死刑執行に強く抗議し、改めて死刑執行を停止し死刑廃止について全社会的議論を開始することを求める会長声明

 

本日、東京拘置所において、1名に対する死刑の執行が行われた。谷垣禎一法務大臣による3度目の執行であり、本年2月21日の3名、4月26日の2名に続く連続した死刑の執行であって、極めて遺憾な事態であり、当連合会は改めて死刑執行に強く抗議する。


当連合会は、本年2月12日、谷垣法務大臣に対し、「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し、死刑の執行を停止するとともに、死刑えん罪事件を未然に防ぐ措置を緊急に講じることを求める要請書」を提出して、死刑制度に関する当面の検討課題について国民的議論を行うための有識者会議を設置し、死刑制度とその運用に関する情報を広く公開し、死刑制度に関する世界の情勢について調査の上、調査結果と議論に基づき、今後の死刑制度の在り方について結論を出すこと、そのような議論が尽くされるまでの間、すべての死刑の執行を停止すること等を求めていた。


特に本件は、第一審で無期懲役判決であったものが、控訴審で死刑判決となり、裁判官の間でも、死刑相当か否か意見が分かれた案件である。死刑制度とその運用に関する情報の公開が進まず、全社会的な議論もなされないままに、死刑の執行だけが繰り返し行われているのであって、到底容認することができない。


裁判員制度の下、市民が死刑判決に関わらざるを得なくなっている一方で、死刑制度そのものの存廃についての公の議論は何ら行われないままである。


死刑の廃止は国際的な趨勢であり、世界で死刑を廃止又は停止している国は140か国である。死刑を存置している国は58か国であるが、2012年(平成24年)に、実際に死刑を執行した国は、我が国を含め21か国であった。いわゆる先進国グループであるOECD(経済協力開発機構)加盟国(34か国)の中で死刑制度を存置している国は、日本・韓国・アメリカの3か国のみであるが、韓国とアメリカの18州は死刑を廃止又は停止しており、死刑を国家として統一して執行しているのは日本のみである。本年5月31日には、国連拷問禁止委員会の総括所見が発表され、我が国は死刑制度を廃止する可能性についても考慮するよう勧告を受けたばかりである。


当連合会は、今回の死刑執行に対し強く抗議するとともに、改めて死刑執行を停止し、死刑に関する情報を広く国民に公開し、法務省に有識者会議を設置する等の方策をとることによって、死刑制度の廃止について全社会的議論を直ちに開始することを求めるものである。

 

2013年(平成25年)9月12日

 日本弁護士連合会
 会長 山岸 憲司