公害・環境問題(公害対策・環境保全委員会)

活動の概要

日弁連は、公害による深刻な生命・身体被害を人権問題と位置づけ、当初、人権擁護委員会の中に「公害問題対策特別委員会」を設置して取り組んでいましたが、1969年5月に独立した組織として「公害対策委員会」を発足させました。その後、1985年に現在の「公害対策・環境保全委員会」に改称し、国・自治体の環境政策を前進させ、公害被害の救済、環境破壊の防止を図るために、調査研究活動をはじめ、これに基づく意見書等の作成、シンポジウムの開催、書籍の出版等の活動を行っています。


現在の活動紹介

公害対策・環境保全委員会は、現在7つの部会及び複数のプロジェクトチームから構成され、多様化する公害・環境問題に取り組んでいます。

 

各部会、プロジェクトチームの現在の活動紹介

自然保護部会
自然保護部会では、野生生物の保護・管理、生物多様性の保全に関わる現在の法制度・施策を検討し、意見書の提出やシンポジウムを開催しています。2013年11月8日(金)には、シンポジウム「生物多様性オフセットの意義と問題点」を開催しました。また、生物多様性条約締約国会議やラムサール条約締約国会議等の国際会議の際、NGO出展ブース等を利用して日弁連の環境問題への取組を紹介しています。
水部会
水部会では、河川や、湖沼などの湿地、干潟や沿岸域など、水に関わる環境問題について、調査・研究を行っています。河川環境については、治水や利水の観点からも安易なダム建設に反対し、あるべき治水のあり方について研究しています。湿地については、生命のゆりかごである湿地の価値を周知させその賢明な利用を求めるとともに、立法提言も行ってきました(湿地の保全及び再生等に関する法律要綱案)。沿岸域については、2012年人権擁護大会において当部会が中心となって実行委員会を構成し、「豊かな海をとり戻すために、海岸線の新たな開発・改変の禁止、及び沿岸域の保全・再生の推進を求める決議」(2012年10月5日)を採択し、現在これを踏まえた沿岸管理法の立法提言も検討しています。

河川、湿地、沿岸域全てにつき、ダム建設や埋立によっていったん失われてしまった環境について、これを再生する施策についても研究を進めています。

また、2016年12月2日付けで「2015年9月鬼怒川水害に関する調査報告書」 (PDFファイル;2.66MB)を取りまとめ、「2015年9月鬼怒川水害の調査結果報告書の発表に当たり、改めて、ダム依存から脱却し、総合治水及び堤防の強化を求める会長声明」とともに公表しました。
大気・都市環境部会
大気・都市環境部会では、大気汚染、まちづくり(都市計画)、建築紛争、交通政策などに関わる問題を取扱っています。誰もが良好な環境のもと、快適で心豊かに住み続ける権利を有することを確認し、持続可能な都市の実現のために現行の都市計画・建築法制を抜本的に改め、土地利用、建築、都市交通、景観などについての、統合的な都市法制を整備することを求めています。
そして、2013年12月25日に「大阪・泉南アスベスト国家賠償請求第2陣訴訟大阪高等裁判所判決に関する会長声明」を発表しています。
廃棄物部会
廃棄物部会では、これまで、廃棄物の発生抑制や適正処理等の問題に関する調査・研究や意見書の作成に取り組んできました。廃棄物問題の最も基本的な法令である、廃棄物処理法では、条文上、放射性廃棄物を対象外にしていますが、2011年の東電福島第一原発事故により、放射能で汚染された大量の廃棄物が発生したことにより、国は、急遽、「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(放射性物質汚染対処特措法)」を作りました。この法律は、様々な問題点を含んでおり、現在、当部会では、放射能汚染廃棄物も含めて、廃棄物のあるべき法制度のあり方等の提言をしていくべく、調査や研究を進めています。
エネルギー・原子力部会
エネルギー・原子力部会では、国のエネルギー政策や原子力政策の問題等について、調査・研究をし、意見を発表しています。2011年3月、福島第一原子力発電所で発生した事故では、大量の放射能を環境中に放出し、甚大な被害を与えています。当部会では、二度とこのような原子力災害を起こさせないよう、2013年の人権擁護大会において当部会が中心となって実行委員会を構成して「放射能による人権侵害の根絶をめざして」をテーマにシンポジウムを開催しました。また、各種意見書を発表するなど、脱原発に向けた取組を行っています。発表した意見書等は、以下をご覧ください。 

・第56回人権擁護大会関連
福島第一原子力発電所事故被害の完全救済及び脱原発を求める決議(2013年10月4日)
及びicon_pdf.gif基調報告書 (PDFファイル;13MB)

arrow_blue_2.gif原子力発電と核燃料サイクルからの撤退を求める意見書(2011年7月15日)
arrow_blue_2.gif「エネルギー・環境会議」が策定すべきエネルギー政策に関する意見書(2012年7月19日)
icon_pdf.gifリーフレット「本当にこれでいいの!?原子力損害賠償に上限?原発の電気に価格保証?」 (PDFファイル;366KB)
化学物質・食品安全部会
化学物質・食品安全部会では、化学物質の健康影響および食の安全の問題に関する調査・研究を行っています。これまで、化学物質過敏症の問題、農薬の問題、電磁波の問題(「電磁波問題に関する意見書」(2012年9月13日))について、意見書の作成やシンポジウムの開催を行ってきました。現在は、農薬に対する規制のあり方に関する調査・研究を中心に行っています。
環境法部会
環境法部会では、環境法制度に通じる一般的な問題に取り組んでおり、特定の具体的な分野・テーマごとに活動する他部会と異なる活動を行っています。現在は、法科大学院学生等を対象とした環境法サマースクールの実施、震災復興・国土強靭化関連公共事業の見直しのための法整備とその実現、環境問題に関する情報へのアクセス・意思決定への市民参加・司法へのアクセスを定めたオーフス条約の内容の日本国内における実現などに取り組んでいます。 
地球温暖化問題に関するプロジェクトチーム
当プロジェクトチームでは、日本が採るべき地球温暖化対策について、意見書を作成・提出し、またシンポジウムを開催しています。特に、温暖化対策の柱と言える国内排出量取引制度の創設や再生可能エネルギー推進に向けて、重点的に取り組んでいます。更には、諸外国の温暖化政策について海外調査を実施し、気候変動枠組条約締約国会議(COP)にも参加する等、他国及び国際社会の取組に関しても精力的に調査研究を行っています。
近年では、「新しいエネルギー法制度の構築に向けた意見書」(2012年2月17日)、「『電力システム改革の基本方針』についての意見書」(2012年9月13日)などを発表しています。
また、調査活動としては、再生可能エネルギーの導入・促進状況についてのスペイン・ドイツ調査(2011年5月)、温暖化被害状況についてのツバル調査(2012年2月)を行いました。
さらに、2015年1月28日には、「再生可能エネルギーの普及促進のあり方を考える院内学習会」を開催しました。

icon_pdf.gif「再生可能エネルギーの普及促進のあり方を考える院内学習会」配布資料(PDFファイル;10MB)
リニア新幹線問題に関するプロジェクトチーム
当プロジェクトチームでは、JR東海のリニア中央新幹線計画について、①自然環境に対する悪影響、②低周波音や強い電磁波の発生のおそれ、③工事に伴う残土等処理等の問題、④過大な電力消費、⑤交通機関としての安全性など、様々な懸念が指摘されているにも拘らず、十分な情報公開もなく着工が急がれていることから、日弁連としてリニア中央新幹線計画に取り組むべく、2014年3月に発足しました。現在、以下の意見書を発表するともに、同意見書に基づいて国土交通省やJR東海と意見交換を行っております。

arrow_blue_2.gif「リニア中央新幹線計画につき慎重な再検討を求める意見書」(2014年6月19日) 
防潮堤問題に関するプロジェクトチーム
当プロジェクトチームでは、東日本大震災後に被災地に赴き、防潮堤建設について調査を行ったところ、地域の自然環境や景観に対する配慮及び住民意見の反映が不十分であるとの認識を持ちました。災害復興支援委員会にも協力を呼びかけて45周年記念PTを立ち上げ、2014年5月10日(土)、仙台弁護士会館において、仙台弁護士会及び東北弁護士会連合会との共催で、公害対策・環境保全委員会発足45周年記念シンポジウム「災害復興と持続可能性~防潮堤問題から考える~」を開催しました。同シンポジウムには、250名を超える参加者があり、この問題に関する関心の高さが浮き彫りになりました。そこで、①このシンポジウムの成果を報告集にまとめること、及び②防潮堤建設の問題点を是正するための提言を行うために、45周年記念PTを防潮堤問題に関するプロジェクトチームと名称を変更するとともに、委員を拡充して活動を継続することとしました。


PDF 報告集(PDFファイル;14MB)

 

上記報告集中の「シンポジウム関連報道紹介一覧」にある、報道紹介先のリンク(※一部)はこちらです。

 

icon_page.png宮城)住民の声反映した防潮堤を 日弁連が仙台でシンポ(朝日新聞 2014年5月11日)
icon_page.png防潮堤計画、柔軟に 宮城県に批判相次ぐ 仙台でシンポ(河北新報 2014年5月11日)
水俣病問題検討プロジェクトチーム

公害対策・環境保全委員会と人権擁護委員会は、共同で「水俣病問題検討プロジェクトチーム」を立ち上げ、調査・検討を行っています。水俣病特別措置法の運用の問題、不知火海沿岸の住民調査、チッソの分社化の問題などについて検討を行い、被害者の方々の幅広い救済を求めて活動をしています。

2011年6月4日(土)には、「シンポジウム『水俣病特別措置法のあり方を考える~水俣病は終わらない~』」を開催しました。


PDF 報告書(PDFファイル;23MB)


また、2013年6月1日(土)には、「すべての水俣病被害者の全面救済を求めるシンポジウム」を開催しました。

icon_pdf.gif報告集・前半(パネル等)(PDFファイル;784KB)
icon_pdf.gif報告集・後半(資料集)(PDFファイル;2.2MB)

最近の発行物

2010年版弁護士白書 特集1
「そしていのちを守る戦いは続く~公害・環境問題における40年の軌跡と将来戦略」

公害対策・環境保全委員会は、2009年5月に設立40周年を迎えました。委員会では、記念シンポジウムの開催とともに、40年にわたる委員会活動の軌跡と将来への展望を「2010年版弁護士白書」の特集として掲載しました。詳しくは→こちらをご覧ください。

公害対策・環境保全委員会編『公害・環境訴訟と弁護士の挑戦』
(法律文化社/2010年10月5日発行)

本書では、四日市公害訴訟、熊本水俣病訴訟など、実際に訴訟に取り組んだ弁護士が、「なぜ訴訟をおこすのか」「訴訟で何を求め、困難をどうのりこえたか」「法廷外の活動にどのように取り組んだのか」などの訴訟の経緯や争点、課題を詳述しています。

公害対策・環境保全委員会では、次の世代を担う皆さんに、教科書や判例集には載っていない具体的な取り組みを知っていただくために、編者として本出版に携わりました。

※日弁連では本出版物の販売等は行っておりませんので、購入に関するご質問等については法律文化社にお問合せ下さい。

 

日弁連公害・環境ニュース

公害対策・環境保全委員会では、年に数回「日弁連公害対策・環境保全委員会ニュース」を発行し、委員会の活動について紹介しています。

 

最新号 公害・環境ニュース64号

<CONTENTS>
  • 第7回環境法に関する法科大学院サマースクール報告
  • 有機農業視察調査報告
  • 避難指示解除後の南相馬市小高区の状況
  • 鬼怒川水害調査について
  • 放射能汚染廃棄物にかかる秋田県現地調査
  • 滋賀県の生物多様性に関する勉強会報告

バックナンバー

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