ワークルール教育推進法(仮称)の制定を求める意見書

 

2017年2月17日
日本弁護士連合会

 

本意見書について

日本弁護士連合会では、2017年2月17日付けで「ワークルール教育推進法(仮称)の制定を求める意見書」をとりまとめ、2月20日付けで非正規雇用労働者の待遇改善と希望の持てる生活を考える議員連盟宛て、2月27日付けで厚生労働大臣、文部科学大臣、法務大臣等に提出しました。

 

本意見書の趣旨

国は、次に示す目的及び基本理念の下、ワークルールに関する教育及び啓発並びにその実現を支援する諸活動を推進するため、以下の内容を盛り込んだワークルール教育推進法(仮称)を制定すべきである。

 

1 ワークルール及びワークルール教育の意義

「ワークルール」とは、「職業生活において必要な労働の分野に関する実体法及び手続法等(判例を含む。)」をいう。

「ワークルール教育」とは、ワークルールに関する基礎的な知識を付与するとともに、職業生活において生ずる諸問題に適正に対処するために必要な分析力、交渉力及び問題解決力を育むものである。

 

2 目的及び基本理念

(1) ワークルール教育を受ける者の将来にわたる充実した職業生活を実現し、健全な労使関係を構築する。

(2) 労働者が労働に関する権利侵害等に対する実践的な救済方法に関する知識を含むワークルールに関する知識を習得することができるように、環境の整備を図る。あわせて、行政取締機関による実効的な取締りや支援を可能とするよう国の役割・責務を改めて確認し、関係機関の連携強化を図る。

(3) 使用者がワークルールに関する知識の向上を図ることができるように、環境の整備を図る。

(4) 学齢期から高齢期までの各段階に応じて体系的にワークルール教育を行う。

(5) 学校、職域、地域その他の様々な場の特性に応じた適切な方法により、かつ、それぞれの場におけるワークルール教育を推進する多様な主体の連携を確保しつつ、効果的にワークルール教育を行う。

 

3 盛り込むべき項目

(1) 国、地方公共団体の役割・責務

国、地方公共団体は協力して、ワークルール教育を適切に推進すべき責務があり、自ら率先して労働コンプライアンスの充実を図ること。

(2) 教育委員会の役割・責務

教育委員会は教職員に対し研修その他必要な措置を講じ、ワークルール教育の意義の周知、人材の受入れ体制の構築に取り組むべきこと。

(3) 学校等の役割・責務

学校等が若者にとって、対等な契約上の地位の獲得、誠実な契約の履行、紛争解決力等を身につける学習の場として十分な役割を果たすべきこと。

(4) 職域におけるワークルール教育

使用者に対し、研修、情報提供、インセンティブ付与その他の必要な措置を講じ、あわせて労働組合、NPO法人等にも必要な助成を行うこと。

(5) 地域におけるワークルール教育

ワークルール教育の浸透には地域の理解が重要であることから、地域の自主性を重んじつつ地域住民の需要に応じて必要な措置を講ずべきこと。

(6) 教材の充実等

ワークルール教育に関連する実務経験者等の意見を反映させて教材の充実を図り、担い手の育成や研修についても必要な措置を講ずべきこと。

(7) 調査研究等

国、地方公共団体は、国の内外におけるワークルール教育に関して、調査・研究並びにその成果を普及・活用する責務があることを確認すること。

(8) 推進体制の確立

国、地方公共団体はその役割を踏まえて、ワークルール教育に関する重要事項の調査・審議、情報交換その他の調整を行う機関を設置すべきこと。

(9) 財政措置の確保

ワークルール教育の推進には財政的措置が不可欠であることから、ワークルール教育の諸活動を支える財政的措置の確保を明記すべきこと。

 

(※本文はPDFファイルをご覧ください)