難民認定制度及び難民認定申請者等の地位に関する提言

 

 2014年2月21日
 日本弁護士連合会


 

本提言について

日弁連では、2014年2月21日付けで、「難民認定制度及び難民認定申請者等の地位に関する提言」を取りまとめ、2月28日付けで法務大臣に提出いたしました。

 

本提言の趣旨

1 政策的配慮や外交的配慮に影響されない、出入国管理や外交政策を所管する省庁から独立した第三者機関による難民認定手続を確立すべきである。その際には、出身国情報の調査、国際的水準に沿った供述の信憑性判断や難民該当性の判断に精通した、専門性を有する「難民認定官」を採用し、継続的育成をすべきである。


2 難民該当性の具体的判断基準を公表し、判断の公平性、透明性を保持すべきである。


3 難民認定処分の具体的理由を開示し、また、不認定処分についてはより詳細な理由を開示すべきである。


4 審査を行うに当たって用いた資料を全て開示すべきである。


5 人道配慮に基づく在留特別許可等(いわゆる「補完的保護」)の具体的付与基準を公表し、判断の公平性、透明性を保持すべきである。すなわち、難民の地位に関する条約以外の人権諸条約その他の法令によって本国に送還してはならないこととなる者については必ず在留特別許可を付与すべきことを法令に明記し、それ以外の人道上の配慮を行うべき場合についても基準を定めるべきである。


6 難民調査官によるインタビュー及び異議申立てにおける口頭意見陳述・審尋の全過程を録画・録音すべきであり、また、手続終了後は、これを直ちにかつ自由に閲覧・謄写できるようにすべきである。


7 少なくとも、申請者に不利となる可能性がある重要な証拠については、反論や説明を行う釈明の機会を提供すべきである。


8 弁護士の代理人としての地位を認め、インタビューへの同席を難民認定申請者及び代理人弁護士の権利として認めるべきである。


9 出身国情報に関する資料センターを設置して資料を充実し、これを難民申請者の側も閲覧し、利用することができるようにすべきである。


10 子ども、女性、高齢者、心身の障がいを抱えている者、拷問の被害者など、脆弱な立場にある者への特別な配慮については、法律上明記すべきであり、とりわけ、インタビューにおいては、代理人弁護士のみならず、医師や臨床心理士等の専門家、その他、申請者が信用できる者を同席させることを認めるべきである。


11 通訳人の公的資格制度を導入するなど、通訳の質を担保するための制度的基盤を確立すべきである。


12 処分までの所要期間の短縮が必要であるが、申請回数の制限や審査の簡略化といった方法を安易にとるべきではない。
  また、やむを得ない事由により標準処理期間内に処分を行うことができない場合においては、申請者に対して、その旨を事前に告知するとともに、大凡の見込み期間を告知するよう努めるべきである。


13 難民審査参与員の選考委員会を新たに設置し、選考基準を明確にした上で公表して、参与員の選考を行うべきである。


14 参与員ごとの審査数及び難民認定数を開示すべきである。


15 参与員の多数意見、少数意見の全文を開示すべきである。


16 参与員に対する事件配点の手続を開示し、配点の公平性を担保すべきである。


17 参与員の人数の大幅増員や常勤化など、参与員の事件処理体制を抜本的に見直し、異議事件の滞留状態を速やかに解消すべきである。


18 参与員が法務大臣に意見を提出してから2か月以内を目途に処分を決定し、処分の決定後は速やかに申立人に処分内容を告知すべきである。


19 参与員に対し、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)職員や研究者による継続的な研修を実施するとともに、過去の参与員による意見書例及び裁判例の相互研究などの機会を充実させるべきである。


20 法務大臣は、参与員の認定意見を尊重するという運用を変更するべきではない。


21 在留資格がない難民申請者(仮滞在・仮放免許可者等)についても、申請後少なくとも6か月間が経過した場合には就労を認めるよう、施行規則の改正及び 運用の変更をすべきである。


22 難民申請者の生活援助につき保護費制度を充実させるとともに、現行の法外事業から、法律に基づく事業として継続的かつ安定的に制度が運用されるよう求める。


23 難民認定申請手続、異議申立手続及び難民不認定処分を争う訴訟手続について、申請者の在留資格の有無にかかわらず、国による法律扶助の対象とするよう求める。


24 仮滞在許可の除外事由(上陸後6か月を超えた難民認定申請、逃亡のおそれ等)の解釈や運用を見直し、原則として仮滞在を許可するとする運用を徹底するべきである。


25 2012年から実施している収容代替措置(ATD)を積極的に活用し、住居のない者を含め、申請者の収容をできる限り回避すべきである。


26 送還を拒否する者の提訴(難民不認定処分への取消訴訟を含む。)期間中及び訴訟係属中の送還執行をしないことを明確にするべきである。


27 入国審査官等の出入国港勤務の公務員に対し、庇護を希望する意思を何らかの形で表明した者への難民認定制度の告知義務等を法令上課すべきである。また、一時庇護上陸許可申請の許否の運用及び判断基準を見直して許可を広く認めるとともに、上陸時の庇護申請者に対しては、一時庇護上陸許可申請だけでなく難民申請を行うことも促すべきである。


28 出入国港における難民申請者の収容につき、その収容の必要性・相当性に関する解釈及び運用を見直すとともに、収容代替措置の活用などによりできる限り 回避すべきである。


29 難民認定者に対しては、教育(高等教育を含む。)、職業訓練及び衣食住の提供など、少なくとも将来の日本社会における生活と社会的活躍の基盤の構築に十分な期間及び内容のサービスの提供を、制度的に保障すべきである。


30 難民認定者の家族統合については、国際人権(自由権)規約(23条)及び子どもの権利条約(9条、10条)等の趣旨にも鑑みて、これを十分に保障しなければならず、家族による日本査証の取得及び日本の在留資格取得・維持に特別な配慮を行うべきである。


31 難民認定者の日本国籍取得(帰化)に当たっては、できる限り容易かつ迅速に、また手数料及び費用をできる限り軽減するなどの難民条約34条の規定内容 が実質的に確保されるべく、申請窓口(各地の法務局)において上記条約の遵守に遺漏がないように周知徹底が図られるべきである。また、中長期的には、国籍法の関連規定の整備が行われるべきである。


32 難民不認定とはされたがいわゆる人道配慮により在留資格の取得が認められる者(「人道配慮者」)に対しては、「特定活動」の在留資格が付与されている事案が多数を占めるところ、同付与以前も含む通算の日本在留期間が一定の年数に達した場合には、「定住者」への在留資格変更が原則として認められる取扱いとすべきである。


33 人道配慮者に対しても、その準難民的地位に鑑みて、各種社会保障制度の適用を含め、可及的に難民認定者同様の地位や権利の保障が及ぼされるべきである。

 


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