日弁連は共謀罪に反対します(共謀罪法案対策本部)

 

パンフレット「思想を処罰?日弁連は共謀罪に反対します!」

「共謀罪」が、国連越境組織犯罪防止条約を理由に制定されようとしており、法案は、2003年の第156回通常国会で最初に審議されました。その後二度の廃案を経て、2005年の第163回特別国会に再度上程され、継続審議の扱いとなり、第165回臨時国会においても、幾度とない審議入り即日強行採決の危機を乗り越えて継続審議となり、第170回臨時国会においても継続審議となりました。そして、2009年7月21日の衆議院解散で第171回通常国会閉幕により審議未了廃案となりました。

 

今後も予断を許さない状況が続くことが予想されます。

 

日弁連は、共謀罪の立法に強く反対し、引き続き運動を展開していきます。

 

詳細はこちらのページをご覧ください。

 

→パンフレット「合意したら犯罪?合意だけで処罰?―日弁連は共謀罪に反対します!!―」(五訂版)

 

共謀罪なしで国連越境組織犯罪防止条約は批准できます

日弁連は、2006年9月14日の理事会にて、「共謀罪新設に関する意見書」を採択し、2012年4月13日の理事会にて、新たに「共謀罪の創設に反対する意見書」を採択いたしました。


共謀罪の基本問題

  • 政府は、共謀罪新設の提案は、専ら、国連越境組織犯罪防止条約を批准するためと説明し、この立法をしないと条約の批准は不可能で、国際的にも批判を浴びるとしてきました。
  • 法務省は、条約審議の場で、共謀罪の制定が我が国の国内法の原則と両立しないことを明言していました。
  • 刑法では、法益侵害に対する危険性がある行為を処罰するのが原則で、未遂や予備の処罰でさえ例外とされています。ところが、予備よりもはるかに以前の段階の行為を共謀罪として処罰しようとしています。
  • どのような修正を加えても、刑法犯を含めて600を超える犯罪について共謀罪を新設することは、刑事法体系を変えてしまいます。
  • 現在の共謀共同正犯においては、「黙示の共謀」が認められています。共謀罪ができれば、「黙示の共謀」で共謀罪成立とされてしまい、処罰範囲が著しく拡大するおそれがあります。
  • 共謀罪を実効的に取り締まるためには、刑事免責、おとり捜査(潜入捜査)、通信傍受法の改正による対象犯罪等の拡大や手続の緩和が必然となります。
  • この間の国会における審議とマスコミの報道などを通じて、共謀罪新設の是非が多くの国民の関心と議論の対象となり、共謀罪の新設を提案する法案を取り巻く環境は、根本的に変わっています。

国連越境組織犯罪防止条約は締約国に何を求めているのでしょうか

  • 国連越境組織犯罪防止条約第34条第1項は、国内法の基本原則に基づく国内法化を行えばよいことを定めています。
  • 国連の立法ガイドによれば、国連越境組織犯罪防止条約の文言通りの共謀罪立法をすることは求められておらず、国連越境組織犯罪防止条約第5条は締約国に組織犯罪対策のために未遂以前の段階での対応を可能とする立法措置を求められているものと理解されます。

条約の批准について

  • 国連が条約の批准の適否を審査するわけではありません。
  • 条約の批准とは、条約締結国となる旨の主権国家の一方的な意思の表明であって、条約の批准にあたって国連による審査という手続は存在しません。
  • 国連越境組織犯罪防止条約の実施のために、同条約第32条に基づいて設置された締約国会議の目的は、国際協力、情報交換、地域機関・非政府組織との協力、実施状況 の定期的検討、条約実施の改善のための勧告に限定されていて(同条第3項)、批准の適否の審査などの権能は当然もっていません。

国連越境組織犯罪防止条約を批准した各国は、どのように対応しているのでしょうか

  • 第164回通常国会では、世界各国の国内法の整備状況について、国会で質問がなされましたが、政府は、「わからない」としてほとんど説明がなされませんでした。この点について、日弁連の国際室の調査によって次のような事実が明らかになりました。
  • 新たな共謀罪立法を行ったことが確認された国は、ノルウェーなどごくわずかです。
  • アメリカ合衆国は、州法では極めて限定された共謀罪しか定めていない場合があるとして国連越境組織犯罪防止条約について州での立法の必要がないようにするため、留保を行っています。
  • すでに判明しているだけで、組織犯罪の関与する重大犯罪の全てについて共謀罪の対象としていないことを認めている国が5ヶ国(ブラジル、モロッコ、エルサルバドル、アンゴラ、メキシコ)も存在することが明らかになっています。
  • セントクリストファー・ネーヴィスは、越境性を要件とした共謀罪を制定して、留保なしで国連越境組織犯罪防止条約を批准しています。

新たな共謀罪立法なしで国連越境組織犯罪防止条約を批准することはできます

  • 我が国においては、組織犯罪集団の関与する犯罪行為については、
  1. 未遂前の段階で取り締まることができる各種予備・共謀罪が合計で58あり、凶器準備集合罪など独立罪として重大犯罪の予備的段階を処罰しているものを含めれば重大犯罪についての、未遂以前の処罰がかなり行われています。
  2. 刑法の共犯規定が存在し、また、その当否はともかくとして、共謀共同正犯を認める判例もあるので、犯罪行為に参加する行為については、実際には相当な範囲の共犯処罰が可能となっています。
  3. テロ防止のための国連条約のほとんどが批准され、国内法化されています。
  4. 銃砲刀剣の厳重な所持制限など、アメリカよりも規制が強化されている領域もあります。
  • 以上のことから、新たな立法を要することなく、国連の立法ガイドが求めている組織犯罪を有効に抑止できる法制度はすでに確立されているといえます。
  • 政府が提案している法案や与党の修正試案で提案されている共謀罪の新設をすることなく、国連越境組織犯罪防止条約の批准をすることが可能であり、共謀罪の新設はすべきではありません。

法務省ホームページに掲載されている文書について

法務省ホームページ上に別のページへリンク「『組織的な犯罪の共謀罪』に対する御懸念について」と題するコーナーがあります。
同コーナーの文書で挙げられている点に絞って、疑問点を指摘します。

 

PDF「共謀罪」に関する法務省ホームページの記載について(2006年5月8日)(PDFファイル;129KB)

 

日弁連が意見書などで指摘している点について、法務省が2006年10月16日付けで以下文書をホームページに掲載しています。

これらの文書で挙げられている点に絞って、疑問点を指摘します。


外務省ホームページに掲載されている文書について

日弁連などの調査により、アメリカ合衆国は、州法では極めて限定された共謀罪しか定めていない場合があるとして国連越境組織犯罪防止条約について州での立法の必要がないようにするため、留保を行っているということがわかりました。


この点について、外務省が2006年10月11日付けで別のページへリンク「米国の留保についての政府の考え方」と題する文書を掲載しています。


この文書で挙げられている点に絞って、疑問点を指摘します。


テーマに関連するイベント