大崎事件第2次再審請求棄却決定に関する会長談話

 

昨日、鹿児島地方裁判所刑事部は、大崎事件に関する第2次再審請求事件(請求人:原口アヤ子氏ほか1名)について、再審請求を棄却した。



本件は、1979年(昭和54年)に鹿児島県大崎町で牛小屋から遺体が発見された事件であり、原口氏ほか2名が殺人・死体遺棄により、更に1名が死体遺棄により、それぞれ有罪判決が確定している。その後、原口氏は、再審請求を行い、2002年(平成14年)3月26日に鹿児島地方裁判所が再審開始を決定したが、検察官の即時抗告を受けて、2004年(平成16年)12月10日に福岡高等裁判所宮崎支部が再審開始決定を取り消し、2006年(平成18年)1月30日には最高裁判所も特別抗告を棄却するという経過をたどっており、今回は二度目の再審請求となる。



本件の審理において、裁判所は、弁護団の再三の要請にもかかわらず、検察官に対して未開示証拠やそのリストの開示を求めることもないまま審理を終結し、原口氏らの再審請求を棄却した。



しかし、布川事件や東電OL殺人事件など近時の再審事件においては、検察官手持ち証拠の開示がなされたことが再審開始、さらには再審無罪への大きな原動力となっている。また、袴田事件、日野町事件、東住吉事件などでも、再審段階において未開示証拠が開示され、それが審理にも大きな影響を与えている。このように、再審事件においては証拠開示の流れが定着しつつある。



そのような中で、今回、裁判所が検察官に対して証拠開示を勧告せず拙速に再審請求を棄却したことは、このような流れに逆行するものであって、極めて遺憾である。そもそも、捜査機関が収集した証拠は国民共有の財産であって、無辜の救済を図るという再審の理念に照らせば、請求人側には全ての証拠へのアクセスが保障されなければならず、裁判体によってその保障に差が生じるような事態は許されない。



原口氏らは、即時抗告を行う方針とのことである。当連合会は、引き続き本件の行方を注視するとともに、即時抗告審においては必要かつ十分な証拠が開示され、充実した審理が行われることを期待するものである。

 

2013年(平成25年)3月7日

日本弁護士連合会
会長 山岸 憲司