人種等を理由とする差別の撤廃に向けた速やかな施策を求める意見書

 

2015年5月7日  
日本弁護士連合会


 

本意見書について

当連合会は、「人種等を理由とする差別の撤廃に向けた速やかな施策を求める意見書」を取りまとめ、2015年5月13日付けで内閣総理大臣、法務大臣、衆議院議長、参議院議長及び各政党代表者宛てに提出いたしました。

 

本意見書の趣旨

あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(以下「人種差別撤廃条約」という。)の理念に基づき、次のとおり、人種等(人種、皮膚の色、世系、民族的若しくは種族的出身、国籍)を理由とする差別(以下「人種的差別」という。)の撤廃に向けた速やかな施策を行うことを求める。


1 国に対し、人種的差別を理由とする入店・入居拒否等の差別的取扱いや、人種的憎悪や人種的差別を扇動又は助長する言動(以下「ヘイトスピーチ」という。)等の人種的差別に関する実態調査を行うことを求める。


2 国に対し、人種的差別禁止の理念並びに国及び地方自治体が人種的差別撤廃に向けた施策を実施するに当たっての基本的枠組みを定める法律(以下「基本法」という。)の制定を求める。また、この基本法では、以下の内容を定めるべきである。

(1) 目的
憲法13条及び憲法14条とともに、人種差別撤廃条約の理念を実現することを目的とするものであること。

(2) 人種的差別の定義
包括的な人種的差別の定義として、人種、皮膚の色、世系、民族的若しくは種族的出身、国籍に基づく差別を含めること。

(3) 不当な差別行為等の禁止
あらゆる日常生活又は社会生活における個々人に対する不当な差別的取扱いとともに、ヘイトスピーチを公然と行うことが許されないこと。

(4) 基本方針の策定
国及び地方自治体が人種的差別の撤廃に向けた施策を遂行するための指針となる基本方針を策定すること及び人種的差別に関する実態を踏まえ、これを定期的に見直すこと。 

(5) 国及び地方自治体の行うべき施策
国及び地方自治体が、人種的差別を受けた者に対する効果的な保護及び救済、寛容及び相互の理解を促進するための啓発活動を含む人種的差別撤廃に向けたあらゆる施策を総合的かつ一体的に実施する責務を負うこと。
(6) 人権教育の実施
国及び地方自治体が、人種的差別及びその原因を解消するため、人権教育を充実させる責務を負うこと。
(7) 人種的差別の撤廃に向けた政策の提言等を行う機関の設置
人種的差別の実態に関する調査を行い関係行政機関に対して意見を述べるとともに、国及び地方自治体が人種的差別の撤廃に向けた施策を遂行するための指針となる基本方針の案を提示し、差別を受けた者に対する効果的な保護及び救済を確保するための政策を提言する、一定の独立性を有する機関を設置すること及びこの機関の委員の構成が、人種的差別を受けた者の意見を適切に反映し、差別の実情を踏まえた審議ができるよう構成されなければならないこと。


3 国に対し、人種的差別を防止し差別による被害から救済するための制度的枠組みを充実させるべく、政府から独立した国内人権機関を早急に設置し、個人通報制度の利用を可能とするための措置を講ずることを求める。

 

 

(※本文はPDFファイルをご覧ください)