死刑執行に強く抗議し、改めて死刑執行を停止し死刑廃止について全社会的議論を開始することを求める会長声明

 

本日、東京、大阪の各拘置所において、それぞれ1名に対して死刑が執行された。谷垣禎一法務大臣による4度目の執行であり、本年2月21日の3名、4月26日の2名、9月12日の1名に続く死刑の執行であって、合計8名に対して死刑の執行を命じたことになる。極めて遺憾であり、当連合会は改めて死刑執行に強く抗議する。


当連合会は、本年2月12日、谷垣法務大臣に対し、「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し、死刑の執行を停止するとともに、死刑えん罪事件を未然に防ぐ措置を緊急に講じることを求める要請書」を提出して、死刑制度とその運用に関する情報を広く公開し、死刑制度に関する世界の情勢について調査の上、調査結果と議論に基づき、今後の死刑制度の在り方について結論を出すこと、そのような議論が尽くされるまでの間、すべての死刑の執行を停止すること等を求めていた。


裁判員制度の下、市民が死刑判決に関わらざるを得なくなっている一方で、死刑制度そのものの存廃についての公の議論は何ら行われないままである。


政府は、政府の世論調査(死刑制度に対する意識調査を含む「基本的法制度に関する世論調査」)の結果を根拠に、国民の8割以上が死刑制度を支持していると評価している。これに対して、当連合会は、「死刑制度に関する政府の世論調査に対する意見書」(2013年11月22日)において、この調査の死刑制度に関する主質問では、死刑存置側に回答を誘導するような選択肢が用いられていること、死刑制度を支持する回答者には、「状況が変われば、将来的には、死刑を廃止してもよい」と考えている者も含まれており、将来的にも死刑制度を支持する回答者の割合は、約56%と評価すべきであることを指摘したところである。


死刑の廃止は国際的な趨勢であり、世界で死刑を廃止又は停止している国は140か国となっている。死刑を存置している国は58か国であるが、2012年(平成24年)に、実際に死刑を執行した国は、日本を含め21か国であった。いわゆる先進国グループであるOECD(経済協力開発機構)加盟国(34か国)の中で死刑制度を存置している国は、日本・韓国・アメリカの3か国のみであるが、韓国とアメリカの18州は死刑を廃止又は停止しており、死刑を国家として統一して執行しているのは日本のみである。本年5月31日には、国連拷問禁止委員会の総括所見が発表され、日本は死刑制度を廃止する可能性についても考慮するよう勧告を受けた。


当連合会は、これまでの死刑執行に対しても強く抗議してきたところであるが、今回の死刑執行に対し強く抗議するとともに、改めて死刑執行を停止し、死刑に関する情報を広く国民に公開し、死刑制度の廃止について全社会的議論を直ちに開始することを求めるものである。


2013年(平成25年)12月12日

 日本弁護士連合会
 会長 山岸 憲司