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HOME > 日弁連の活動 > 会長声明・意見書等 > 会長声明・日弁連コメント > 2011年 > 裁判員裁判無罪判決を破棄した控訴審判決に関する会長談話

裁判員裁判無罪判決を破棄した控訴審判決に関する会長談話

本年3月30日、東京高等裁判所は、第一審の裁判員裁判で無罪判決が言い渡された覚せい剤取締法違反及び関税法違反被告事件について、原判決を破棄して有罪判決を言い渡した。

 

この事件は、被告人が覚せい剤約1キログラムを輸入しようとしたとして起訴されたものである。被告人が、手荷物内に違法薬物が隠されていることを認識していたかどうかが争われた。

 

裁判員が加わった第一審裁判所は、違法薬物が隠されていることを被告人が認識していたことが、常識に照らして間違いないとは認められないとして、無罪判決を言い渡した。

 

ところが、東京高等裁判所は、第一審判決は証拠の評価を誤って事実を誤認したと判示し、有罪判決を言い渡した。

 

当連合会は、市民が刑事裁判の審理と評議に参加することによって、さまざまな知識及び経験をもつ市民の常識が裁判に反映され、無罪推定の原則等に忠実な「よりよい刑事裁判」が実現されるなどの観点から、裁判員制度の意義を訴えてきた。

 

市民が加わった裁判所による判決において有罪とすることには疑問があるとされた結論が、職業裁判官のみによって安易に変更されるとすれば、裁判員制度の意義が著しく損なわれる。

 

裁判員法が施行されてから約2年間にわたり、裁判員に選任された市民が真摯に事件に取り組み、制度の運用は順調に推移してきた。

 

その意義が損なわれることのないように、第一審が裁判員裁判によって行われた事件の控訴審のあり方について、あらためて議論が深められるべきである。


2011年(平成23年)4月5日

日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児

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