婚外子の法定相続分についての最高裁判所違憲決定を受けて家族法における差別的規定の改正を求める会長声明

 

本日、最高裁判所大法廷は、嫡出でない子の法定相続分を嫡出である子の2分の1とする民法第900条第4号ただし書前段(以下「本件規定」という。)につき、「本件規定の合理性については、個人の尊厳と法の下の平等を定める憲法に照らし、嫡出でない子の権利が不当に侵害されているか否かという観点から判断されるべき法的問題であり」、「法律婚という制度自体は我が国に定着しているとしても」、本件規定が設けられた1947年の民法改正以降、我が国においては、婚姻や家族の実態が著しく変化、多様化する中で、「婚姻、家族の在り方に対する国民の意識」も変化し、「家族という共同体の中における個人の尊重がより明確に認識されてきたことは明らかであ」り、このような認識の変化に伴い、「父母が婚姻関係になかったという、子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されず、子を個人として尊重し、その権利を保障すべきであるという考え方が確立されてきているものということができ」、「立法府の裁量権を考慮しても、嫡出子と嫡出でない子の法定相続分を区別する合理的根拠は失われて」いるとして、憲法第14条第1項に違反して無効であると判示し、本件規定が合憲であるとの最高裁大法廷1995年7月5日決定を変更した。今回の決定は、当連合会の多年にわたる主張と合致するものであり、極めて妥当なものと高く評価する。


これまで、国連の自由権規約委員会、女性差別撤廃委員会、子どもの権利委員会及び社会権規約委員会は、日本政府に対して、本件規定についての懸念を表明し、本件規定を廃止することを繰り返し求めてきた。婚外子と婚内子の平等化を図り差別を撤廃することは国際的潮流であり、相続分につき制限を設けていたドイツ、フランスにおいても既に相続における平等が実現しており、東アジア諸国においても婚外子の相続分についての差別はない。


自由権規約、女性差別撤廃条約、子どもの権利条約及び社会権規約を批准している日本政府は、これらの条約に沿うよう国内法を整備する義務がある。国は、速やかに、本件規定を改正(削除)し、婚外子と婚内子の相続分についての平等化を実現すべきである。なお、「嫡出でない子」ないし「非嫡出子」という用語は差別的であるとして、子どもの権利委員会から用語の廃止についても勧告されている(第2回日本政府の報告に対する2004年2月26日付け子どもの権利委員会の最終見解)。改正に当たっては、差別的な用語をも改めるべきである。


ところで、日本政府は、自由権規約委員会及び女性差別撤廃委員会から、上記婚外子差別のほか、選択的夫婦別姓を認めていないこと、女性のみに6か月の再婚禁止期間を定めていること、婚姻適齢について男女の差を設けていることについて、繰り返し懸念を表明され、民法改正のために早急な対策を講じるよう要請されてきている。しかし、これらに関する民法規定もいまだ改正されていない。


当連合会は、国に対し、婚外子の差別的な法定相続分を定める本件規定の改正と併せて、夫婦同姓しか認めない民法第750条、再婚禁止期間を定める民法第733条、婚姻年齢に男女の差を設ける民法第731条など家族法における差別的規定を、速やかに改正することを強く求める。

 

2013年(平成25年)9月4日

日本弁護士連合会
会長 山岸 憲司