東京入国管理局における被収容者の死亡事件に関する会長声明

 

2014年11月22日、東京入国管理局に収容されていた57歳のスリランカ人男性が死亡するという事件が発生した。新聞報道によれば、男性は同日朝に胸の痛みを訴えたが、医師の診察を受けられなかったところ、午後1時頃に意識不明の状態で見つかり、搬送先の病院で死亡が確認されたとのことである。

 

入管収容施設では、2014年3月にも、東日本入国管理センターに収容されていたイラン人男性とカメルーン人男性が相次いで死亡するという事件が発生していたところである。これを受け、法務省は、同年11月20日には、常駐医の不在などの問題があったとして、常勤医の確保に向けた努力を継続することとし、診療申出から受診までの手続・手順の見直しや検査結果の迅速な回付、容態観察中の対応について、処遇改善の方針を示していた。

 

当連合会は、入管収容施設における医療問題に関する被収容者からの人権救済申立てについて、2014年11月7日、東京入国管理局及び東日本入国管理センターが、社会一般の水準と同様の水準の医療の提供を怠り、そのような医療へアクセスすることを阻害したことなどから、同人らの医療を受ける権利を侵害したとして、今後の侵害の防止について適切な措置を採るよう勧告していた。そして、このような適切な措置として、被収容者の症状に照らし緊急を要する場合には直ちに医師による診療を受けることができるようにすること、入管収容施設の医師の意見を聴取することが困難な場合には速やかに外部医療機関での診療を行うべきことなどを求めていた。

 

今回の事件は、その後間もなくして発生したものであり、当連合会による勧告の内容に照らしても、また、法務省自身が示していた処遇改善の方針に照らしても、甚だ遺憾であるといわざるを得ない。


 
当連合会は、相次ぐ死亡事故という事態の重大さに鑑み、法務省入国管理局及び東京入国管理局に対し、今回の事件が発生するに至った原因について、入国者収容所等視察委員会など第三者機関による調査を含めた徹底的かつ迅速な調査を実施し、その調査結果を公表するよう求める。また、今後このような事件が再発することのないよう、医療関係への重点的な人員配置や医療の必要な者への仮放免の柔軟な実施など直ちに採りうる対策を講じるとともに、当連合会が勧告した適切な医療体制の構築など、具体的かつ実効的な再発防止の措置を速やかに講じるよう強く求めるものである。


 

  2015年(平成27年)1月14日

日本弁護士連合会      

 会長 村 越   進