務手続が新たに規定される。
  2. 国選弁護人の選任範囲に関する29条については、(1)地域制限を地裁管轄区域内に緩和することと、(2)上訴審について、審理のために必要があると認めるときは、原審の国選弁護人であった弁護士を選任することができることの改正案が、4月25日の規則制定諮問委員会準備会で検討される。なお、例外的に選任できる地域を、隣接する他の地方裁判所の管轄区域内から、さらに緩和する案も検討されている。
  3. 当初規則化が検討されていた「司法支援センターは事案に応じ…適切な弁護人を指名しなければならない」とする規則案は、弁護士会の取り組み状況との関係で見送られることになった。
  4. さらに、即決裁判に関する刑訴規則も提案され、公訴提起後14日以内の公判期日の指定等が提案されている。
  5. この規則改正は、今後、準備会での協議を経て6月6日の最高裁刑事規則制定諮問委員会に諮られた後、最高裁裁判官会議で決定されることになる。
支援センター諸規則
  1. 業務方法書で、弁護士会による申込書の取りまとめと指名・通知用名簿の編成、地方事務所と弁護士会・裁判所の協議による指名・通知用名簿の編成方式、指名打診の手順の決定、その運用状況についての地方事務所と弁護士会との協議等を規定することが検討されている。
  2. 法律事務取扱規程では、日弁連の弁護士職務基本規程が取り入れられ、措置の手続に弁護士会の意見が反映される仕組みが提案されている。
  3. 契約約款では、申込手続や、報酬及び費用の算定の基準、支払に関する事項について詳細な規定が提案されている。
  4. これらの諸規則は、5月下旬にも正式に発表される予定である。
(日弁連刑事弁護センター副委員長 山口健一)

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2006年度会務執行方針

市民への責任、歴史への責任を果たす

われわれは「市民の司法」を目指して、各種の制度改革提言や実践を行ってきた。司法制度改革審議会意見書やその後の立法・規則制定によって、われわれの提言の重要部分が制度化され、今やその実行を全国各地で行うことが最大の課題である。われわれが求めて作った制度を担って充実させ、市民的基盤をもつ司法、市民の期待に応える司法にしていくことは、弁護士・弁護士会としての市民への責任である。
また、われわれは21世紀を平和と人権の世紀とするために全力を尽くさなければならない。「二割司法」といわれた行政優位の「小さな司法」を克服し、憲法が本来求めている「大きな司法」にし法の支配を貫徹することによって、人権の擁護と社会正義を実現するための基礎を築くことができる。それらを通じて人々が平和で暮らせる調和のとれた公平で納得性の高い品格のある社会を作っていくことは、われわれに与えられた使命であり歴史への責任である。弁護士自治を堅持し団結をゆるぎないものにして、この歴史的責任を果たしていきたい。

本年度の会務執行上の主要課題と活動方針は、以下のとおりである。

1、日本司法支援センターの活動を担う

日本司法支援センターが設立され、本年10月には業務を開始する。司法支援センターは、われわれが市民のための司法を実現すべく取組んできた課題の重要部分を担うこととなる。その活動を弁護士が全面的に支えることによってはじめて目的を実現することができるのである。

(1)市司法アクセスの促進と需要の掘りおこし
全国各地からアクセスでき直ちに紹介・提供を行う「コールセンター」の設置により、埋もれていた法的需要が大幅に掘り起こされる。年間100万件をはるかに超える問い合わせが予想され、その相当部分が法律相談や法律案件となっていく。法律扶助事件もそれ以外の事件も犯罪被害者支援も大幅に増加することは確実である。それに対して各地の弁護士・弁護士会が迅速に対応する態勢を構築せねば、市民のニーズに応えることにはならない。弁護士会の責任として、対応態勢を直ちに作っていくことが喫緊の課題である。

(2)被疑者国選弁護制度への対応
本年10月より被疑者国選弁護制度がスタートし、年間約7000件の重大事件・約1万件の即決裁判の被疑者国選弁護を担当することになる。被疑者国選弁護制度は弁護士会の悲願であり、当番弁護士制度を全会員が支えてきたことによって実現できたものである。この制度に万全に対応し、弁護の独立を確保して質の高い弁護を提供していかねばならない。
2009年には必要的弁護事件まで範囲が拡げられ、年間約9万件の被疑者国選弁護を担っていくことになる。それに対応する態勢を、全会で計画的に取組む必要がある。

2、刑事司法改革への取組み

従来の「調書裁判」を脱却し、直接主義・口頭主義を実現する刑事司法改革を行うのは、今をおいて外にない。既に実施されている公判前整理手続では、十分な証拠開示の実現をはかるとともに被告人の防御権を損なうことのないよう適正手続を確保していかねばならない。

(1)捜査の可視化の実現を
われわれは取調べの録画・録音を求めてきた。その成果が少しずつあらわれ、捜査の可視化を要求する意見が各所より強く出されるようになってきている。裁判員制度のもとでは、自白の任意性や信用性をめぐって長時間の証人調べを行うことなど不可能なことは明白であり、諸外国で実施されていることも踏まえて早期に実現していけるように取組む。

(2)人質司法の打破
争点整理と集中審理を充実かつ適切なものにするためには、被告人の身体拘束が解かれていることが決定的に重要となる。これまでの保釈の運用について批判する声が一層高まってきている。本年9月の国選弁護シンポジウムへの取組みを活かして、人質司法の打破への取組みを強める。

(3)裁判員制度への準備
裁判員制度を充実したものにしていくためには、適正な手続や審理・評議方法の確立、刑事裁判への理解を深める広報宣伝と裁判員になりやすい環境の整備、裁判員裁判に対応できる弁護士体制の構築、裁判員裁判で説得力ある弁護を行うスキルの修得、等が必要となる。実施までの3年間で、全国各地で充実した裁判員裁判を行うことができるようにするための取組みを行う。

3、弁護士が誇りを持って働ける舞台を

司法改革の進展によって、弁護士が誇りを持って働ける舞台は着実に拡がり、さらに拡がろうとしている。ひまわり基金公設事務所・各地の法律相談センターによる地域的活動分野の拡大や、各種機関への弁護士の就任も多数にのぼっている。今後の拡大としては、日本司法支援センターの「コールセンター」による法的需要の増大や被疑者国選弁護制度もその一つである。
また、「法の支配」を社会の隅々に行き渡らせるために、弁護士と利用者とを円滑に結びつけるための活動にさらに積極的に取組む。
それらのことを戦略性をもって継続的総合的に担える組織として「弁護士業務総合推進センター」を設置し、関係委員会と連携しつつ直ちに実践活動を行う。

4、継続的な司法改革課題

(1)裁判官制度改革・弁護士任官の推進
裁判官の任命過程の透明化、人事制度の透明性・客観性の確保、裁判所運営への国民参加、判事補の弁護士職務経験制度など裁判官制度改革は制度的に大きく前進している。これらの実質化をはかり、運用で後退することのないように取組む。また、市民のニーズに応えるため、裁判所の人的物的拡充に取組む。
弁護士任官の推進は、確実に裁判所を市民のものへとしていく力があり、法曹一元の実現への道を切り開くものである。非常勤裁判官制度の拡充や弁護士任官を目的とする公設事務所の増加が、弁護士任官推進の展望を示し始めており、それらを基盤として粘り強く取組む。

(2)法曹養成への支援
本年度から新司法試験が実施され新司法修習が始まる。その中核的教育機関の法科大学院が、社会が求める質の高い法曹の養成を果たせるよう支援・協力する。また倍増する司法修習を質の高いものにしていくよう取組む。

(3)法教育の普及発展
市民が統治主体として裁判員制度を担い、また法制度を積極的に利用して正義を実現するために、法教育の普及発展に取組む。

5、人権と正義のための活動

人権と正義のための活動は、弁護士への信頼のコアを形成する。力・立場の弱い者や少数者の権利と利益がいかに護られるかは社会の質と品格を測る尺度になる。1999年の「人権のための行動宣言」の実現に向けて取組む。

6、憲法問題への取組み

2005年11月の鳥取人権大会において、われわれは「立憲主義の堅持と日本国憲法の基本原理の尊重を求める宣言」を採択した。この宣言を基盤に据え、「憲法とは何か、誰のためにあるのか」を広く国民に明らかにしていく。また、日弁連としての取組み態勢を強化し、会内合意を深め、国民的基盤での運動に取組む。

7、直面する課題

現在開催されている通常国会で、未決拘禁制度、共謀罪、少年法などの審議がなされる。これまで日弁連が築き上げてきた見解をもとに、反対すべきもの、修正すべきものを明確にして取組む。
憲法改正国民投票法案、教育基本法改正については、提出されるか否かの動向を注視し、慎重に検討するよう求める。
ゲートキーパー問題については、弁護士から警察への報告義務を課すことに断固反対し、その立法化を阻止するように取組む。消費者金融の高金利引下げは国民的立法課題として取組む。

8、会員の総力結集を

司法改革は、会員全員で担わなければ成し遂げられない。しかも、これまで制度化されたものの実行だけではなく、残された課題への取組みも必要である。それらを行っていくためには、会員への迅速な情報提供と徹底した会内合意形成が重要である。
これまで弁護士会が提言してきたことを弁護士自身が担っていくことができなければ、市民の弁護士・弁護士会への信頼が失墜することにもなりかねない。市民への責任と歴史への責任を果たすべく、会員の総力を結集して司法改革を担っていけるよう全力を尽くす。

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少年法「改正」反対市民集会パートIII 開催 4/5 弁護士会館

少年に対する警察調査権の強化や、14歳未満での少年院送致などを盛り込んだ少年法「改正」案が通常国会に再度提出されている。同法案の問題点解消を求め、昨年6月、12月の開催に続く、3回目の市民集会が開催された。

フランスの福祉的取り組みに学ぶ

まず、白取祐司教授(北海道大学大学院)が、フランスでも少年の厳罰化が叫ばれているが、警察留置の制限、少年の取調べの録画義務付け、ソーシャルワーカーの大幅増員など、厳罰化に頼らない施策が試みられており、学ぶべき点が多いと報告した。

被害者の声−真相解明のため児童心理専門家の関与を

少年事件の被害者遺族のビデオレターに聞き入る参加者次に、佐世保・小6女児殺害事件の遺族代理人である八尋光秀会員(福岡県)が、被害児童の父である御手洗恭二氏にインタビューしたビデオレターが上映され、「事件の核心に触れないまま手続きだけが進んでいき、最後まで事件の本質が分からなかった。児童心理の専門家がもっと関与して、子供の心を安定させることが大事ではないか」と語る遺族の声が、参加者の心に深く響いた。

厳罰化ではなく環境整備を

遠藤洋二氏(神戸市福祉職)、大阪地裁所長襲撃事件の弁護人である戸谷茂樹会員(大阪)、及び魚住絹代氏(女子少年院・元法務教官)が、それぞれの経験に基づき、「改正」により児童相談所が非行少年のケアから遠ざかってしまう危惧や、少年取調べ可視化の必要性などを報告した。
その後、少年法改正に対し意見書を提出した婦人団体・市民団体の代表者や児童福祉関係者が、厳罰化ではなく、子供が育つ環境の整備や親への支援が大切などの意見を述べた。

厳しい国会情勢

また、本集会には国会議員4名も出席。与党の圧倒的多数でかなり厳しい情勢だが、「改正」阻止に向けて努力したいと語った。

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International Arbitration Week
クレオでIBA等共催国際仲裁シンポジウム

150席超を埋めた会場は各方面の関心の高さをうかがわせた4月18日、日弁連は、弁護士会館クレオにおいて国際法曹協会(IBA)や日本商事仲裁協会、日本海運集会所、日本仲裁人協会、仲裁ADR法学会、海外技術者研修協会との共催で「国際仲裁シンポジウム」を開催した。

シンポジウムのテーマは、「日本はアジアの仲裁センターになれるか?」、「FTA/投資協定と仲裁」、「国際仲裁における契約解釈」の3項目で、熱気を帯びた議論が交わされた。テーマはいずれも現代国際仲裁実務家の関心をよんでいるホットな話題。世界的に高名な仲裁法律家14人がパネリストとして参加した。出席者は150人を超え、外務、法務、経産各省の担当者も参加するなど広い方面から関心を集めた。特に、自由貿易協定や投資協定などの下で、国家と私企業間の紛争について伝統的なADRを超えた新しい国際紛争仲裁制度が生まれようとしているとして、活発な議論が交わされた。

このシンポジウムには、カンボジア、ミャンマー、モンゴル、ラオス、カザフスタン等アジア11ヶ国から招待された22人のアジアの仲裁専門家グループも出席し、活発に議論に参加した。このグループは、海外技術者研修協会の全面的な受け入れ協力を得て実施された「アジア国際仲裁研修」の研修生達である。これは、昨年に日弁連とIBAが共催で実施した途上国弁護士会協力事業「アジアの競争法」と同様の共同プロジェクトであり、今年はシンポジウムと研修2つの事業をあわせてInternational Arbitration Week とした。

実行委員会は、来年も新たなテーマを選んでIBAと共催の研修プログラムとシンポジウムを開催したいと考えている。

(International Arbitration Week 実行委員長・IBA世界弁護士会問題評議会常任議長 川村 明)

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TAKE OFF! 司法支援センター《17》
自主事業存続のための制度構想について

法テラス・スタッフ弁護士の待遇が決まりつつあります。

まず、その地位・身分については雇用類似の契約関係とし、給与が支払われます。任期は、法曹経験10年以下の者は3年で、法曹経験10年を超えるまでの間に2回まで更新可能、法曹経験10年を超える者(シニアスタッフ)は2年契約で原則として2回まで更新可能となります。

扱う業務は、都市部においては国選弁護事件と民事法律扶助事件を担当します。ただ、若手スタッフ弁護士の研修に必要と認められ、研修指導担当弁護士と共同受任する場合にはその他の事件も受任できます。また、シニアスタッフの場合は、赴任前からの継続案件について一定の要件のもとで事件を継続できます。
司法過疎地域においては、当初から私選弁護事件や扶助に該当しない一般民事事件も扱います。
もちろん、任地が都市部であるか過疎地であるかを問わず、法テラスから独立して職務を行い、事件処理についての指揮命令は受けません。

スキルアップに関しては、アドバイザリーグループによるアドバイス体制を確立し、定期的に充実した研修を行います。

給与等に関しては、国家公務員の給与体系を基に体系ができているため、赴任する地域によって最大18%の差が生じますが、同期の判検事と実質同程度の水準になります。任地が変わったときに急激に収入が減ることがないような手当てもなされます。また、若干の歩合給を加算する方向で検討しています。弁護士会費はスタッフ弁護士に負担がない方向で検討中です。
住居については社宅あるいは住宅手当などがあります。また、年金、社会保険、退職金は公務員共済と同等の扱いになります。

勤務時間は、弁護士業務の性格から大体の勤務時間帯が決められます。
弁護士会活動は、本来業務に支障のない限り、所長の同意を得て扱うことが可能です。
任期終了後は、一般事務所に復帰することも、その地域に定着することも自由ですが、法テラス本部・地方事務所の企画・運営、あるいは後進の指導にもあたっていただくことがあります。そのほか、法テラス執行部の協力を得て、国や地方自治体、企業、労働組合などにも法務スタッフ採用の道を進めて行きたいと考えています。

(日本司法支援センター推進本部事務局次長 櫻井光政)

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シンポジウム「個人情報保護法混乱の原因は何か」 4/20 弁護士会館

意見の対立も見られたパネルディスカッション第1部の基調報告では、まず石川知明会員(千葉県)が、被相続人の国民年金保険料滞納の有無につき相続財産管理人が行った照会に対し、社会保険事務所が社会保険庁の規程を誤解して回答を拒否したケースを例に挙げ、「個人情報保護に名を借りた不適切事例の多くは、法令等の無理解・誤解が原因になっており、拒否された場合も相手方の対応が適切かどうか確認する作業が必要」と指摘した。

続いて小町谷育子会員(第二東京)が、医療機関が厚労省に対して行う地域がん登録について「きちんと根拠法を制定し、情報の利用範囲の画定、責任の所在の明確化などを定める必要がある」と語った。

また、中村順英会員(静岡県)は、個人情報漏洩罪制定に関する日弁連の反対運動について理解を求めた。

第2部のパネルディスカッションでは、宇賀克也教授(東京大学大学院)と森田明会員(横浜)による討論が行われた。

増田利昭会員(東京)が問題提起した学校のクラス緊急連絡網、クラス名簿配布の問題について、森田会員は「基本的に本人の事前同意かオプトアウト(本人の申出による除外)の手続が必要であるが、法23条1項2号の本人の同意を得ることが困難な緊急事態に該当する場合もあり得るだろう」と指摘したのに対し、宇賀教授は「緊急連絡は本来父兄ではなく学校が行うべきものであり、同意が得られない限り学校が連絡すれば足りる」との見解を述べた。

また、コミュニティ情報に関する自治体と民間福祉団体との共同利用に関連して、森田会員が「第三者提供を認める何らかの包括条項が必要ではないか」と問題提起したのに対し、宇賀教授は「現行法の解釈を明確にするのが重要であり、現時点で直ちに法改正する必要は感じない」と述べた。

専門家の間でも意見が分かれる個人情報保護法の解釈について、会員・市民の関心は非常に高く、会場は250名の参加者で溢れた。

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速報 公判前整理手続の運用状況
改正刑訴法検証部会・後藤貞人部会長に聞く

昨年11月1日に公判前整理手続に関する改正刑訴法が施行され、半年が経過しました。日弁連の裁判員制度実施本部・改正刑訴法検証部会では、全国的な運用状況の把握・分析を進めています。4月15日、部会長の後藤貞人会員(大阪)に、現在までの運用状況や今後の取り組みについてお聞きしました。

(聞き手/裁判員制度担当嘱託 西村 健)

裁判員裁判への適切な対応のために

西村嘱託(左)の質問に答える後藤会員−改めて公判前整理手続の意義・目的について確認しておきたいのですが。

公判前整理手続は、充実した公判の審理を継続的、計画的かつ迅速に行うために必要があると認めるときに、事件の争点及び証拠の整理のために行われるものです(法316条の2)。今回の刑訴法改正で、公判審理はできる限り連日開廷して行われなければならないという条項が法定化されましたが(法281条の6)、2009年5月までに導入される裁判員裁判では連日開廷の要請がより強まり、公判前整理手続も必要的に行われます。弁護人として裁判員裁判に適切に対応するためにも、この手続に慣れ、活用する必要があります。

必要な準備期間なども念頭においた対応を

−公判前整理手続の実施で裁判が迅速になったとの報道が目につきますが。

たしかに、公判前整理手続に付された事件については、従前と比較して、早期に判決に至っているとの感があります。しかし、公判前整理手続は、迅速だけでなく「充実した」公判審理を行うために行われるものです。そうでなければ、被告人の権利が十分保障されたとは言えません。そのために、弁護側は、公判審理開始までに必要な証拠開示を得るなどして十分な準備をしなければなりません。規則178条の4や217条の5(新設)では、公判期日や公判前整理手続期日は、訴訟関係人の準備をも考慮して指定しなければならないことになっています。弁護人としては、裁判所に対し、必要な準備期間などを念頭において、公判前整理手続期日や公判期日の指定、あるいは公判審理予定の策定などに対し適切な意見を述べるべきです。

既に150件以上の事件について実施

−現在のところ、どのような事件が公判前整理手続に付されていますか。

既に150件以上の事件について、公判前整理手続あるいは期日間整理手続に付されているようです。知り得ている範囲では否認事件の方が若干多いようですが、自白事件も多く、裁判員裁判対象事件以外でも実施されています。
なお、公判前整理手続のみならず、公判開始後の期日間整理手続に付される場合も相当数あります。

証拠調べは集中的に行われる

−公判前整理手続に付された事件の公判前整理手続期日や公判期日はどのように指定されていますか。

公判前整理手続期日は、一期日だけという場合や数期日実施されている場合があります。公判前整理手続進行当初あるいは途中において公判期日指定の打診がなされ、事実上決定された公判期日に向けて手続が進められるという例もあるようですが、その是非については検討の余地があると考えています。
公判期日における証拠調べは、おおむね集中的に行われているようであり、連日開廷が行われた例もあります(6日連続開廷との例もあります)。また、連日開廷でなくとも、これまでの一か月に一期日程度という間隔よりは相当短いと思います。なお、公判前整理手続期日終了後、公判期日開始までの間隔は短期間の場合が多いようですが、一般的にそれでよいのかという点は検討の余地があると考えています。

証拠開示制度は大いに活用できる

−証拠開示制度は機能しているのでしょうか。

弁護人から積極的に証拠開示請求がなされ、各地で様々な工夫がなされています。また、総じてみれば必要な証拠は概ね開示されているように思えます。
例えば、他の目撃者の供述調書や一定の捜査報告書などが開示されています。また、弁護人からの証拠開示請求に対して大量の証拠が開示された例などもあります。あるいは、類型該当性などについて疑問があると検察官から指摘されても、交渉などの結果任意に開示された例もあります。
ただ、請求した証拠が「存在しない」と回答された場合の対応、法316条の15に規定される類型証拠の中の6号該当性の解釈の問題など検討すべき課題は残っています。

情報の収集と提供を継続していくことが必要

−弁護士会として、どのような支援体制をとっていますか。

裁判員制度実施本部としては、既報(日弁連速報2006年1月20日号)の通り、各会員からの公判前整理手続の運用状況の情報収集に努力していますが、今後もこれを継続していきたいと思っています。また、各弁護士会の窓口担当者を決めていますので、問題が生じた場合など、窓口担当者にご連絡いただくようお願いします(問い合せ先:日弁連法制第二課03-3580-9854)。現在、今秋の研修会実施などを企画しており、日弁連刑事弁護センターとも連携しながら、できる限りの情報提供をしていきたいと考えています。
参考文献としては、裁判員制度実施本部編「改正刑訴法(公判前整理手続)・→改正刑訴規則Q&A」、同本部編「公判前整理手続を活かす」(現代人文社)、大阪弁護士会裁判員制度実施大阪本部編「コンメンタール公判前整理手続」(現代人文社)などがあります。

 

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