水俣病認定補償制度の是正を求める意見書

 

2014年10月15日 
日本弁護士連合会


 

本意見書について

 日弁連は、2014年10月15日付けで「水俣病認定補償制度の是正を求める意見書」を取りまとめ、同23日付けで環境大臣、衆参両院議長、熊本県知事、鹿児島県知事・新潟県知事に提出しました。

 

本意見書の趣旨

1 水俣病認定補償制度について、国は、以下の措置を講じるべきである。
(1) 水俣病の認定基準と救済システムについて
① 1977年7月1日付け環境庁企画調整局環境保健部長通知「後天性水俣病の判断条件について」(環保業第262号)(以下「昭和52年判断条件」という。)を改定し、感覚障害のみの一症候であっても、その症候が患者の居住歴や魚介類の摂取状況などの疫学的資料等から総合的に判断して、メチル水銀の影響によるものであることを否定し得ない場合には、水俣病と認定するという基準に改めるべきである。
② 2014年3月7日付けで熊本県、鹿児島県、新潟県及び新潟市の各首長に対して発した「公害健康被害の補償等に関する法律に基づく水俣病の認定における総合的検討について(通知)」(以下「2014年環境省通知」という。)を撤回すべきである。
③ 水俣病の認定補償制度につき、全ての水俣病被害者を対象とし公害健康被害の補償等に関する法律(以下「公健法」という。)上の認定補償制度を中心とした新たな救済システムを構築すべきである。
④ 新たな認定基準の策定や認定方法等について検討を行うため、これまでの水俣病認定業務の在り方について検証する公平な第三者機関として、検証委員会を設置すべきである。
(2) 特措法による救済対象となった者と公健法に基づく認定申請について
「水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法」による救済策の対象となって水俣病被害者手帳の交付を受けた者が、同手帳を返上しても公健法に基づく認定申請はできないとする2013年12月4日付け環境省特殊疾病対策室長名の通知を即時に撤回し、医療手帳又は保健手帳、水俣病被害者手帳の交付を受けた者が、公健法に基づく認定申請ができることを明確化するための処置を取るべきである。
(3) 臨時水俣病認定審査会の在り方について
臨時水俣病認定審査会(以下「臨水審」という。)における水俣病認定審査の実施を撤回すべきである。

 

2 国並びに熊本県、鹿児島県及び新潟県は、以下の措置を講じるべきである。
(1) 医学的判断だけでなく、疫学的な知見を十分考慮することにより、迅速かつ適正に認定作業を行うことができるようにするため、認定審査会の委員の質の充実を図り、増員すべきである。具体的には、医師のみならず、弁護士や魚類学、公衆衛生学、環境社会学等の学識経験者、社会福祉士等の福祉の専門家を委員に加え、前記1(1)①で指摘したように複数症候の組合せがない場合でも、総合的な検討で水俣病と認定ができるような体制に改めるべきである。
また、公健法上の水俣病認定審査会の資料として、主治医の診断書を活用するように改めるべきである。
(2) 不知火海沿岸地域及び阿賀野川流域に居住歴のある全住民の健康調査及び居住歴、魚介類の摂食状況、家族の認定申請の有無等に関する実態調査を実施すべきである。


 

 

(※本文はPDFファイルをご覧ください)