中国人農業技能実習生に関する人権救済申立事件(勧告)

 

川上村農林業振興事業協同組合理事長、厚生労働大臣、法務大臣宛て勧告

2014年12月1日

 

レタス栽培等に従事していた中国人農業技能実習生に対し、中国の送出し機関が行き過ぎた管理をしていたことを、日本の監理団体である事業協同組合が適切な監理をせずに看過していたことが人権侵害にあたるとし、事業協同組合、法務省及び厚生労働省に対して勧告した事例。

 

中国人農業技能実習生は、技能実習制度の下で来日し、レタス栽培に従事していたが、長時間かつ休日の少ない厳しい労働環境と、狭く不衛生な寄宿舎が多いといった厳しい生活環境に置かれ、過酷な条件下にあった。また、中国の送出し機関は、私生活や交友関係に及ぶ規則とその違反に対する制裁金を定め、これら規則の遵守を監督する監督者を置き、更に保証金徴収や保証人との間の違約金契約による威嚇の下で労働を強いて、預貯金の自由な処分の可能性を奪うなどの行為をして、技能実習生が逃亡や権利主張を事実上できないようにしていた。


日本の監理団体である事業協同組合は、適正な技能実習の実施を監理するべき立場にあるところ、中国の送出し機関がこれらの行為をしていることを知りながら、看過し、あるいはこれを利用して技能実習生の管理を行っていた。その結果、技能実習生は、憲法22条1項が保障する移転の自由、憲法13条が保障する自己決定権を奪われ、同条及び憲法25条が保障する最低限の健康で文化的な生活を送ることのできる権利を侵害されていた。


技能実習生が受けたこのような人権侵害について、申立てによらず職権で調査を開始し、 事業協同組合、法務省及び厚生労働省に対して、以下のとおり勧告した。


(1)事業協同組合に対する勧告
① 私生活の自由を制約する規則を設ける送出し機関からは技能実習生を受け入れないこと。
② 技能実習生を監視する目的で送出し機関から派遣された「班長」らを技能実習生の在留資格で受け入れないこと。
③ 実習実施機関が技能実習生へ直接賃金を現金で支払う等するよう指導をすること。
④ 送出し機関が、保証金徴収や違約金契約を行っている送出し機関からは技能実習生を受け入れないこと。
⑤ 過去に事業協同組合の不当な管理により被害を被った技能実習生等に対して被害の回復に努めること。
(2)厚生労働省に対する勧告
① 直ちに、事業協同組合の人権侵害行為について被害実態の調査を行い、労働諸法令に基づく行政指導等を行って、再発防止を図ること。
② 本件のような人権侵害行為を引き起こす構造的問題点を有する技能実習制度を直ちに廃止すること。
(3)法務省に対する勧告
① 直ちに、事業協同組合の人権侵害行為について被害実態の調査を行い、指針に基づく不正行為認定を行って技能実習生の受入れを停止し、改善指導等により再発防止を図ること。
② 本件のような人権侵害行為を引き起こす構造的問題点を有する技能実習制度を直ちに廃止すること。

 

勧告書に対する回答

法務大臣

<法務省入国管理局名回答・2015年1月8日>

回答全文はicon_pdf.gifこちら(PDFファイル;70KB)

 

執行後照会に対する回答

法務大臣

<法務省入国管理局名回答・2015年12月15日>

回答全文はicon_pdf.gifこちら (PDFファイル;84KB)