戦後70年を迎えるにあたっての会長談話

 

わが国は、植民地支配と侵略そして先の戦争により、多くの国々、ことにアジア諸国の人々に対し大きな被害と犠牲を与えました。また、300万人を超える日本人が、先の戦争により命を奪われました。


法律の留保の下でしか人権が保障されず、制限選挙制度や言論統制、さらには治安維持法等による弾圧のために民主主義が十分に機能しない中で、時の政府の判断や立法を国民が規制することができず、先の戦争は準備され遂行されてしまいました。


日本国民は、そうした悲惨な歴史に対する痛切な反省の下に、二度と政府の行為によって戦争の惨禍を起こさないことを決意して、日本国憲法を制定しました。その決意は、政府の暴走と権力濫用を許さない立憲主義の理念と、基本的人権の尊重、国民主権、恒久平和主義の三つの基本原理として、日本国憲法に結実しています。これらは、決して改変してはならない日本国憲法の根幹です。


日本国憲法は、戦後70年、国民の不断の努力により、着実に社会に定着し、私たちの権利や生活を保障してきました。


また、わが国は、日本国憲法の下で、世界各国との協力と友好を深め、今日まで一度も戦争をすることなく平和国家としての道を歩み、国際社会の評価と信頼を得てきました。


しかし今、日本国憲法に対し、その根幹を改変しようとする動きがあります。


集団的自衛権の行使を容認した昨年7月の閣議決定と、それに基づき本年5月に国会に提出された平和安全法制整備法案及び国際平和支援法案(以下併せて「本法案」といいます。)の立法化に向けた動きです。


本法案は集団的自衛権の行使を容認するなど、立憲主義に反し日本国憲法に違反しています。そのことは多くの憲法学者により繰り返し指摘され、国民の多数が本法案に反対しているにもかかわらず、衆議院本会議で採決が強行されました。


日本弁護士連合会は、戦後70年の節目を迎えた今日、あらためて、戦前戦後の歴史に思いをいたし、内外の全ての犠牲者に対し謹んで哀悼の意を表するとともに、今を戦前にしないために、皆様とともに、立憲主義の理念と日本国憲法の基本原理を堅持し、より人権が保障された平和で豊かな日本をつくるべく、引き続き全力を尽くすことを誓います。 

 

 

  2015年(平成27年)8月7日

日本弁護士連合会      

 会長 村 越   進