機能性表示食品制度の導入に関する会長声明

 

消費者庁は、2015年3月20日、食品表示法第4条第1項に基づく食品表示基準を定めた内閣府令を公布し、同年4月1日から機能性表示食品制度(以下、「本制度」という。)の導入を予定している。これは、特定保健用食品及び栄養機能食品とは別の制度として、事業者の責任で食品の機能性(特定の保健の目的(疾病リスクの低減に係るものを除く。)が期待できる旨。)を表示することを可能とするもので、規制改革実施計画(2013年6月14日付け閣議決定)の要請を受けたものである。


本制度は、機能性関与成分を含有する食品について、健康の維持及び増進に資する特定の保健の目的(疾病リスクの低減に係るものを除く。)が期待できる旨を科学的根拠に基づいて容器包装に表示する制度であり、消費者庁に一定の届出をすることが要件とされているが、政府による個別の安全性審査、機能性審査は全く行われないこととされている。本制度の創設によって、これまでいわゆる健康食品として販売され、あるいは販売が予定されていた食品の一部が機能性表示食品として販売されることになると考えられる。


当連合会は、2013年11月22日付け「いわゆる健康食品の表示・広告規制の在り方についての意見書」において、いわゆる健康食品について、医薬品成分を含むものが流通していること、健康被害を出しているものがあること、科学的根拠が乏しいものがあること、品質にばらつきがあること、消費者が医薬品と誤解していること、悪質商法に利用されていること等の問題点を指摘し、さらに、2014年9月17日付け「『食品の新たな機能性表示制度に係る食品表示基準(案)』についての意見書」においても、いわゆる健康食品の機能性表示を可能とする仕組みを新たに創設することに反対してきたところである。


本制度は、機能性関与成分に機能性があることについて、科学的根拠があることをその要件としている。また、その科学的根拠については、ガイドラインにより最終製品を用いた臨床試験又は最終製品ないし機能性関与成分に関する研究のレビューが必要であるとしており、科学的根拠を欠く食品の機能性表示を一定程度防止するものといえる。


しかし、安全性に関しては、喫食実績や既存情報を調査するなどして安全性を評価すること、機能性関与成分と医薬品の相互作用等に関し評価すること等がガイドラインに示されているものの、事業者の義務とされておらず、国による個別審査もない。また、生産・製造及び品質の管理に関する情報の届出を要求しているものの、総合衛生管理制度(HACCP)等の食品の安全性及び品質の確保にとって有用と思われる制度の導入は義務付けられていない。


消費者庁は、2年後に見直しをするとしているが、本制度は、安全性確保の措置に欠けるものと言わざるをえない。よって、当連合会は、本制度の運用開始を見合わせ、法律により事業者に対し安全性及び品質確保の体制を義務付けること等を含め、機能性表示食品の安全性確保の措置をとることを求めるものである。 

 

 

2015年(平成27年)3月26日

        日本弁護士連合会

       会長 村 越   進