「第17回弁護士業務改革シンポジウムのご案内」

第17回弁護士業務改革シンポジウムの基調報告書を御希望の皆様へ(2011年11月21日更新)

基調報告書については、事前にお申し込みを頂いた方にお配りした上で、余部が生じた場合に2000円で頒布します。
御希望の方は、11月28日(月)以降に、下記事務局までFAXにてお申し込みください(在庫がなくなり次第、頒布を終了させていただきます)。
また、基調報告書は『過去の弁護士業務改革シンポジウム』欄でもご覧になれます(但し、付録のCDの内容は掲載していません)。

→ お申し込み先:日弁連業務第一課 FAX03-3580-2866

 

第17回弁護士業務改革シンポジウムは、以下のとおり神奈川県横浜市で開催されます。今シンポジウムでは、以下のとおり11の分科会が開催されます。皆さまのご参加をお待ち申し上げます。

 

【シンポジウム】
日時 2011年11月11日(金)
10:00~10:30
 全体会 前半 (原則として弁護士である会員が対象)
10:40~16:30 分科会
16:50~18:00 全体会 後半 (原則として弁護士である会員が対象)
会場 パシフィコ横浜 会場地図
神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1 TEL045-221-2155(代)
参加費等 ■一般  無料(当日は基調報告書を1部2,000円で、希望者のみ販売いたします。) ※昼食の用意はございませんので、会場周辺の飲食店をご利用ください。
■弁護士 有料(会員ページをご参照ください)
申込方法 ■一般  当日直接会場にお越しください。
■弁護士 パンフレットの「参加申込書」に必要事項をご記入いただくか、パンフレットに記載のURLからJTBに直接お申し込みください(会員ページをご参照ください)。
テーマ
  • 【全体会】
  • 「もっと広く!もっと多様に!もっと市民のために!~弁護士業務の新たな可能性を求めて~」
【懇親会】
日時 2011年11月11日(金)18:30~20:30
場所 横浜ロイヤルパークホテル会場地図
神奈川県横浜市西区みなとみらい2-2-1-3 TEL045-221-1111(代)
参加費等 一般、弁護士ともに12,000円
申込方法 ■一般  当日直接会場にお越しください。
■弁護士 パンフレットの「参加申込書」に必要事項をご記入いただくか、パンフレットに記載のURLからJTBに直接お申し込みください(会員ページをご参照ください)。
問い合わせ先 日本弁護士連合会 業務部業務第一課
TEL:03-3580-9981 FAX:03-3580-2866

第1分科会

「小規模法律事務所におけるマーケティング戦略
~さらなる依頼者志向へ~」

第1分科会は、弁護士業務改革委員会の事務所経営プロジェクト・チームが行うものです。事務所経営プロジェクト・チームでは、過去2回の業革シンポにおいて、主として一人事務所が新人弁護士を採用して共同事務所化していくための方策として「小規模事務所の人事戦略」(第15回業革シンポ)、小規模共同事務所の経営管理の合理化を図るための方策として「共同法律事務所のマネジメント戦略」(第16回業革シンポ)を行ってきました。今回は、事務所経営シンポの第3弾という位置づけとなります。


今次の司法改革に伴う弁護士人口の大量増員時代を迎え、われわれ弁護士の業界においても、 かつて経験しなかった競争原理の局面に入りつつあると言われています。


そこで、当分科会では、法律事務所の経営において、マーケティングの手法を取り入れ、持続可能な事務所経営の方策を検討することとしました。


日弁連では、弁護士の広告が解禁され、近年では積極的に法律事務所の広告宣伝活動を行っているケースが多くなりました。マーケティングという言葉からは、広告宣伝というイメージだけが持たれがちで、「弁護士が広告をするのはけしからん」という考えを持たれる会員からは、マ ーケティングという言葉には何かしらなじめない響きを感じられるのではと思います。


しかし、マーケティングとは、企業活動の全般に関わるものであり、顧客価値を創造し、これを伝達し、説得するというプロセスを意味し、単に広告宣伝のみを指すのではありません。


また、われわれ弁護士の業務が、形のあるモノを売るというものではなく、無形のサービスを提供するという性格を持っていることから、「プロダクツ・マーケティング」ではなく、「サービス・マーケティング」をベースとしてマーケティングを考えていく必要があります。


さらには、我々弁護士の提供するサービスが、法律専門家としてのものであることからすれば、「プロフェッショナル・サービス・マーケティング」という特性を持つものとして考えるべきこととなります。


「サービス・マーケティング」の議論においては、「マーケティング・ミックス」と呼ばれる、7つのP(Product,Price,Place,Promotion,Physical Evidence,Process,People)からなるマーケティング・ツールの使い分けが必要であると言われています。


もとより、われわれ弁護士が法律専門家として市民に質の高いリーガル・サービスを提供するという立場にあることからすると、マーケティング・ミックスのうちで基底をなすのは提供するサービスそのものを指す「プロダクト」であるべきですが、それ以外にも、旧来の弁護士の業務のスタイルでは必ずしも意識されて来なかった「マーケティング・ミックス」の観点から考えるべき点は多々あると思われます。


そして、今日においては、「マーケティング・ミックス」を意識した意欲的な取組みを行っている法律事務所も続々と現れてきており、当分科会では、これからの法律事務所の経営においてはマーケティングの手法を取り入れていくことが不可欠であろうと考えます。


今回のシンポにおいては、今後においてもわれわれ弁護士が市民に質の高いリーガル・サービスを提供し、マーケットにおいて支持されていくための方策を、ともに考えていきたいと思いま す。


法律事務所の経営に関心を持たれている多くの会員のご参加をお待ちしています。


第2分科会

「地方自治体の自立と弁護士の役割
~監査、議会のあり方、クレーマー対策を題材として~」

この間、「身近な行政は地方公共団体が総合的に広く担う」、「地域住民が自らの判断と責任において地域の諸課題に取り組む」との基本的考え方のもと、地方分権改革と、それに伴う地方自治法の抜本改正の方向が打ち出されています。地方自治法が定める国と地方との役割分担、住民自治の仕組みといった地方自治の根幹に関わる事項を抜本的に見直そうというものです。そしてその第一弾として、本年4月、昨年来の課題であった地域主権改 革関連3法案が成立しました(※)。


地方公共団体においては、現在、事務の適法性、効率性、有効性等を確保するため、監査委員と外部監査委員による監査制度が設けられています。監査委員や包括外部監査人に就任・受託している弁護士も増えつつあります。しかし、これらの監査の対象・観点の区分の不明確性、監査委員の独立性・専門性の限界、外部監査制度の専門性・組織性の限界などから、ゼロベースで見直しを行い、内部統制体制の整備、組織的な外部監査体制の構築、人材の確保といった観点から、新たな制度設計が提案されています。


現行では、地方公共団体の基本構造は、執行機関として独任制の長、議事機関として合議制の議会を設置し、長と議会の議員をそれぞれ住民が直接選挙する二元代表制を採用していると考えられており、60年以上にわたって機能してきました。ところが、最近、長と議会との間の深刻な対立が生ずることがあり、議会が執行権限の行使に事前の段階から 責任を持つ、議会と執行機関の責任を明確化するという観点から、見直す必要があるとされています。議会は、団体意思の決定及び執行機関を監視する機関としての役割を担っており、政策形成機能、住民意思の反映・利害調整・集約機能を十分発揮することが求められています。


地方公共団体の職員は、様々な住民の要望にこたえなければならず、誠実に対応する必要があるのは当然のことですが、一線を超えた対応困難な要求・要望については、毅然と した対応が求められます。地方公共団体の職員は、日々、その対応に苦慮しています。


当分科会は、学者、地方公共団体の首長、議員、職員を招いて、パネルディスカッショ ンを行うなど、地方公共団体の実情を踏まえ、地方公共団体の監査制度、議会制度のあり方について検討を加え、提案するとともに、クレーマー等に対し、コンプライアンス体制の確立の観点から仮処分制度の利用も含めた具体的対応策と弁護士の活用策を提案します。


今、弁護士が、より一層自治体法務に関与し、それを通じて法の支配、法律による行政の徹底を図ることが求められています。そのために弁護士がどのような役割を果たすべきかを探求します。


多数の会員の皆様、自治体職員の皆様の参加をお願いいたします。


※地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(平成23年法律第37号) ・国と地方の協議の場に関する法律(同 第38号) ・地方自治法の一部を改正する法律(同 第35号)


第3分科会

「事務職員の育成と弁護士業務の活性化
~日弁連研修・能力認定試験をどう生かすか~」

法律事務所は弁護士と事務職員で構成されていますから、事務職員は不可欠な存在です。 弁護士が法律事務を独占するといっても、その補助業務や関連事務は多岐にわたり、弁護士のみで処理できるものではありませんので、弁護士補助職たる事務職員の果たす役割は重要です。


事務職員は、裁判所の書記官や検察庁の検察事務官に比較される存在ですから、書記官・ 検察事務官に匹敵する執務能力を備え、職責を担うべきだと考えられます。日弁連が平成20年から始めた事務職員能力認定研修・能力認定試験は、少なくとも事務職員のうちの中核的存在、いわば事務局長レベルについては、全国統一の研修・試験によって能力担保を得てほしいという考えに基づいています。「法律事務所職員」という職業人集団は、他のどのような職業とも異なる職能を持ち、独自の社会的役割を担い、独自の研鑽を求められる集団です。この職業人集団が、社会的評価を得て一個の専門家集団という社会的地位を確立していくために、まず、客観的に能力を担保する統一研修・統一試験が求められたのです。


日弁連の能力認定試験は、1年目に1555名、2年目に651名の合格者を出しており、3年目の今年も500名前後の合格者が生まれるものと思われますが、合格者はどこが違ってくるのか、合格者を事務所の中でどう活用すべきなのか、合格した後にどのような研鑽をしていくべきなのか等、これから考えるべき課題は少なくありません。


事務職員が能力を向上させ、事務所内での協働・事務分担が工夫されていくことによって、法律事務所の経営効率化、コスト削減が進んでいくでしょう。また、弁護士が「社会 生活上の医師」として広範囲な法的需要に対応しようと努めるに際して、有能な事務職員は、弁護士と顧客層を適切につないでいくインターフェイスの役割を果たすことが期待されます。今後、多様な局面において細々とした仕事まで弁護士が対応していこうと考えると、事務職員が重要な戦力となって、あるときは顧客との接触を、あるときは法律手続きの実務を、弁護士と有機的に協働して担当していくことが求められるのではないでしょう か。


本分科会では、アンケートによる弁護士・事務職員の意識調査や米国における法律事務所職員の実情調査をふまえ、今後、事務職員の能力向上や事務所内の分担体制作りをどう進めていくべきか、そのために日弁連は、どのような事務職員向け施策を取るべきか、検討をしてきたいと考えています。


第4分科会

「企業等不祥事における第三者委員会ガイドラインの今後の課題
~ガイドラインの意義と普及のために~」

日本弁護士連合会は平成22年7月に「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライ ン」を公表しました。しかし新聞社の企業向けアンケート結果でも、ガイドラインに対する認知度は高いですが、企業の意識として、これを実際に使用する事に関する認識は十分ではありません。


またガイドラインに準拠した意見書が公表されておりますが、まだガイドラインにおいて期待されている内容が実現されているとは言えません。


そこでこのシンポジウムでは、東京証券取引所の上場管理部の担当者などの参加も得て、 かつ、このシンポジウムの案内を上場企業に送付し、シンポジウムへの参加をお誘いして、 弁護士からだけではない視点から、このガイドラインがめざしている目的や意義、そして 企業等から効果的に使われるようにするにはどのようにしたらいいのかを様々な視点から検討したいと思っております。


そのため、このシンポジウムは以下の内容で行いたいと思います。


企業などが不祥事を起こし、第三者委員会が組織されて意見書が公表されています。この第三者委員会の状況や意見書の内容が、ガイドライン公表以前と公表後ではどのような変化が起きているかを検証したいと思います。


そして不祥事を起こした企業が第三者委員会が作成した意見書を公表したことで、企業を取りまく状況にどのような変化が生じたのかをできる限り検証したいとおもいます。


このような結果を踏まえて、ガイドラインはどのような使われ方をすれば効果を発揮するのか、すなわちこのガイドラインに準拠する第三者委員会は、企業などの不祥事においてどのような場合に組織されると効果的なのか、それはどのような理由からなのかを明らかにしたいと思います。


一方ガイドラインが求めている、第三者委員会の独立性というのはどのようなことなのか、それはどのようなところに具体的に現れてくるのかを明らかにしたいと思います。


そしてガイドラインに基づいて組織された第三者委員会の調査内容が、その不祥事に対応して解明すべき背景や企業風土とはいかなることを指しているのかを具体的に明らかに したいと思います。


そしてその結果、ガイドラインが求めている再発防止策に関する提言とは、どのようなものをいうのか、などを具体的に明らかにしたいと思います。


このようにこのシンポジウムを通じて、ガイドラインの意義と今後の普及をはかるための方策を具体的に明らかにしたいと思います。

 

第5分科会

「さらなるITの活用~弁護士業務支援ソフトでできること+
判例公開の最先端を聞く~」

第5分科会では、まず午前中の部では弁護士業務支援ソフトを紹介します。弁護士の日常業務は書面の起案、証拠の収集・作成等々といったクリエイティブな作業から、書類整理、日程管理、会計処理等々避けては通れない雑務まで多岐にわたり、弁護士は雑務をいかに効率的に処理して、クリエイティブな作業に集中するか、日々創意工夫を重ねています。


大規模な法律事務所では、それなりの人的・物的コストをかけることで、この問題を解決しているところが多いですが、弁護士の数が数人から十数人の中小規模の法律事務所では、 コストをかけることにも限界があります。しかし、そのような事務所においても、めざましい進歩と低コスト化を遂げるIT技術を利用することで、弁護士業務の効率化を図ることは大いに期待できるところです。


午前の部では弁護士の日常業務を支援してくれるソフ トウエアにはどのようなものがあり、それを法律事務所に導入することによってどのようなメリットが得られるのか、どのような業務がいかにして効率化できるのか等々を紹介するとともに、各社の弁護士業務支援ソフトを実際に紹介して、弁護士業務支援ソフトの活用方法を模索します。また、午後の部では、すでに諸外国で行われている判例のデジタルデータを非営利で提供する民営サービス(Legal Information Institute、LII)のデータベースを構築したオーストラリア在住のPhilip Chung氏にお話しをお聞きします。


判例は、われわれ弁護士のみならず国民全体にとって欠かすことのできない行動の指針であり国民の財産ともいうべきものであるから、本来、国民が容易に全ての判例にアクセスできる環境が整っていることが必要です。さらに、判例に対するアクセスを容易にするという観点からは、判例が全てデジタルデータ化していることが望ましいと考えます。しかし、わが国では、裁判所から提供される判例のデジタルデータの数や割合は、諸外国に比べて著し く劣っていることが、これまでの当分科会の研究の結果明かとなっています。そこで、Philip Chung氏に諸外国の判例公開の最先端のお話しをお聞きするとともに、オーストラリアにおける判例公開の実情を紹介し、わが国の判例が全てデジタルデータで公開されるためにはどの様な問題があるのか、どの様に解決していけばよいのか、その方策を探ります。


第6分科会

「今こそ「夢」実現!
~より深く、より広く、若手弁護士の活躍の場はここにも~」

弁護士に対する熱い夢や憧れがあったからこそ、辛い受験時代を乗り越えて、法学部へ、 法科大学院へ、修習生へと進んできたはずなのに、今では日々の業務に追われ、当時描いていた夢や憧れをどこか忘れてしまっているのではないでしょうか。


そこで、忙しい日々を過ごし、将来に対する漠然とした不安を抱える今だからこそ、自分自身を見つめ直し、改めて弁護士としての夢や目標、自身の将来像を設定し、実現に向けて一歩踏み出してみませんか。


当分科会は、①全国各地で開催したキャラバンにおける若手弁護士との意見交換や、②従来の弁護士業という枠にとらわれることなく幅広い分野で活躍されている方に対するインタビューに加え、③諸外国(アメリカ、ブラジル、インド、中国、韓国等)の弁護士との議論、④全国の若手弁護士を対象として実施したアンケートといった各種調査を通じて得られた地域特性、登録年数による特徴を具体的に示しながら、多種多様な分野における弁護士の活躍例や実績、キャリアプランをシンポジウムに参加された皆さまに紹介します。


そして、弁護士にはまだまだ「より深く、より広い」活躍の場があることの研究発表を通して、これまで漠然としていた弁護士としての夢や将来像について、シンポジウムに参加された皆さまそれぞれにおいて明確になり、さらに、夢実現への障害と考えられている事由については必ず乗り越えることができることを示したいと考えています。


また、震災時、あるいは震災後の社会復興において弁護士のなすべき活動について、海外調査を踏まえて具体的に提案し、この機会に改めて弁護士の社会的使命や責任、公益活動の重要性について示します。そして、シンポジウムを弁護士としてのやりがいを今一度確認することのできる場にします。


さらに、当分科会では、夢や将来像を実現するために不可欠となるスキルアップの方法やマーケティング手法等を弁護士業務に当てはめたうえ、多角的に分析・紹介します。シンポジウム当日において、発表者に習い、参加される皆さまそれぞれの夢や将来像に向けたオリジナルのスキルアップ方法やマーケティング手法を構築していただき、ぜひ持ち帰 っていただければと考えています。


弁護士が様々なキャリアプランを描くことが可能となった現在、本テーマは弁護士だけでなく、潜在的若手法曹ともいうべき司法修習生・法科大学院生・大学生の皆さまにとっても大変興味深いものであり、ぜひご参加いただきたいと思います。弁護士業の未来を共に考え、「『夢』の実現」について語り合いましょう。そして、その「夢」の中に、弁護 士としてのやりがいと社会的使命の自覚をお互いに確かめ合えるような会にしたいと思います。


第7分科会

「弁護士保険の範囲の拡大に向けて
~市民のための紛争解決費用を保険で~」

≪権利保護保険とは≫

権利保護保険は、一般的には民事訴訟や仲裁などの紛争当事者となった場合の訴訟費用、 弁護士報酬、鑑定費用などを填補する保険をいいますが、特に、日弁連と協定している保険会社及び共済組合の権利保護保険とは、日弁連を介した単位弁護士会による弁護士紹介システムと協定保険会社等の保険による費用負担とを組み合わせた制度として特徴があります。同制度は2000年に発足しました。自動車保険等の基本契約に弁護士費用特約等の名称で付帯される形で販売され、交通事故等による損害賠償請求事件が主な対象です。日弁連リーガル・アクセス・センターは日弁連の委員会として同制度の運営にあたっています。

 

≪その歴史≫

弁護士保険(権利保護保険)は、発足より10年を経過したばかりの比較的新しい制度ですが、著しい成長をしており、2009年には、契約件数は年間900万件、弁護士紹介件数は年間8000件を超え、協定保険会社等は11社となりました。法的扶助の対象とならない中間所得層を中心に、交通事故等による損害賠償請求事件において、市民の紛争解決のための重要な費用調達手段となりつつあります。この間、日弁連リーガル・アクセス・センターには、相当の運用ノウハウが蓄積されてきました。

 

≪今後の課題≫

課題は 2 つです。この保険のいっそうの普及と活用の推進に加えて対象事件の範囲の拡大です。他方、こうした拡充を進めた場合には、新たな問題が生じてくることも予想されます。そこで、日弁連リーガル・アクセス・センターでは、今後の権利保護保険制度拡充に向けた検討の参考とすべく、昨年から今年にかけて、権利保護保険を含む市民のための紛争解決費用の調達手段に関し、欧州及び米国における調査を行いました。

 

≪海外調査≫

2010年3月末から4月初めにかけての調査では、ドイツ及び英国を対象としました。ドイツは、伝統的に権利保護保険が発展し、紛争解決費用の中心的な調達手段として定着していますが、近時は保険会社による弁護士報酬低減に向けた動きもみられ、市民による弁護士選択の自由や弁護士の職務独立への影響も懸念されています。他方、英国には、通常の権利保護保険である事前保険(BTE)のほか、紛争原因が生じた後に加入する事後保険 (ATE)があり、共に弁護士選択の自由が問題化されています。近年は、充実した法律扶助の縮小に伴い、条件付き成功報酬(Conditional Fee Agreement)や事後保険の活用等が目指されてきたものの、その弊害が顕著となった結果、方向修正を余儀なくされ、やはり事前保険が大きな期待を集めています。 2011年6月上旬に行った米国調査では、完全成功報酬(Contingency Fee)や責任保険における保険者の防御義務(Duty to Defend)が、民事訴訟の費用調達において大きな役割を果たしているものの、これらでは対応しきれないケースも少なからずあり、そうした間隙を埋めるものとして、一部ではPrepaid Legal Services PlansやLegal Services Insuranceの利用が行われてきたほか、近時は代替的訴訟金融(Alternative Litigation Funding)と呼ばれる新たな費用調達手段が注目を集めています。

 

≪シンポジウムでの提言≫

当分科会では、日弁連リーガル・アクセス・センターでの運用実績をもとに、この保険の利用にあたってのノウハウをまとめ、いっそうの普及や活用の推進に向けた方策を検討するとともに、上記諸外国における調査の結果明らかとなった各国制度の特徴や問題点、 近時の動向等を踏まえ、市民の視点に立って、わが国の弁護士保険(権利保護保険)が今後あるべき姿を探り、その普及のための方法と範囲拡大に向けての提言を行います。


 

第8分科会

「中小企業の身近で頼れるサポーターとなるために
~支援ネットワークの提言と実践~」

中小企業は我が国経済の基盤ですが、金融危機による景況の悪化に加え、今年3月の東日本大震災の影響に直面し、多くの中小企業が経営の困難に晒されています。中小企業が持てる力と才能を発揮し、困難を乗り越え発展していくことが、日本の新しい未来には不可欠であり、そのための中小企業支援の重要性は改めて言うまでもありません。

 

日弁連は、2009年11月に中小企業法律支援センター(以下「センター」といいます)を設置し、2010年4月から、日弁連として史上初となる、全国共通電話番号の弁 護士面談予約サービス「ひまわりほっとダイヤル」(0570-001-240(おーい、 ちゅーしょー))を開始し、中小企業の法的ニーズに応える活動を着実に続けています。

 

しかし、「中小企業の弁護士ニーズ全国調査報告書」によると、回答企業の6割以上が相談できる弁護士がいないとする一方で、8割以上が法的課題があることを認識しており、 4割を超える企業が、法的課題があると認識しながら相談できる弁護士がいません。全国の中小企業が400万以上あるので、実に160万以上の中小企業が法的課題があると認識しながら相談できる弁護士がいないことになります。

 

「ひまわりほっとダイヤル」も相談件数が着実に増加していますが、これだけの広汎なニーズにまだまだ応えられているとは言えず、より一層、同ダイヤルの存在を広く周知せしめ、弁護士へのアクセス改善を進めていく必要があります。

 

そして、アクセス改善のためには、中小企業庁、日本政策金融公庫等の公的金融機関、 商工会議所、商工会等の中小企業関連団体、そして士業団体との連携が極めて有効です。 センターとしても、これら諸団体に「ひまわりほっとダイヤル」の広報の協力を依頼したり、適宜の情報交換を行い、また中小企業支援団体間のメーリングリストの開設を呼びかけるなど、連携の動きを進めて参りました。

 

このような過程で、別の課題も見えてきました。すなわち、中小企業支援団体の活動は、 ともすると各団体が独自に行うために縦割り的になりがちであり、横の連携が十分でないために、ある分野については支援が重複する一方、ある分野では全く支援が行き届いておらず、非効率的な面が見受けられることです。

 

中小企業にとって、課題の性質に応じてワンストップでサービスを受けられるのが理想であり、縦割り的な支援を脱して、横の連携を充実させていく必要があります。そのためにも、中小企業支援団体間でネットワークを構築することが不可欠であり、センターがその中心を担っていくことを考えています。

 

当分科会は、以上に述べた中小企業支援団体との連携という視点から、各地の弁護士会での取り組みの報告、経営指導員向けアンケートの報告、中小企業支援団体の担当者や経営者等に参加していただいてのパネルディスカッション等を行い、中小企業支援ネットワークの在り方について提言して参ります。

当分科会の発表内容は、中小企業分野への法的サービスの拡充に関心のある会員(特に若手会員)の方々、中小企業支援団体との連携に関心のある中小企業支援団体(商工会議所、商工会、士業団体等)や中小企業経営者の方々にとっては、極めて実践的で、かつ刺激や示唆に富んだものとなっています。一人でも多くの方のご参加をお待ちしております。

 

 

第9分科会

「今の働き方に不安はありませんか?弁護士のワークライフバランス
~子育て・リタイアメント/メンタルヘルス~」

【※A弁護士(31才。男性)が、第9分科会を選んだ理由】

昼間は法廷・警察・拘置所と飛び歩き、事務所に戻れば相談・打合せ。合間を縫っての電話の応対。夜は夜で委員会や弁護団会議。行事とセットの懇親会。予定のない夜は起案に励む。弁護士が自由業と言うのは名ばかりで、実際は、昼夜を分かたぬ不自由業。「ワー クライフバランス」は、意識的に追求しなければ、吹き飛んでしまう職種なのだ。

 

先日も、「母を病院に連れて行かなければならないので」と事務所の飲み会を断ったら、 ボス弁から、「奥さんはどうした」「これも仕事のうちだぞ」と、一喝された。妻は妻で仕事があるし、そもそも僕の母親だ。自分の親の面倒は自分で見るし、介護も自分でしたい。 子どもが出来れば、父親として育児にも参加したい。妻と結婚する際、「子どもが生まれたら、保育園の送り迎えは交代で」と約束したが、ボスに通じる話ではなさそうだ。

 

僕がスキーで足を折って入院したときは、事務所の所得保障保険で給料を払ってくれたが、出産による休業には保険が使えないらしく、事務所の姉弁の産休は無給だった。姉弁は、出産前は夜遅くまで仕事をしていたが、出産後は「育児と仕事を両立させたい」と言って、夜の仕事は受けず、定時(5時)で帰るようになった。このため、ボス弁から「自営業に育児休暇があったっけ」などと露骨に嫌みを言われて、辞めてしまった。何とか仕事を続ける方法はなかったのか、弁護士会がもっと力になってくれないものかと、後輩と してもどかしかった。いったん休業すれば、復帰の際のリハビリも必要だ。僕も「いずれは留学してスキルアップしたい」という夢があり、身分や会費、復帰時の研修の問題など、 長期間業務を離れる者の共通の課題として、何か取り組めないものかと考えている。なお、委員会で活躍していた何期か上の先輩を、このところ見かけないと思っていたら、実は鬱病で休職していると聞いた。復帰については同じ問題があるだろう。弁護士業は、仕事と生活のアンバランスの上に、感情労働と呼ぶに相応しく、他人のストレスまで引き受ける仕事である。懲戒対象となる弁護士にも、メンタルヘルスの問題が背後にあることが少な くないと聞き、明日は我が身ではないかと不安になった。うちのボス弁は、周囲にストレスをまき散らして発散するタイプで、僕もその被害者であるが、弁護士会の永年表彰も受け、「最近はすっかりもの忘れがひどくなってね」が口癖の好々爺に変化しつつある。「名刺から弁護士の肩書きが消えないように」と生涯現役を宣言しているが、「名誉弁護士」みたいな制度があれば、リタイアしてボランティア活動に励むなど、第二の人生を楽しんでもらえるのではないかと思う。弁護士のハッピー・リタイアメントには2億円が必要だという話もあるが、僕などには夢物語だ。公的年金に付加して一定の生活レベルを維持する、弁護士会独自の年金制度がある国もあるらしい。日弁でも是非考えて欲しいものだ。

 

第9分科会は、会員の多彩な弁護士ライフを、個人の努力だけでなく、弁護士会としていかにサポート出来るかを、ライフステージごとに考えてみる企画だ。パリ弁護士会での調査時の様子も、臨場感あふれる動画で紹介するというので、参加して共に考えたい。

 

第10分科会

「高齢社会におけるホームロイヤーの役割
~高齢者へのトータルな支援を目指して」

約4人に1人が65歳以上という超高齢社会を迎え、高齢者に対する法的支援のニーズとその重要性は高まるばかりですが、高齢者問題への我々弁護士の取り組みは、未だ十分であるとは言えません。高齢者の権利擁護の観点からも、また業務改革の観点からも、弁護士の活動領域の一層の拡充と深化を図ることが急務となっています。

 

そこで、当分科会では、生前の財産管理から死後の財産承継・処分に至る継続的かつ総合的な高齢者支援の担い手として「ホームロイヤー」に光を当て、その意義と役割、そして活用方法について提言します。

すなわち、これからの高齢者への法的支援のあり方を考えるにあたっては、次の3つの視点が大切です。

  1. 高齢者の生活をトータルに支援する視点
  2. 継続的に支援する視点
  3. 福祉・医療専門職などとの連携の視点

従来、高齢期に生ずる問題への対応は、遺言・財産管理・後見・死後事務といった個々的な事象の解決に分断されがちでした。しかしながら、高齢期に生ずる問題は、高齢者の判断能力・自己防御能力・情報処理能力等の低下、家族との関係の変化など、高齢者の日常生活全般に起因しており、高齢者の生活全般をトータルに捉えた視点からの助言・支援がなされなければ真の解決にはなりません。そして、個々の問題に一時的・危機回避的に関与・対応するだけではなく、将来の生活上の不安・リスクをも見据えた継続的な支援が不可欠となります。さらに、かかる継続的かつ総合的な視点に立つならば、必然的に、法的支援以外にも様々な形での支援が求められることとなり、福祉や医療の専門職・専門機関などの他業種と連携し、適切な役割分担のもとで協同して支援していくスタイルを確立していかなければなりません。

 

そして、かかる3つの視点に立った法的支援の担い手としての弁護士は、高度の専門的知識と経験を保持する者であるだけでなく、支援を必要とする高齢者にとって身近な存在であることが必要です。かかる条件を備えた弁護士が「ホームロイヤー」として広く活躍することは、今日の高齢社会において我々弁護士に期待された役割であると考えます。

 

シンポジウム当日は、出席された方々に、ホームロイヤー契約の内容、広い範囲に及ぶホームロイヤー業務の基礎などを詳説し、ホームロイヤー契約書を始めとする豊富な書式を盛り込んだ資料を配付する予定です。

 

また、パネルディスカッションでは、パネリストとして、高齢者問題に精通した弁護士、 弁護士を利用する側の立場から社会福祉士の方などをお招きし、高齢者に関する典型的な相談事例の検討を通じて、今求められる「ホームロイヤー」とは何か、「ホームロイヤー」 が広く受け入れられるには何が必要かを探るとともに、契約締結にあたっての注意点、ホームロイヤー業務のポイントなど実務に直接役立つ情報・ノウハウを存分に語っていただきます。

 

我々弁護士がこれから積極的に高齢者の権利擁護に取り組んでいくことの一助となるものと自負しています。

 

第11分科会

民事裁判の活性化~財産開示の活用/損害賠償の充実へ~」

不法行為に基づき損害賠償を求めることは、事後的に被害者に生じた損害を填補するとともに、将来の不法行為を抑止する効果があると説明されています。そういう意味では、 不法行為制度には、被害者を救済しようとする側面と、同様な違法行為をすれば損害賠償責任を負担するということから違法行為が繰り返されることを抑止するという側面があるといえます。

 

違法行為のうちでも悪質なもの、たとえば適正な手続保障を経たうえで、確定した仮処分命令に故意に違反する行為などは、司法判断を蔑ろにするものであって、法の支配の理念に抵抗する悪質な態度といわなければなりません。このような行為が許されないものであることを明らかにするうえでも、実際に生じた損害に加えて、たとえば財産的損害の3倍にあたる非財産的損害を認めるなどして、将来繰り返されるおそれのある違法行為を抑止しなければなりません。その場合、財産的損害の3倍を非財産的損害として認めるよりも、端的に抑止目的の付加金として、財産的損害の3倍の支払を求めることも考えられます。

 

懲罰的損害賠償は公序に反する面が指摘されますが、抑止目的の付加金であれば、填補賠償を旨とする民法の不法行為制度とも矛盾しません。また、損害の填補を超える部分、 すなわち、付加金部分に対しては課税率を高めたり、付加金の使用を公益目的の信託制度 (トラスト)を利用することにすれば、よりよい制度を設計することができるのではないでしょうか。このような工夫は、損害賠償の制度的充実につながると考えます。

 

この点をアンケート調査の結果などをふまえて議論していきます 。



さらに、金銭債権についての執行申立てにおいては、権利実現の実効性を確保する見地から、債務者の財産を把握するための方策を導入すべきとの司法改革審議会の意見書を受けて、平成15年の民事執行法改正により、財産開示手続が定められました(同法196 条以下)。この手続では開示手続実施決定を受けた債務者には、財産開示期日における出頭・宣誓・陳述の義務が課されていますが、債務者の不開示に対して、開示自体を強制するための手続は規定されていません。そのため現状の財産開示手続においては適切に財産を把握することが困難な場合が多く、財産開示手続はほとんど利用されていない状況です。

 

ドイツでは、宣誓に代わる保証制度が広く利用され、債権者の把握しにくい債務者の賃金債権の開示と少額債権の任意弁済の促進に役立っています。この制度は、金銭執行等の強制執行が奏功しなかった場合に、債務者が、裁判所において財産目録の提出等により自己の財産の明細を開示し、その正確と完全とを宣誓に代えて調書上に保証するというものです。債務者は、履行しない場合には拘留をもって強制されるほか、リストに掲載され一 般の閲覧等に供されることになります。また、韓国でもドイツ法をモデルとして財産開示制度が導入されて成果を上げています。

 

当分科会では、これらドイツ、韓国の制度の概要と運用状況などの現地調査の報告をふまえ我が国の制度における問題点を検証し、開示時の強制手段などの改正の方向性、金融機関等の第三者に対する口座情報等開示請求制度を導入することの可否について検討いたします。