東日本大震災被災者及び福島第一原子力発電所事故被害者に対する支援活動を継続し、確実な安全性が確保されない限り停止中の原子力発電所の再稼働を許さない宣言

 

2011年3月11日の東日本大震災から既に1年以上が経過した。東北地方太平洋沖地震とそれに伴って発生した津波によって、死者は1万5、800人、行方不明者は3、000人、震災関連死として認定された者は1、600人を超え、建物の全半壊は合計38万戸以上、ピーク時の避難者は45万人に達する大災害となった。地震・津波に引き続いて発生した福島第一原子力発電所事故は、原子炉3機のメルトダウン(炉心融解)・メルトスルー(炉心貫通)と大量の放射性物質の放出という、未曽有の大事故となり、放射性物質の放出は継続中で、環境が汚染され続けている。現在でも約10万人の住民が居住地域への立入りを禁止されて避難生活を強いられている。福島県外に避難している住民も6万人を超えるとされる。被災地域の状況は復興には程遠いものであり、東日本大震災被災者及び福島第一原子力発電所事故被害者の多数が現在もなお過酷な状況に置かれていることは極めて重大な人権侵害である。



当連合会は、被災地の復旧・復興の主体が被災者であり、復旧・復興が憲法の保障する基本的人権を回復するための「人間の復興」であることを銘記し、この理念に基づいて、法律専門家団体としての職能を活かし、被災者に対する法的支援活動、復興まちづくり支援などを通じて被災者の救済と被災地の復旧・復興支援に取り組むことを改めて宣言するとともに、以下の取組を行っていく決意である。



1 全国各地の弁護士会、弁護士会連合会及び弁護士が、被災地弁護士会、日本司法支援センター、地方自治体、ボランティア団体などと連携して実施してきた被災地での無料法律相談、法的支援のための拠点づくり、仮設住宅ヒアリング、各種ADR(裁判外紛争解決機関)及び広域避難者支援活動を今後も継続して実施するために必要な支援を行う。



2 地域コミュニティを再生し、被災者が再出発するには、いわゆる二重ローンのような不合理な債務からの解放が必要不可欠である。現在、個人については個人債務者の私的整理に関するガイドラインに基づく債務免除の制度が実現されているが、当連合会は、被災者の生活再建のために個人債務者の私的整理ガイドラインの運用改善に努める。



3 被災地における雇用の確保、地域経済の復活、コミュニティの維持と人口流出の防止のためには、被災事業者に対する支援が極めて重要である。事業者については産業復興機構に加え、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構による債権買取りの制度が実現されているが、当連合会は、産業復興機構、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構、産業復興相談センター、弁護士会、各種専門家団体、関係する国や地方自治体と協力して、被災事業者の事業の再生と地域コミュニティの再建を支援する活動に一段と邁進する。



また、震災前から日弁連中小企業法律支援センターと各地の弁護士会が連携して活動し、培ってきた中小企業庁、経済産業局、中小企業基盤整備機構、各地の自治体担当部署等の中小企業支援機関、商工会議所や商工会等の中小企業支援団体、日本政策金融公庫等の金融機関との連携を、今まさに活用して、被災事業者が必要とする日常的な相談対応、各種支援制度の紹介及び専門家派遣等を迅速かつ円滑に実施できる態勢を更に充実させる。



4 今後、多くの被災地で具体的に活動が始まるいわゆる「復興まちづくり」について、当連合会は、前述した「人間の復興」の理念を実現するために多数の弁護士に積極的に関与するよう呼びかけ、そのために必要な研修等の事業を積極的に行う。また、復興まちづくりを実施する被災地自治体が「人間の復興」の理念を維持するよう求めるとともに、被災地自治体の人的支援のため、任期付公務員としての弁護士の採用など、被災地自治体での弁護士の活用を幅広く働きかける。



5 被災後の各種問題を解決するために、各種立法提言、法律改正の提言、政策提言等を行い、その実現を果たしてきたが、今後も更に、復興の定義、復興の主体を明確に定めた「災害復興基本法」の新設、既存の災害救助法や被災者生活再建支援法の抜本的見直し、特別立法等の提案など積極的な政策、立法提言を行い、その実現のために全力を挙げて取り組む。



6 福島第一原子力発電所事故は、東京電力株式会社が必要な地震・津波対策を怠ったために発生した災害であり、同社が事故の被害者に対して損害賠償を行うべきことは当然であり、当連合会は完全賠償の実現に引き続き取り組む。また、原子力損害賠償紛争解決センターについては、今後増加が予想される受付事件の迅速かつ十分な解決のため、組織態勢の充実・強化を求めるとともに、和解案に裁定機能を持たせるための新法の制定を要請していく。



7 福島第一原子力発電所事故は、国の原子力政策の下で発生したことから、被害者に対する人道的援助の第一次的な責任は国にある。当連合会は、被害者の居住地選択等に関する自己決定権を尊重し、被害者への生活給付金の支給等の生活再建支援制度や福島県外在住の避難者等を含む被害者に対する健康診断の実施と医療の保障など、より実情に即した被害者援護立法の制定に全力で取り組む。



8 福島第一原子力発電所事故のような事故の再発やこれを更に上回る規模の新たな原子力発電所事故が起きれば、日本社会は崩壊しかねない。このような深刻な災害を二度と発生させてはならない。そのため、当連合会は、①原子力発電所の新増設(計画中・建設中のものを全て含む。)を止め、再処理工場、高速増殖炉などの核燃料サイクル施設は直ちに廃止する、②既設の原子力発電所のうち、(ⅰ)福島第一及び第二原子力発電所、(ⅱ)敷地付近で大地震が発生することが予見されるもの、(ⅲ)運転開始後30年を経過したものは、直ちに廃止する、③前記以外の原子力発電所は、10年以内のできるだけ早い時期に全て廃止することとし、廃止するまでの間は安全基準について国民的議論を尽くし、その安全基準に適合しない限り運転(停止中の原子力発電所の再起動を含む。)は認められない、との意見を既に公表している(2011年7月15日付け「原子力発電と核燃料サイクルからの撤退を求める意見書」)。



しかるに、近時、福島第一原子力発電所事故の原因がいまだ明らかになっておらず、事故原因を踏まえた安全対策も確立できていないにもかかわらず、政府は対症療法的な津波対策・電源対策を講じただけで、福島第一原子力発電所事故の教訓を忘れ、電力不足の危機感を煽り、停止中の原子力発電所の再稼働を目指している。



深刻な原子力発電所事故被害の再発を未然に防止するため、現在停止中の原子力発電所については、福島第一原子力発電所事故の原因を解明し、その事故原因を踏まえた安全基準について、国民的議論を尽くし、それによる適正な審査によって確実な安全性が確保されない限り、再稼働しないことを求める。



以上のとおり宣言する。

2012年(平成24年)5月25日

日本弁護士連合会


 

(提案理由)

第1 東日本大震災・福島第一原子力発電所事故の被害の実相

当連合会が震災直後から力を入れたことは、まず、会長を始めとする役員、関連委員会の委員が現地に足を運び、災害の実情を把握し、また、多数の会員を派遣して法律相談を実施し、被災者の声を聞くことであった。



津波被害を受けた地域では、住居や生産設備が津波によって根こそぎ失われている中で既存債務が残り、生活と事業を再建する上で新たな借入れをする際に大きな障害となっている事実が浮き彫りとなってきた。また、どこに町を再建するかという根本的な方針について住民の合意を得るという点でも、困難に直面している。



福島第一原子力発電所事故の被害地域では多くの市民が長期化する避難生活の中で、新たな生活のスタートも切れないでいること、避難しないで暮らしている市民の多くも健康に不安を抱えていることが明らかになっている。このような状況認識に立って、当連合会の災害支援の取組を振り返り、今後の課題を整理したい。

 

第2 東日本大震災に対する弁護士会による支援の取組と今後の課題

1 法律相談と情報提供

東日本大震災・原子力発電所事故では、当連合会は弁護士会、弁護士会連合会及び日本司法支援センターと協力して、電話あるいは被災地域の避難所、地方自治体等に赴いての無料法律相談を実施した。



法律相談に当たり、当連合会は、災害に関する法律問題のQ&Aの作成や、弁護士に対する災害法律相談の研修等を実施した。また、情報提供として、岩手弁護士会が被災者のニーズが高い情報をわかりやすくコンパクトに記載した「岩手弁護士会ニュース」を県下の各自治体や避難所に配布したのを始め、他の弁護士会も多数の情報誌を作成・配布した。また、避難所に法律相談のブースを設けて弁護士が待機しているだけでは、被災者が相談に訪れにくい面があることから、紙芝居を避難所等で上演して被災者生活再建支援法の仕組み等を説明して質問を受けるなどの工夫をし、相談につなげるようにした。

 

2 被災地における法的支援のための拠点づくり

災害の深刻さから支援活動が長期化することが予測され、被災地域の多くが弁護士過疎地域であったことから、当連合会は、法的支援のため拠点を作ることが重要であると考え、被災地弁護士会と支援活動に取り組む関係弁護士会と協議して、ひまわり基金法律事務所と日本司法支援センター被災地出張所の設置に取り組んだ。ひまわり基金法律事務所については、震災後、岩手県遠野市と福島県相馬市の2事務所で、新たに弁護士を雇用した弁護士に補助金を支給するなどして、その活動を強化した。また、2012年3月、岩手県陸前高田市に、いわて三陸ひまわり基金法律事務所を開設した。日本司法支援センターに関しては、日本司法支援センター被災地出張所が宮城県南三陸町(2011年10月)、宮城県山元町(2011年12月)、宮城県東松島市(2012年2月)、岩手県大槌町(2012年3月)に開設された。さらに、福島県南相馬市に福島県弁護士会が開設した原子力発電所事故被害者救済支援センター南相馬出張所を当連合会としても支援するとともに(2012年4月から)、原子力発電所事故損害賠償請求に重点を置いた公設事務所を同市内に開設するべく、現在準備中である。



また、現地で災害対策に取り組む弁護士を新たに雇用した法律事務所に一定期間経済的援助等を行う、「震災復興のための弁護士雇用等に関する補助金支給制度」を新たに創設した。

 

3 弁護士会ADRと原子力損害賠償紛争解決センター等の設置

阪神・淡路大震災の時は、仲裁センターという弁護士会による民間のADR(裁判外紛争解決機関)は設置されたが、公的機関のADRを設置することはできなかった。東日本大震災・原子力発電所事故では、仙台弁護士会の震災ADRのみならず、当連合会が国に働きかけた結果、二重ローンや原子力発電所事故の損害賠償につき、公的なADRを設置させることができた。



仙台弁護士会の震災ADRは、弁護士が仲裁人となり、機動性・迅速性・専門性をもって震災関連の紛争の解決を図るというものであり、震災の1か月余り後から開始した。その特徴として、電話によることも可能であり、申立てが容易なことがある。また、申立てを受け付けた弁護士により申立書が作成され、その費用も無料であることから、既に400件以上の申立てがなされている。また、迅速な解決が可能になっており、これまで150件以上が解決して、約38%の解決率となっている。今回の震災に関するADRでは最も成功している例であるといえる。



原子力発電所の事故に伴う損害賠償については、当連合会の働きかけもあって、国の原子力損害賠償紛争審査会の下に、ADRである原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)が設置され、東京都と福島県(郡山市)に事務所が開設された。総括委員会の下にパネルが設置され、その仲介委員によって、東京電力株式会社と被害者との協議が行われ、仲介委員の和解案が提示されることになった。このセンターの現状と課題は原子力損害賠償支援の活動の中で詳しく述べることとする。

 

4 個人・法人の二重ローン対策

個人の債務に関しては、個人債務者の私的整理に関するガイドラインが策定された。そして、この個人版私的整理ガイドライン運営委員会に、専門家として弁護士500人以上が登録し、同ガイドラインに基づいて、被災者の弁済計画の作成や金融機関との交渉について支援し、既存債務の減免を実現することとなった。



一方、企業の債務に関しては、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法が制定され、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構は本年3月5日から業務を開始し、これまで産業復興機構が行っていた債権買取りについて、同支援機構による買取りも可能となった。いわゆる「優良企業」以外でも広く支援を受けることが期待されている。



当連合会は、被災事業者の再生と地域のコミュニティの再建を推進するため、産業復興機構、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構、産業復興相談センター、弁護士会、各種専門家団体、関係する政府機関や地方自治体と協力して、支援活動に一段と邁進する。



また、日弁連中小企業法律支援センターは、これまで各地の弁護士会とともに、中小企業庁、経済産業局、中小企業基盤整備機構、各地の地方自治体担当部署等の中小企業支援機関、商工会議所や商工会等の中小企業支援団体、日本政策金融公庫等の金融機関との連携関係を構築して中小企業の法的支援を拡充してきたが、今まさにこの連携関係を活用して、被災事業者が必要とする日常的な相談対応、各種支援制度の紹介及び専門家派遣等を迅速かつ円滑に実施できる態勢を更に充実させる。

 

5 広域避難者の支援

東日本大震災における広域避難者の支援は、当連合会、弁護士会、弁護士会連合会が取り組んだ非常に特徴的な活動であった。阪神・淡路大震災でも、他の地方自治体が公営住宅等に被災者を受け入れて、広域避難者は相当数発生していたが、当時、弁護士会はそのような問題を十分把握しておらず、広域な支援活動を行うことができなかった。



東日本大震災では、現在、国が把握するだけで約7万人の県外への広域避難者が発生しており、その86%が福島県からの避難者である。広域避難者には、地元の自治体からの情報が途切れ、その公的サービスが途絶する。そして、地元のコミュニティからも離脱してしまい、就労先を喪失して、孤立化する。子どもにはいじめ等による登校拒否が生じ得る。また、母子による避難の場合には、地元に残って就労する父親とのコミュニケーションギャップで家庭が崩壊したり、家族と離れた高齢者が孤独死するといった、悲惨な事態も指摘されている。



こうした事態を受け、各弁護士会や弁護士会連合会は広域避難者に対する支援に取り組んでおり、山形県弁護士会、新潟県弁護士会、東京三弁護士会、埼玉弁護士会、大阪弁護士会、愛知県弁護士会、広島弁護士会等、各地の弁護士会及び弁護士会連合会が支援を行ってきている。



ただ、各弁護士会や弁護士会連合会が、地方自治体等から避難者情報を取得しようとしても、第一次避難所(公的施設の場所)での情報は開示されるものの、第二次避難所(ホテル、旅館等の私的な施設)については避難者情報が開示されないという問題があった。そのため、当連合会では、2011年6月17日付けで「災害時要援護者及び県外避難者の情報共有に関する意見書」を取りまとめ、内閣総理大臣、総務大臣、厚生労働大臣、消費者庁長官、内閣府特命担当大臣宛てに提出し、改善を求めた。



また、各弁護士会では、避難所における法律相談や被災地自治体の復興計画等の情報提供を行っている。被災者が仮設住宅に移った現在でも、情報誌の配布や個別訪問を実施して、避難者に向けて各種情報提供や相談に応じるよう努めている。そして、前記活動については、福祉関係の専門家、NPO、地方自治体、社会福祉協議会等との積極的な連携を行い、合同の相談、情報誌の作成配布、コミュニティ再生の支援・県人会創設の支援、イベントの実施、支援体制のネットワーク化等を行っている。



これらの活動は被災者支援の重要な取組であり、今後も継続して実施していく必要がある。


第3  求められる復興まちづくり支援の活動

今後の弁護士、弁護士会に求められる活動としては、被災地自治体において今後予定されるいわゆる「復興まちづくり」に関する支援が挙げられる。弁護士は、コンサルタント等の「まちづくりの専門家」そのものではないが、建築士、司法書士、不動産鑑定士、土地家屋調査士及び税理士等の専門家と連携して、①防災集団移転事業、土地区画整理事業等の法律制度や復興計画について住民へ説明すること、②復興事業に伴う土地買上げ、借地、借家、担保権、境界、相続等の法律問題について説明・調整すること、③国や地方自治体から情報を収集してこれを住民に伝えること、④住民の意見交換における議論の整理や合意形成のサポートをすること、⑤住民の意向を集約して地方自治体に伝えること、⑥法的な見解について専門家として認証を与えること等の役割を分担することによって、復興の主体である被災者の意思を復興計画やその実施に反映して、被災者や次世代が暮らしやすいまちづくりを実現し、地域の生活、経済、社会及び文化を回復・活性化することができる。復興まちづくり支援は、こうした暮らしや地域との関係で、被災者支援の中核となる活動である。



阪神・淡路大震災では、弁護士及び前記専門家の6職種が連携して、マンション再建又は復旧、倒壊市場の共同建替え、組合施行の区画整理、境界確定等の10の復興まちづくりの支援活動を行った。東日本大震災では、被災地の弁護士及び弁護士会が、①仮設住宅の訪問と住民のニーズの調査、②被災地自治体からの情報収集や意見交換、③被災地自治体の復興委員会への参加、④被災地自治体に対する提言等の復興支援活動を行っている。



また、当連合会は、①国の省庁からの情報収集、②国に対する立法提言のほか、③被災地弁護士会向けの専門家による「復興連続講座」(まちづくり、漁業、農林業、国土交通省の施策、復興基金、土地区画整理等、全7回)の開催、④復興に関する「東日本大震災復興支援Q&A」の策定等による、被災地弁護士会の後方支援を行っている。



さらに、当連合会と被災地域の弁護士が、他の専門家と連携して、宮城県気仙沼市、石巻市のまちづくり支援を行っており、岩手県大船渡市末崎町碁石地区では、災害復興まちづくり支援機構(首都圏の災害復興支援のための士業の連携団体)と当連合会災害復興支援委員会委員が連携して復興まちづくり協議会に参加し、被災者の合意形成支援、更には被災者・非被災者全体のまちづくりに関する合意形成支援活動を行っている。



被災後1年以上が経過し、報道も十分になされなくなり、社会の関心も失われることが想定される。復興まちづくり支援は、そのような中で行われる地道な活動である。しかし、被災者にとって復興まちづくりは必要不可欠なものである。基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士は、弁護士活動の原点である復興まちづくり支援を含む被災者支援について、末永く関与し、その活動を強化しなければならない。

 

第4  これまでの立法提言及び「災害復興基本法」の提言・実現に向けて

1 災害後の立法提言活動の成果

当連合会は、被災後の各種問題を解決するために、例えば、災害弔慰金の支給等に関する法律の改正、民法の相続放棄等の熟慮期間の伸長に関する法律改正、個人債務者の私的整理ガイドラインの創設、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法の制定、原子力損害賠償紛争審査会指針に対する提言、原子力損害賠償紛争解決センターの設置等、各種立法提言、法律改正の提言、政策提言等を行い、その実現に努力してきた。当連合会は、今後も必要とされる提言を行い、その実現に向けた活動を行うものである。

 

2 「災害復興基本法」の提言

今後の立法提言として、既存の災害救助法、被災者生活再建支援法の抜本的見直しや、原子力発電所事故被害者に対する援護法等の特別立法等とともに、今後の災害復興活動の基本原則を定めた「災害復興基本法」の新設を求める。



この法律の趣旨は、幾多の自然災害に遭い、多大な犠牲を代償に数々の教訓を得てきた我々国民が、防災・減災に力の限りを尽くしても、なお現実の災害の発生と被害は避け難いことを踏まえ、災害後の復興への取組の基本原則を明らかにするものである。



すなわち、現代社会が災害の前では極めて脆弱な側面を持つことを強く認識し、コミュニティと福祉、情報の充実を図りながら、被災地に生きる人々と地域が再び息づき、日本国憲法が保障する基本的人権が尊重される協働の社会を新たにかたち創るため、復興の理念を明らかにするとともに、必要な諸制度を整備するため、国は以下の事項を内容とする法律をあらかじめ整備しておくべきである。



(1) 復興の目的

復興の目的は、自然災害によって失ったものを再生するにとどまらず、人間の尊厳と生存基盤を確保し、被災地の社会機能を再生、活性化させるところにある。



(2) 復興の対象

復興の対象は、公共の構造物等に限定されるものではなく、被災した人間はもとより、生活、文化、社会経済システム等、被災地域で喪失・損傷した有形無形の全てのものに及ぶ。



(3) 復興の主体

復興の主体は、被災者であり、被災者の自立とその基本的人権を保障するため、国及び地方自治体はこれを支援し、必要な施策を行う責務がある。



(4) 被災者の自己決定権

被災者自らの尊厳と生活の再生によって自律的人格の回復を図るところに復興の基本があり、被災者は、復興の在り方を自ら決定する権利を有する。



(5) 地方自治の尊重

被災地自治体は、地方自治の本旨に従い、復興の公的施策について主たる責任を負い、その責務を果たすために必要な諸施策を市民と協働して策定するものとし、国は被災地自治体の自治を尊重し、これを支援・補完する責務を負う。


(6) ボランティア等の自律性

復興におけるボランティア及び民間団体による被災者支援活動は尊重されなければならない。行政は、ボランティア等の自律性を損なうことなくその活動に対する支援に努めなければならない。



(7) コミュニティの重要性

復興において、市民及び行政は、被災地における地域コミュニティの価値を再確認し、これを回復・再生・活性化するよう努めなければならない。



(8) 住まいの多様性の確保

被災者には、生活と自立の基盤である住まいを自律的に選択する権利があり、これを保障するため、住まいの多様性が確保されなければならない。



(9) 医療、福祉等の充実

医療及び福祉に関する施策は、その継続性を確保しつつ、災害時の施策制定及び適用等には被災状況に応じた特段の配慮をしなければならない。



(10) 経済産業活動の継続性と労働の確保

医療及び福祉に関する施策は、その継続性を確保しつつ、災害時の施策制定及び適用等には被災状況に応じた特段の配慮をしなければならない。



(11) 復興の手続

復興には、被災地の民意の反映と、少数者への配慮が必要であり、復興の手続は、この調和を損なうことなく、簡素で透明性のあるものでなければならない。



(12) 復興の情報

復興には、被災者及び被災地の自律的な意思決定の基礎となる情報が迅速かつ適切に提供されなければならない。



(13) 地域性等への配慮

復興の在り方を策定するに当たっては、被災地の地理的条件、地域性、文化、習俗等の尊重を基本としつつ、社会状況等にも配慮しなければならない。



(14) 施策の一体性、連続性、多様性

復興は、我が国の防災施策、減災施策、災害直後の応急措置、復旧措置と一体となって図られるべきであり、平時の社会・経済の再生・活性化の施策との連続性を考慮しなければならない。他方、復興の具体的施策は目的・対象に応じて、速やかに行うべきものと段階的に行うべきものを混同することなく、多様性が確保されなければならない。

 

(15) 環境の整備

復興に当たっては、被災者と被災地の再生に寄与し、防災・減災に効果的な社会環境の整備に努めなければならない。



(16) 復興の財源

復興に必要な費用は、復興の目的に資するものか否かを基軸とし、国及び地方自治体は、常に必要な財源の確保に努めなければならない。



(17) 復興理念の共有と継承

復興は、被災者と被災地に限定された課題ではなく、我が国の全ての市民と地域が共有すべき問題であることを強く認識し、国は復興の指標を充実させ、得られた教訓を我が国の復興文化として根付かせ、これらを教育に反映し、常に広く復興への思いを深め、意識を高めていかなければならない。



3 結論

当連合会は、前記各種立法提言を実現するため粘り強く努力し、同時に、その他積極的な政策及び立法提言を行うなど、今後も被災者支援に全力を挙げて取り組む。


 

第5 原子力発電所事故被害地域の復興と被害者の救済のための取組と今後の課題

1 原発事故被害の深刻さと被害地域の復興、被害者救済の困難性

以上に述べた一般の災害対策と重なり合う部分も多いが、原子力発電所事故の被害には他の災害に見られない、放射性物質という人間の五感では認識できない危険に対応しなければならず、低線量被ばくのもたらす健康への影響について確立した科学的知見がないという特質がある。そして、福島県を中心とする広い国土が、一般市民の被ばく限度(年間1ミリシーベルト)を大きく超えた被ばくが避けられないレベルの放射性物質によって汚染された。そのため、政府によって長期避難を強いられ、いつ故郷に戻れるか分からない者だけでなく、その周辺等に居住する者も含めて、被害者は、まずどこに本拠を定めて何を生業として生活の再建を図るかという根本的な選択を迫られており、地域の中には深刻な亀裂が生じている。被害者の救済は、このことを深く認識しつつ進められなければならない。

 

2 原子力損害賠償紛争審査会指針に関する活動

福島第一原子力発電所事故は、東京電力株式会社が必要な地震・津波対策を怠ったために発生した災害であり、事故の被害者に対して同社が完全な損害賠償を速やかに実施すべきことは当然である。


当連合会は、原子力損害賠償紛争審査会の指針策定に関し、繰り返し意見を述べてきた。その成果の一つとして、中間指針には、「中間指針で対象とされなかったものが直ちに賠償の対象とならないというものではなく、個別具体的な事情に応じて相当因果関係のある損害と認められることがあり得る」ことを盛り込ませることができた。被害者の生活の原状回復を基本として、どのような損害賠償を行うべきかについて、意見を述べ、自主避難者と避難しなかった者に対する損害賠償について、不十分ではあるが一定の賠償を認める内容の指針が出されるに至った。支援の範囲やその水準、終期などの諸問題についても、被害の実情に即したきめの細かい意見を公表してきた。

 

3 東京電力株式会社の損害賠償請求手続に関する意見

当連合会は、東京電力株式会社が公表した損害賠償基準、損害賠償手続が、原子力損害賠償紛争審査会の指針からも逸脱し、また、不合理な手続を被害者に強いていることを指摘し、福島県の2地方紙に東京電力株式会社の損害賠償請求書類に関し、弁護士への相談を呼びかける全面広告を掲載し(2011年9月25日)、完全ではないが、手続の一定の修正を図ることができた。また、少なくとも原子力損害賠償紛争解決センターの示した総括基準などの解決基準を直接請求手続においても尊重することを求めている。

 

4 原子力損害賠償紛争解決センターに関する取組

原子力発電所事故の損害賠償のための紛争解決センターが2011年9月から東京都と福島県(郡山市)で活動を開始した。この制度は災害発生の直後から当連合会が政府に提言し、実現に至ったものである。同センターで働く約200人の仲介委員、40人を超える調査官は全員が弁護士である。



2012年4月末の段階で、申立件数は2、000件に達している。原子力損害賠償紛争解決センターについては、近時、受付事件数が大幅に増加しており、現在の態勢のままでは近い将来、処理が追いつかない見通しとなっている。また、同センターの位置付け等の制約から、その判断に強制力がないといった問題点も残っている。今後、当連合会としては、同センターの人的・物的両面にわたる更なる拡充を強く求めていくとともに、和解案に裁定機能を持たせるための新たな立法等も要求していく。



以上のとおり、当連合会は被害者の完全賠償実現のため、全国の弁護士会・被害救済弁護団と連携して引き続き全力で取り組む必要がある。

 

5 福島第一原子力発電所事故被害者に対する援護立法等の制定

完全賠償のために全力で取り組むことは当然のことであるが、損害賠償に立ち上がることすら困難な多くの被害者が存在することも明らかになってきており、損害賠償だけによる救済には限界がある。福島第一原子力発電所事故が、国の原子力政策の下で発生したことから、国の指示あるいは自主的な判断によって避難した者と危険を感じながら居住地に残っている者の双方を含む福島第一原子力発電所事故被害者に対する人道的援助の第一次的な責任は国にある。国は福島第一原子力発電所事故によって著しく人権が損なわれた被害者の尊厳を回復し、その生活再建を図るために、憲法に定めた幸福追求権(第13条)や生存権(第25条)、財産権(第29条)を始めとする人権保障規定の趣旨にのっとって最大限の努力を尽くさなければならない。当連合会は2012年2月16日に公表した「福島の復興再生と福島原発事故被害者の援護のための特別立法制定に関する意見書」において、国に対して早急に被害者への生活再建支援、健康確保、人権擁護のための施策を行うことを求めている。当連合会は、被害者に対して正確な情報を提供し、これに基づいて下された、どこに居住するかを含めた被害者の自己決定権を尊重し、その状況に応じた支援の仕組みを構築することによって、初めて地域に生じている亀裂が克服できるものと信じる。より具体的には、被害者への生活給付金の支給等の生活再建支援制度や福島県外在住の避難者等を含む被害者に対する健康診断の実施と医療の保障など、より実情に即した包括的な被害者援護立法の制定に全力で取り組むものとする。



また、福島第一原子力発電所事故の事故収束の過程では、多くの作業員が高線量の被ばく労働を強いられている。全ての作業員の被ばく状況の正確な記録と確実な健康診断、健康被害の発症など労働災害について確実に補償がなされるよう求める。また、政府に対し、放射性物質を含むがれきについての適切な処理(2011年7月29日付け「放射能による環境汚染と放射性廃棄物の対策についての意見書」及び2011年9月20日付け「放射性汚染物質対処特措法施行に当たっての会長声明」)、被災地の確実な除染と被ばく低減(2011年10月19日付け「放射性物質汚染対処特措法に基づく基本方針骨子案についての意見書」)、差別防止、食品の安全性確保(2011年10月19日付け「消費者の食品に対する安全・安心の確保のために放射性物質汚染食品による内部被ばくを防止する施策の実施を求める意見書」)等を求めていく。


第6  確実な安全性が確保されない限り、停止中の原子力発電所事故の再稼働を許さない

1 福島第一原子力発電所事故の発生

2011年3月11日の東日本大震災によって引き起こされた福島第一原子力発電所事故は、未曽有の大災害となった。この事故では、地震・津波の発生を機に福島第一原子力発電所の全交流電源が長時間喪失し、原子炉の冷却が不可能となり、これによって1号機、2号機及び3号機はいずれもメルトダウン(炉心溶融)を引き起こし、更に落下した核燃料が圧力容器の底を貫通して格納容器に落下して堆積するメルトスルー(炉心貫通)まで引き起こしている。さらに、1号機、3号機及び4号機の原子炉建屋内において水素爆発が生じ、放射性物質が大量に外部に放出される事態となった。



放出された放射性物質は77万テラベクレルと推定され、セシウム137換算で広島原爆の約168発分の放射性物質が放出されたこととなり、その結果、現在でも約10万人の住民が居住地域の立入りを禁止されて避難生活を強いられるという深刻な被害を受けている。福島県外に避難している住民も6万人を超えるとされる。今回の福島第一原子力発電所事故は、国民の多くが信じてきた原子力安全神話が崩壊していることと、原子力発電所事故による被害の広範さ、深刻さを、これ以上ないほど明確に示した。我が国は地震活動期に入っており、今後も大きな地震の発生が続く可能性がある。福島第一原子力発電所事故のような事故の再発やこれを更に上回る規模の新たな原子力発電所事故が起きれば、日本社会は崩壊しかねない。被災者は、今回のような原子力発電所事故を再び起こさないことを心から願っている。

 

2 「原子力発電と核燃料サイクルからの撤退を求める意見書」

当連合会は、1976年10月9日及び1983年10月29日の人権擁護大会決議において、稼動中の原子力施設の運転及び原子力施設建設の中止を含む根本的な再検討等を求め、2000年10月6日の人権擁護大会では「エネルギー政策の転換を求める決議-原子力偏重から脱原発へ-」を採択し、原子力発電所の新増設の停止と既存の原子力発電所の段階的な廃止を求めてきた。



そして、福島第一原子力発電所事故後、このような事故を二度と起こさせないため、当連合会は、2011年7月15日に「原子力発電と核燃料サイクルからの撤退を求める意見書」を採択し、以下のとおり脱原発に向けての道筋を提言した。


(1) 原子力発電所の新増設(計画中・建設中のものを全て含む。)を止め、再処理工場、高速増殖炉などの核燃料サイクル施設は直ちに廃止する。



(2) 既設の原子力発電所のうち、①福島第一及び第二原子力発電所、②敷地付近で大地震が発生することが予見されるもの、③原子力発電所設計当初に想定されていた運転期間に相当する運転開始後30年を経過したものは、直ちに廃止する。



(3) 前記以外の原子力発電所は、10年以内のできるだけ早い時期に全て廃止する。廃止するまでの間は、安全基準について国民的議論を尽くし、その安全基準に適合しない限り運転(停止中の原子力発電所の再起動を含む。)は認められない。



このような早期の段階的な脱原発政策は多くの国民に支持されているといえるが、原子力発電所立地地域の経済は深く原子力事業に依存しており、国策によって進められてきた原子力開発に協力してきた地域の新たな産業の創出や住民の雇用について、国は責任を持った対策を提示するべきである。

 

3 福島第一原子力発電所事故の原因等が、いまだ解明されていない

ところで、安全基準の抜本的見直しに当たっては、福島第一原子力発電所事故の原因や発生機序等の実態解明が不可欠であるが、事故発生から1年以上が経過し、2011年12月以降、東京電力株式会社の社内調査委員会の中間報告書や政府の事故調査・検証委員会の中間報告書及び福島原発事故独立検証委員会の報告書が相次いで公表されたものの、現時点においても、福島第一原子力発電所事故の原因・発生機序は、依然として不明なままである。



さらに、国会に設置された事故調査委員会が安全規制体制を含めた実態を調査中であり、その調査結果は本年6月頃に公表されることとなっている。



このように事故の実態は依然調査中であるが、福島第一原子力発電所では想定した地震が過小であり、耐震設計の解析に不備があったことが明らかとなっている。さらに、以前から地震・津波による共通原因故障及び全電源喪失事故が起きる危険性とシビアアクシデント(過酷事故)対策の必要性が指摘されていたにもかかわらず、国は、これらの対策を安全指針等には盛り込まなかったところ、福島第一原子力発電所では現実に事故が発生し、安全指針が不備であったことも明らかとなっている。



ところが、東京電力株式会社は、放射能漏れの原因が強振動である可能性を示す圧力容器のデータ等数々の傍証が存在するにもかかわらず、頑なに「津波が原因である」との見解に固執している。また、国も「津波到達前の損傷は確認されていない」などとして、放射能漏れの原因が地震に存する可能性を示す事実を直視しない現状にあり、このような前提でしか安全指針の見直しがなされていない状況にある。



したがって、福島第一原子力発電所の事故発生に伴い顕在化した原子力発電所の安全性の問題は、現在のところ全く解決されていない状況であり、現時点では、原子力発電所の安全性が十分に確保されているとはいい難い。


4 安全基準の見直しがいまだ終了していない

原子力安全委員会でも、安全設計審査指針や耐震設計審査指針等の見直しがなされ、2012年3月には、耐震設計審査指針と安全設計審査指針等の改定案が示された。



しかし、事故実態が未解明のため、耐震設計審査指針のうち地震に関しては改定はほとんどなされていない。



安全設計審査指針についても、共通原因故障やシビアアクシデントについての見直しは今後の検討課題にとどめられている。


ストレステスト(耐性評価)一次評価の基準は福島第一原子力発電所事故発生以前の従来の安全審査指針であり、それと比較してどれだけ余裕度があるかを評価するものにすぎない。福島第一原子力発電所事故を踏まえ、安全設計審査指針や耐震設計審査指針について、全面的な見直しが求められている状況の下で、従来の安全審査指針を前提とするストレステストをクリアしても、原子力発電所の安全性が確保されたとは到底いえない。



班目春樹原子力安全委員会委員長も、ストレステストの一次評価だけでは安全性評価として不十分と述べているところである。



さらに、国は、「安全性に関する判断基準」を新たに設定して、停止中の原子力発電所の再稼働を企図しているが、そもそも福島第一原子力発電所事故の実態が未解明なままでの判断基準では、安全性を保証したことにはならない。しかも新たな「判断基準」の評価項目は、ストレステストのそれと重複している反面、対策に時間がかかる共通原因故障やシビアアクシデント対策は含まれていないため、事故原因を踏まえた新たな安全基準とは到底いえない。



このように、安全基準の見直しがいまだ終了していないことに加え、現段階での再稼働については原子力発電所周辺、更に広域の地方自治体において、反対ないし慎重な意見を表明するものが数多く、このような意見が尊重されなければならない。



5 電力需要には十分対応可能である

停止中の原子力発電所の再稼働がなければ、2012年5月の段階で全原子力発電所が停止する。この事態の中で、電力不足を理由に原子力発電所の再稼働を求める動きがある。


これまで国、電気事業者は、原子力発電所を再稼働しないと電力が不足し、国民経済に悪影響が出ると宣伝していた。しかし、2011年の夏季も、2011年から2012年にかけての冬季も、心配された電力不足は発生しなかった。



2011年7月29日にエネルギー・環境会議で決定された「当面のエネルギー需給安定策」によると、2012年夏については1、657万kwの電力が不足するとされていたが、他方2011年11月1日のエネルギー・環境会議の電力需給に関する検討会合の公表資料によれば、2011年の夏のピーク需要の実績を前提とすると、2012年夏の供給力1億6、297万kwに対し、需要は1億5、661万kwにすぎず、636万kwの余裕(予備率4.1%)があるとされている。さらに、供給力642万kwの増強も検討されており、ピーク時の節電等への協力が適切になされれば、今夏の電力需要にも十分対応は可能と考えられる。



したがって、電力不足を理由に原子力発電所の再稼働を進めることには根拠がない。



6 結論

よって、当連合会は、深刻な原子力発電所事故被害の再発を未然に防止するため、先に述べた意見によって直ちに廃止すべき原子力発電所以外であっても、福島第一原子力発電所事故の原因を解明し、その事故原因を踏まえて見直された安全基準による適正な審査によって確実な安全性が確保されない限り、現在停止中の原子力発電所を再稼働しないことを求める。