「長期エネルギー需給見通し(案)」に対する意見書

 

2015年6月17日
日本弁護士連合会


 

本意見書について

当連合会は、2015年6月17日付けで「長期エネルギー需給見通し(案)」に対する意見書を取りまとめ、資源エネルギー庁長官に提出しました。

 

本意見書の趣旨

1 我が国のエネルギー需給の目標及び目標達成の計画については、エネルギー基本計画の改定によるべきであり、国の目標でも計画でもなく、閣議決定を経るものでもない「長期エネルギー需給見通し」の策定という、あいまいな方策によるべきではない。


2 エネルギー源の選択においては、その安全性、供給安定性、環境への負荷の少なさに加え、発電の運転時のコストのみならず、安全対策費用、廃棄物の最終的な処理・処分費用などコストの全体を評価すべきである。また、我が国のエネルギー需給の将来像は、中長期的な時間枠で、原子力からの脱却及び化石燃料、とりわけ石炭火力からの脱却に向け、将来のあるべき社会像とともに議論されるべきである。


3 本見通し案における2030年の最終エネルギー需給量は、過大なマクロフレーム想定に基づき需要を大きく想定し、省エネルギー量を過小に見積もったものである。エネルギー需要及び省エネルギー量を適正に想定することによって、エネルギー消費量及びエネルギー起源の二酸化炭素排出量のより大きな削減が可能である。


4 原子力に依存することなく、エネルギー自給率を高め、二酸化炭素排出をより削減していくために、再生可能エネルギーを拡大し、石炭火力から脱却していく電源構成案を策定すべきである。再生可能エネルギー及び化石燃料の経済性は中長期的視点で評価すべきである。


5 エネルギー消費量及び二酸化炭素の排出を削減させつつ経済成長を実現していくことは可能であり、産業部門を含む各部門での省エネルギー対策を強化すべきである。


6 本見通し案における2030年の総発電電力量における再生可能エネルギー比率(22から24%)を、より大胆に、高く設定すべきである。


7 総発電電力量に対する石炭の割合(26%程度)は大幅に削減し、天然ガスを拡大すべきである。


8 原子力に依存しないエネルギーミックス及び地球温暖化目標を定めるべきである。2030年の原子力の割合(20から22%程度)は、既設原発の稼働年を60年に延長することを前提とするものであり、「原発依存を可能な限り低減する」としたエネルギー基本計画と矛盾し、改正原子炉等規制法の稼働年の原則に反するものであり、実現可能性もない。地球温暖化対策としても不適切である。


9 エネルギー基本計画の改定に合わせて長期エネルギー需給見通しを見直すとしているが、2030年の一次エネルギー及び電源構成にかかる目標やその実現に向けた対策・施策は、本来、閣議決定によるエネルギー基本計画によって定めるべきであり、長期エネルギー需給見通しの改定によるべきではない。

 

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